日本アウトドアトレーニング協会
新コース移行後のデータを集計、制限時間内完走率は近年最高値の84.7%、日本人出場者の数値は50%と全体に比べ低い結果に
2025年9月6日(土)現地時間8:30にスイス、ベルナーオーバーラント地方のインターラーケンをスタートした「ユングフラウマラソン」において、当協会代表の都築が出場日本人12名中1位の成績で完走いたしました。

今回ユングフラウマラソンの完走に加え、オーバーラント三山のうち「アイガー(3,963m)」を除く2座「メンヒ(4,110m)」と「ユングフラウ(4,158m)」の登頂を目指すプロジェクトでしたが、登山2座目のユングフラウを断念する形となり、『メンヒ登頂』および『ユングフラウマラソン完走』の2/3の目標達成で終えることとなりました。

ユングフラウマラソンは1993年から開催され、2025年大会で32回目を迎えました。「世界一美しく過酷なフルマラソン」とも称される大会で、その所以は海抜568mのインターラーケンから、ゴール地点となる標高2,320mアイガーグレッチャー(2021年大会に2,110mのクライネシャイデックより更に上昇)までの単純標高差1,752mにあります。
※実際には細かい起伏があり、今大会の手元の測定値では1,917mの上昇
林道・登山道の不整地を含む「登り基調」のレースであるにも関わらず、6時間半の制限時間という点も難しい(過酷)と考えられている一因だといえるでしょう。
◾️最終関門を通過した選手は制限時間である6時間半以降でもゴールしリザルトイン
しかしながら、公式発表の「完走率」は90%を超えており、その点からは「完走は難しくない」とも考えられます。そこで、今後ユングフラウマラソンへの挑戦を検討されている方へ向け、新コース(※)となった2021年以降のデータ(5大会分、n数は17,059名)を独自集計し発表することといたしました。
※ 2020年のコロナ中止を境にコースが変更されていることを確認(2019年大会のゴールはクライネシャイデック、2021年大会はアイガーグレッチャーということを公式サイトのコース図で調査)
※ 集計内容は2021年~2025年の5年分データより(小数点以下第二位を四捨五入)
なお、全て公式サイトのリザルトより集計していますが、2023年以前はリザルトに国名記載がなく「日本人データ」が集計不可のため、「日本人完走率」などは2024年・2025年大会の2大会の集計数値となります(確認できる2大会の日本人出場者数=n数は25名)
■出走者数は例年増加

エントリー上限数の4,000名は早期に完売のため、実際の数値との乖離は棄権者によるものと考えられます(僅かにリザルト上にDNSやDNQの表記もあるため、どの時点からの棄権かは明確には判断できず、DNSおよびDNQの記載は2022年のみで合わせて4名)
スタート地点のインターラーケンでは「一年で一番のイベント(※現地日本人ガイド談)」と評される大会も、日本で行われている大規模なマラソン大会に比べエントリー上限数がミニマムなのは道幅などが影響か(1人2人幅の登山道区間があるため現状の4,000名でも渋滞が発生)
■「完走率」は制限時間以内か否かで数値に開きが
先に「公式発表の完走率は90%を超えており」としましたが、これは「制限時間の6時間半を越えてゴールした選手」を含めた数値であることがわかりました。なお、本当の最終ゴール者のタイムには年によって大きく開きがあり、「完走」を目指す場合は7時間を切るタイムでゴールへ辿り着くことが求められそうです。

最終完走者の平均タイムは7時間29分57秒で、過去5年の最短値が2022年の7時間17分9秒、最長値が2023年の7時間45分37秒。公式サイト(引用:https://www.jungfrau-marathon.ch/en/Course.html)記載の文言を日本語訳すると「ウィクシ分岐(38.5km)、走行時間5時間50分後コースは14時25分(現地時間午後2時25分)に38.5kmで閉鎖されます。閉鎖時間後にこれらのチェックポイントを通過したランナーは、レースを続行できません。」とあるため、最終の関門を通過していればゴール時間がある程度許容されるのではないかと考えられます。
最終ゴール者までの完走率が5年平均で「92.5%」であるのに対し、制限時間6時間半以内でのゴール者は「80.4%」となっています。
■日本人選手の完走率はより低く、今後の大会出場者の奮闘が求められる

先述の通り、2大会分のみの統計値ということは念頭に置く必要がありますが、日本人出場者の完走率は全体数値に比べ大きく開きがある状況となりました。ヨーロッパや他国のランナーに比べ、日本人の持久力が特別劣っているという定説は耳にしないため、単に「出場層の傾向」や「トレーニング環境の差(日本国内では模倣環境の準備が容易ではない)」などが考えられるのではないでしょうか。
また今回の挑戦により事前情報が少ない点も感じ取れたため、情報の拡充が今後の完走率改善に寄与することも期待いたします。
※本リリースには情報を示しませんが、男性ランナーに比べ女性ランナーの完走率が僅かに低い(3%程度)ことも読み取ることができました、詳細を希望される場合はお問合せください
■日本アウトドアトレーニング協会とは

日本アウトドアトレーニング協会は「アウトドアを、ずっと健康に。」を合言葉に、アウトドアトレーニングの知識や技術を習得した専門家の育成や、野外でのスポーツやアクティビティを安全に楽しく実施するための啓蒙活動を行っています。
2024年により展開している「極地マラソン」事業では、ネパール「ヒマラヤンライオントレック社」との提携で、エベレストマラソン参加やヒマラヤトレッキング希望者の受付窓口請負を開始。また日本で極地旅行を専門に取り扱う「トライウェルインターナショナル社」との提携で、南極マラソン/北極点マラソン参加希望者の受付窓口請負を開始いたしました。
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担当:都築