日鉄興和不動産株式会社
日鉄興和不動産株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:三輪 正浩、以下「当社」)が運営するFuture Style総研は、次世代を担う「10年後の30代」の価値観と暮らし方を描き出す調査レポート『Future Style Agenda』を発表いたします。本調査では、多様化するZ世代の価値観を、3つの前提と16の特徴を踏まえ、4つのアーキタイプ(生活者像)を導き出して考察することで、未来の暮らしや街づくりのあり方を探りました。
※1 この調査では、Z世代をFuture Style総研が想定する“10年後に30代となる層”として位置付けております。

『Future Style Agenda』概要版ダウンロードURL:https://x.gd/dwrC48
■プロジェクト背景
2025年4月に設立したFuture Style総研は、未来を能動的に捉え、そこから逆算した発想で未来を描く 「Future Style発想」(※2) を掲げています。本調査プロジェクトは、未来を⾒据えた観点から、私たちの街づくりの根拠となる価値判断の軸を、⽣活者の実態からより明確にすることを⽬的に実施しました。
今回の調査では、10年後に30代を迎える世代を対象として、家族・仕事・拠点・健康・所有の5つの観点から価値観や意思決定の軸を分析しています。社会の変動の中で多様な価値観と嗜好を育んできた世代に寄り添い、都市や住まいの姿を再考する必要があると考えました。その声を丁寧に辿ることで、次代の暮らしを描くための手がかりを抽出しました。
10年先の暮らしの提案を、いまから考える——その一つの「補助線」となるよう、次世代の価値観を描き出す調査レポート 『Future Style Agenda』 を取りまとめました。
※2:2025年4月1日発表 日鉄興和不動産の新たな総合研究所『Future(フューチャー) Style(スタイル)総研』を4月1日設立~未来から逆算し、新たな発想を生み出す~
■調査手法とアプローチ
本調査のテーマは「10年後の30代の暮らしの理想像」です。対象とするZ世代は、経済停滞や社会の不確実性を背景に育ちつつも、多様性やウェルビーイングを重視し、自分らしい暮らし方を模索しています。また、かつての「住宅すごろく」に象徴されるような、画一的なライフステージが語られていた時代とは異なり、価値観や暮らし方が多様化し、個々が独自の価値観や嗜好性を深めています。そのため、従来のように個別の事象(家族・仕事・健康など)を単体で調査するだけでは、未来の30代の暮らしの全体像を捉えることが困難であると判断しました。
そこで本調査では、対象世代が経験してきた社会変化をもとに仮説を立て、人生観・価値観に基づく4つのアーキタイプを設定。それぞれのタイプに対してディープインタビューを実施することで、理想の暮らし像をより立体的に浮かび上がらせるアプローチを採用しました。
■対象世代仮説 ~3つの前提と16の特徴~
【3つの前提】
Z世代の価値観や⾏動の⼟台となる、時代背景や社会環境、教育⽅針の変化などから⽣まれた根本的な考え⽅を、3つに分類しました。
1 「報われない・持たざる世代である」という世代認識
2 「あなたらしさ」が存在することが前提である教育⽅針
3 SDGs・社会課題が教育プログラムに組み込まれた世代
【16の特徴】
3つの前提を基盤として現れるZ世代のさまざまな⾏動パターンや思考の傾向を、多様な情報源をもとにデスクトップリサーチにより抽出し、16の特徴として示しました。
例えば、「失敗を回避、リスクを取らない」「限られた範囲での濃い⼈間関係性」「職場に対する不満はないけど不安はある」などです。各特徴は⽇常やキャリア、対⼈関係に表れるさまざまなパターンであり、対象世代の多面的な個性や価値観を理解するための手がかりとなりました。ただしこれらのパターンは世代全体を⼀括りにするものではありません。一人ひとりが異なる特徴を組み合わせて持ち、幅広いパターン・傾向が混在しています。
■アーキタイプの概観
3つの前提とそこから派生する16の特徴を踏まえ、対象世代の価値観や人生観の軸を抽出し、4つの代表的なアーキタイプに仮説的に整理しました。その分類をもとに対象世代へディープインタビューを行い、各アーキタイプが自らの暮らしや働き方をいかに模索し、家族や社会との関わり方を選び取っているのかを、多面的・構造的に捉えました。
【アーキタイプの軸】
⾃⼰定義型ー社会参照型|横軸
「⾃分らしくありたい」という意識は共通するが、内⾯の基準で組み⽴てるか、他者・社会の動向を⼿がかりに相対的に⾒いだすか、その定義⽅法には2つのスタイルがある。
変化志向ー安定志向|縦軸
合理的な判断のもと、リスクはなるべく取りたくないという点では共通しているものの、「変わること」をリスクとするのか「変わらないこと」をリスクとするのかについては、どちらをリスクとみなすかに明確な志向差がある。

【4つのタイプ】
A type(自己定義型 × 変化志向)固定的な枠組みに捉われず、自らの価値観で柔軟に家族・仕事を再構築。
B type(社会参照型 × 変化志向)多様な人々との交流を重視し、家族や仕事を「協働体」として捉える。
C type(社会参照型 × 安定志向)家族を人生の中心に据え、長期的・計画的な安定を重視。
D type(自己定義型 × 安定志向)自分らしさを軸に、安定と柔軟性を両立させる暮らしを志向。

さらに、本調査では上記4つのアーキタイプに見られる「家族観」「仕事観」「拠点観」「健康観」「所有観」という主要な観点ごとに、それぞれの特徴を掘り下げております。詳細は『Future Style Agenda』をご参照ください。

本調査は、今後の住まいや暮らしの在り⽅を再考する際の、「補助線」として活用するためのものとして取りまとめました。暮らしの価値観は、人口構成や制度、テクノロジーの発展とともに変化し続けます。そうした動きに伴走しながら、次なる暮らしの姿を構想することが求められます。
Future Style 総研は今後も、「⼈の暮らし」を出発点に、その先にひらかれる住まいや都市のあり⽅を描いてまいります。
■『Future Style Agenda』概要
タイトル:Future Style Agenda
調査期間:2025年4〜6月(主にディープインタビュー実施期間)
調査方法:デスクトップリサーチ、ディープインタビュー
発⾏・共同企画・編集:⽇鉄興和不動産Future Style総研 佐藤有希、畑中信⼆
共同企画・リサーチ・作成:
Futurama内⽥友紀/公共とデザイン ⽯塚理華/Unknown Meets Ethnography 梅中美緒
イラスト:廣瀬花⾐
デザイン:永井結子
掲載URL:https://x.gd/dwrC48
※本リリースの内容を引用・転載される際は、必ず「日鉄興和不動産株式会社『Future Style Agenda』(発表日:2025年9月24日)」と出典を明記してください。
■Future Style総研
設立 :2025年4月1日
URL :https://futurestylesoken.jp/
活動内容:Future Style総研は未来から発想するための 研究所です。暮らしや働き方などのさまざまなシーンを未来思考で見つめ、研究し、人生を豊かにする「新しい価値」を生み出すことを目的としています。過去にはシングルライフに特化し調査研究を行う「+ONE LIFE LAB」、最新の技術やテクノロジーを他企業と共創する「Co-Creation BASE」などのプロジェクトを推進しています。
運営 :日鉄興和不動産株式会社
