newmo株式会社
高速シミュレーション技術を開発し、自動運転を見据えた実験で、配車待ち時間を最大40%短縮する手法を発見

newmo株式会社(東京都港区、代表取締役 青柳直樹、以下newmo)は京都大学 学術情報メディアセンター 首藤一幸 教授と共同研究を行い、タクシーやライドシェアにおける配車の高速シミュレーション技術を開発し、それを用いて、乗客とドライバーのマッチング品質を大幅に向上させることに成功しました。
本研究成果をまとめた論文が、シミュレーション分野の国際会議 The 29th International Symposium on Distributed Simulation and Real Time Applications(DS-RT 2025)(2025年9月17日~19日、チェコ・プラハ)に採択されたことをお知らせします。
背景と研究成果
配車サービスにおけるマッチングの良し悪しは、乗客の待ち時間や満足度、ドライバーの収益に直結します。しかし、実サービス環境で様々なマッチングアルゴリズムをテストすると、多大な時間とコストがかかるだけでなく、乗客やドライバーに負担を与える課題があります。
本研究では、都市スケールのライドシェアを再現可能なシミュレータを設計・開発しました。また、それを用いて様々なマッチングアルゴリズムをテストし、配車の待ち時間を最大40%短縮することに成功しました。また、newmoが事業化を目指している自動運転タクシーでは、これらのアルゴリズムをより導入しやすくなります。

研究成果の詳細
本シミュレータは、走行経路の決定にオープンソース OSRM(Open Source Routing Machine)を利用します。これにより、現実の走行経路や移動時間を反映したテストを可能にしました。また、高速な方式として知られるイベント駆動シミュレーションを採用し、乗客累計1000人にドライバー100台でサービスするという都市スケールのシミュレーションを200秒程度で行うことができます。OSRMを用いずに近似的な走行経路と移動時間でよければ、10秒程度でシミュレートできます。
マッチングアルゴリズムとして、back-to-back、ドライバー再割り当ての度合いを様々に変えてテストした結果、back-to-backによって最大15%、ドライバー再割り当てによって最大40%、乗客の待ち時間を短縮することに成功しました。
発表情報
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会議名:The 29th International Symposium on Distributed Simulation and Real Time Applications(DS-RT 2025)
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日程:2025年9月17日(水)~19日(金)
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開催地:チェコ・プラハ
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発表形式:Regular paper(口頭発表)
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論文タイトル:Ridesharing Simulation to Explore Matching Algorithms
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著者:Kazuyuki Shudo, Tsuyoshi Hasegawa, Yuito Ueda(Kyoto University), Hiroshige Umino, Masahiro Sano, Keisuke Sogawa(newmo, Inc.)
共同研究者プロフィール
首藤 一幸(Kazuyuki Shudo)
京都大学 学術情報メディアセンター 教授。1973年神奈川県生まれ。2001年早稲田大学博士後期課程修了、博士(情報科学)。早稲田大学助手、産業技術総合研究所研究員、ウタゴエ株式会社取締役CTO、東京工業大学准教授を経て、2022年より現職。
専門は分散システム、データ工学、分散機械学習、システム・ソフトウェア。数台から数百万台以上のコンピュータを連携させる方法や、それによって初めて可能になるアプリケーションの研究を行う。著書に『Binary Hacks』『Javaによるアルゴリズム事典』(共著)など。近年はブロックチェーン、ソーシャルグラフ解析、ボトムアップ型の分散AI学習などをテーマに研究している。