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アフガニスタン地震 犠牲者・被災者の半数以上は子ども ユニセフ現地事務所代表「信じがたい惨状」 【プレスリリース】

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公益財団法人日本ユニセフ協会

国際社会に活動資金を要請

クナール県で、地震により母親を亡くした子どもたち(アフガニスタン、2025年9月2日撮影) © UNICEF/UNI859067/Meerzad

【2025年9月12日 カブール(アフガニスタン)発】

ユニセフ(国連児童基金)アフガニスタン事務所代表のタジュディーン・オイウェイルは、リモートで参加した国連の定例記者会見で、壊滅的な被災地の状況とユニセフの対応について説明し、支援の必要性を訴えました。

* * *

アフガニスタンは再び悲劇に見舞われ、子どもたちは深刻化する危機の最前線に立たされています。私たちは、この危機に一刻も早く対応するだけでなく、状況を直ちに回復へ向かわせる強い意思を持って臨まなければなりません。

 

8月31日に東部のクナール県とナンガルハール県を襲った大地震と、その後何度も起きた強い余震により、最も重い負担を背負わされているのは子どもたちです。

 

これまでの被害は壊滅的です。子どもの死者は少なくとも1,172人以上と、全体の半数以上を占めています。さらに45人の子どもが家族と離ればなれになり、271人が親を亡くしました。

 

今週、私はユニセフの対応の一環として被災地を訪れましたが、その惨状は信じがたいものでした。

 

これまでのところ、この地震により2,164人以上が命を落とし、3,428人以上がけがを負い、少なくとも6,700戸の住宅が倒壊またはひどく損壊しました。これらの数字には、がれきの中に一人取り残された子どもたちや、一瞬にして引き裂かれた家族たちが含まれています。

 

こうした災害では常に、子どもたちが最も重い負担を負わされています。被災した50万人以上の人々のうち、26万3,000人が子どもです。子どもたちは今、高まるリスクに直面しています。

 

彼らにとって、この災害は長年にわたる紛争、経済的困難、繰り返される緊急事態に輪を掛けて襲いかかってきたものです。すでに多くの子どもの「子ども時代」が奪われました。子どもたちは、あまりにも早くおとなにならざるを得なかったのです。

 

ナンガルハール県の壊滅的な被害を受けた村で、倒壊した家屋のがれきや石、散乱した藁の中にいた、3人の女の子と1人の男の子に出会いました。

 

男の子は救助の際に指を骨折し、女の子たちはすっかり取り乱し、何が起きたのか理解できていませんでした。家族を亡くし、家や家畜も失いました。本当に胸が張り裂ける思いでした。

 

クナール県の負傷者向け野戦病院へ向かう途中、頭部に縫合の跡がいくつもある2歳の妹を抱えた5歳の女の子に出会いました。二人とも、重度の骨折で病院に運ばれた母親が助かるよう祈っていました。

 

クナール県とナンガルハール県の最も被害の深刻な地域では、子どもたちが緊急の人道支援を必要としています。多くの子どもが今、住む場所を失い、愛する人を亡くし、トラウマに苦しんでいます。

こうした辺境の山間部では、子どもたちは複数の脅威に直面しています。けがは適切な処置がされず、きれいな水は手に入らず、衛生設備は安心して使えず、栄養不良は悪化し、学校へ通えなくなり、さらに深刻な精神的苦痛にさらされています。

マグニチュード6.0の強い地震により倒壊したクナール県の自宅を、父親と片付ける11歳のサージェドさん(アフガニスタン、2025年9月3日撮影) © UNICEF/UNI859133/Meerzad

被災地に行き着くのはきわめて難しく、険しい地形、限られた道路網、脆弱なインフラが、人道支援従事者のすべての任務を非常に困難にしています。しかし私たちは、あらゆる試練を乗り越えながら、現地に留まり支援を続けています。

 

