Mercy For Animals
国際家畜保護団体 Mercy For Animals は初版の日本のアニマルウェルフェアレポートを公開し、日本の大手企業に平飼い卵取り組みの強化を要求します。
国際家畜保護団体 Mercy For Animals は、2025年9月16日(火)に「アニマルウェルフェアレポート2025年:日本」の初版を発表しました。本レポートでは、日本の食品関連企業におけるケージフリー卵(平飼い卵)の取り組みを調査し評価した結果※、対象企業の大多数が有効な方針を持っていないことが明らかになりました。日本の企業は、ケージ飼育という重大なアニマルウェルフェア(家畜福祉・動物福祉)の課題に対応するために具体的かつ迅速な対応を迫られています。
海外に進出しているグローバル食品関連企業のケージフリー卵(平飼い卵、つまり、ケージ無しで飼育されている採卵鶏が生む卵)の取り組みを調査したところ、多くの対象企業は、アニマルウェルフェアの観点から問題視されているケージ飼い卵に対して、十分な対策を行なっていません。その一方、世界で150社以上の主要食品企業がすでにケージフリー調達方針を掲げており、その大半数が2025年末までの完全移行を目指して順調に進捗しています。
複数の研究によると、ケージ飼育からケージフリー飼育に移行した場合、採卵鶏が感じる痛み、ストレス、怪我や病気のリスクが大幅に軽減されることが明らかになっています。さらに、国内外のステークホルダーはより高いアニマルウェルフェア基準を満たした製品への需要が高まっています:
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日本の消費者を対象にした三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査では、回答者の43%が、より高いアニマルウェルフェア基準で生産された卵に対して、5〜21%の価格上昇を受け入れると回答
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Mercy For Animalsの独自調査では77%の韓国の回答者が「企業は家畜のニーズを満たすべき」と回答
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国際調査によると72.3%の中国の回答者が「卵を産む鶏が苦しまないことが重要」と回答
レポートの対象企業の一部は、すでに前向きな取り組みを見せています。例えば、マヨネーズメーカー キユーピー はケージフリーの移行に向けて段階的な目標を設けて発表しており、米国に本社を置く コストコ は日本の事業においてもケージフリーの進捗を報告しています。一方、菓子メーカーの ロッテ や大手飲食店チェーンを運営する ゼンショーホールディングス は、ケージフリーについて声明も取り組みも公表していません。各企業の詳しいランキングに関しては、レポート内でご確認いただけます。
「日本の食品業界は、影響力とインフラを活かして、アジア全体においてアニマルウェルフェアの水準を引き上げる力があります。」とアジアを担当するコーポレート・リレーションズ・コーディネターの 廣瀬・ジャスミン氏 は語ります。「ケージフリー卵の政策を採用することで、消費者の期待に応え、持続可能とエシカルなリーダーシップを示すことが可能です」
アジアの大手企業はすでにリーダーシップを発揮しています。例えば、フィリピンの飲食店のジョリビーや台湾のカルフールの大手小売店は、サプライチェーンにおいて全部の鶏卵をケージフリーへ移行する目標を公表しています。
その一方、日本は依然として他の国際的な動物福祉のレポートでも低評価を受け続けています。ビジネス・ベンチマーク・オン・ファーム・アニマル・ウェルフェア(BBFAW)では、日本企業の評価が低く、ワールド・アニマル・プロテクション(World Animal Protection)は、家畜動物の保護に関して国として日本はG7国の中でも最下位のランキング「E」に位置づけられています。日本は、行動に移せない場合、後れをさらにとってしまい、現代の消費者の期待から離れてしまう可能性があります。
「アニマルウェルフェアの分野において、日本はアジア地域のリーダーになる機会が待っています。しかしながら、依然として多くの企業が具体的な方針や行動を欠いています。科学的な証拠は明確であり、消費者の支持も広がっており、ケージフリー市場も着実に成長しています。いまこそ企業は行動を起こし、ケージフリーの導入を進め、思いやりのある食料システムの実現に貢献すべきです。」とコープレート・リレーションズ・スペシャリストの エリン・チャン氏 が述べていました。
レポートの結果は以下のリンクよりご確認いただけます:
※レポート内容は、2025年8月1日時点で開示されている情報をもとに作成しております。

詳細、インタビューに関して以下のメールアドレスまでご連絡ください(日本語可)。
press@mercyforanimals.org(担当者:Ronnika A. McFall )