東部の都市ジャララバードからナンガハール県の僻地の村までの3時間半の道のりのうち、舗装された道路を走ったのはわずか40分でした。それ以外はでこぼこの山道で、対向するトラックや落石で頻繁に止まりました。クナール県の最も被害の深刻な場所へ赴いた同僚からは昨日、道路状況はさらに悪かったとの報告がありました。

 

ユニセフはまさに、全力を尽くして、被災した子どもや家族に支援を届けるためにあらゆる手段を講じています。

 

社会規範が支援の提供をさらに複雑にしています。そのためユニセフと現地パートナーは、女性や女の子が安全かつ公平に支援を受けられるよう、女性の人道支援従事者の配置を優先的に行っています。

 

とりわけ女の子たちは特有のリスクに直面しています。教育を受ける権利が大きく妨げられているこの国では、多くの場合、家が壊れると、真っ先に学校を中退するのは女の子です。家族が生計手段を失うと、女の子たちの児童婚のリスクが高まります。そして保健医療サービスが利用できない状況では、10代の女の子たちは必要不可欠なケアを受けられなくなるのです。

 

今すぐ行動を起こさなければ、この危機は既にある不平等をさらに深め、女の子たちに過大な負担を強いることになります。

 

しかし、状況がいかに過酷であろうとも、希望は私たちの協力した取り組みの中にあります。ユニセフのチームが地震直後から、当局、地域社会組織、人道支援パートナーと共に、どれほど困難であろうとも、命を守るために支援を届け、子どもを保護するために活動してきたかを、私は現場で目にしました。

 

ユニセフは、体制を強化した診療所を通じた緊急保健医療の提供、ならびに移動式保健医療・栄養チームによる外傷ケアを実施しています。また、妊産婦・新生児向けサービスや必須医薬品の提供も行っています。加えて、ポリオ対策の最前線で活動するスタッフと連携して、現地での対応を支援しています。

 

被災地域では避難生活や食料不足により、急性栄養不良の症例が急増しているため、子どもの栄養状態の検査と治療を実施しています。

 

引き続き、各家庭が清潔な水を利用でき、急性水様性下痢症の集団感染から守られるよう、持続可能な水道システムの復旧や、緊急給水ポイントとトイレの設置に取り組んでいます。

 

こうした災害を受けると、子どもたちのメンタルヘルスは非常に脆弱な状態となります。そのため、ユニセフは子どもにやさしい空間を整備し、保健クリニックに女性カウンセラーを配置し、女の子や女性への心理社会的支援を提供してきました。

 

ユニセフは社会的保護に取り組んでおり、脆弱な世帯に緊急現金給付を提供することで、各家庭が差し迫ったニーズを満たし、非常に厳しい冬に備えられるよう支援しています。現金給付は1万5,000世帯以上を目標にしています。

 

こういった活動は極めて厳しい状況下で実施されています。

 

そして、課題は依然として膨大にあります。冬が近づくにつれ、刻一刻と時間が迫っています。緊急の対策が講じられなければ、多くの子どもが、住処も食料も医療もないまま、厳しい寒さに直面することになります。

 

これらのニーズに対応するため、ユニセフは今後6カ月間で、21万2,000人以上の子どもを含む40万人を支援するべく、2,200万米ドルの資金を国際社会に要請しています。十分な支援と、国や地域のパートナーたちとの緊密な連携により、私たちは命を守り、子どもの保護を行い、家族が尊厳を持って復興の道を歩み始めるお手伝いができるのです。

 

この重大な局面に際し、アフガニスタンの子どもたちを支えていただくよう、ご支援者の皆様および国際社会に強く訴えます。子どもたちが孤立してこの危機に直面することがあってはなりません。そして、私たちが行動する手段を持つ限り、そうはならないと確信しています。

 

* * *

■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。(https://www.unicef.org )

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます

 

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、アドボカシーを担っています。(https://www.unicef.or.jp )

出典:PR TIMES

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企業プレスリリース詳細へ (2025年9月16日 15時59分)

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