TXP Medical
〜搬送困難事例の減少と最適搬送の実現を目指して〜
2025年10月1日より、TXP Medical株式会社(本社:東京都)が提供する救急医療情報システム「NSER mobile(エヌエスイーアールモバイル)」を活用し、宇部・山陽小野田消防組合は救急搬送の迅速化・効率化に向けた新たな事業として「Than救システム事業」を開始します。
本事業は救急車内に配備したタブレット端末からデジタル化した現場・患者情報を医療機関とリアルタイムで共有するとともに地域の救急医療体制を可視化して、最適搬送を実現することによって、搬送困難事例を減少させ、地域医療体制の強化を目指すものです。
NSER mobileの本格導入は藤沢市、札幌市、秦野市、鎌倉市、山形市、新潟市、北九州市、那覇市、山形市周辺都市に続き全国で10例目となります。




■ 背景:逼迫する地域の救急医療体制
宇部市、山陽小野田市における令和5年の救急出動件数は11,654件と過去最高を記録し、令和6年は、11,165件と依然高止まりの傾向が続いており、出動から病院到着までの平均時間は51.2分に延伸しています。このような状況から、救急隊と医療機関の情報伝達を円滑にし、搬送受け入れ判断を正確かつ速やかに行うための新たな体制の構築が急務となっています。加えて、2024年4月から始まった医師の働き方改革により、救急医療を担う医師の確保が喫緊の課題となっており、地域の救急医療体制は逼迫した状況にあります。このような背景から、救急隊と医療機関の情報伝達を円滑にし、一人でも多くの命を救うための新たな体制構築が急務となっていました。
■ 目的:「搬送困難例の減少」と「医療圏の最適搬送」の実現
本事業は昨年度実施した実証実験から有効性が認められた結果、本格的な運用を行うものです。以下の体制構築を目的としています。
救急隊:最適な医療機関を選定のうえ、正確かつ詳細な患者情報を迅速に医療機関へ伝達します。
医療機関:救急隊から共有された患者情報と地域の医療状況を鑑み、迅速かつ正確に搬送受入を判断し、病院到着前から診断や治療の準備を開始します。
本事業は、宇部・山陽小野田消防組合の管轄内である宇部市、山陽小野田市の医療機関との連携を核としながら、過去に搬送実績のある美祢市、山口市、下関市、防府市にわたる広域の医療機関の皆様にご協力いただくものであり、クリニックから救命救急センターまで幅広くご利用いただけるサービスです。
自治体の垣根を越えた医療機関ネットワークを構築することにより、患者の症状や受け入れ状況に応じた最適な病院選定を可能にし、地域住民の皆様の安全・安心な暮らしを守る体制を強化してまいります。
■参画医療機関 27施設(2025年9月30日)
山口県内の救命救急センター3施設含む
山口大学医学部附属病院、山口県立総合医療センター、関門医療センター

■システム概要:「NSER mobile」
TXP Medicalが開発した「NSER mobile」は、救急隊と病院間のアナログな連絡(電話・FAX・紙帳票)を完全デジタル化し、救急搬送の可視化と適正化を図る統合プラットフォームです。
事案情報入力に加え、病歴やバイタルサイン、静止画、動画情報の共有、一斉照会機能、応需履歴の共有、予後調査機能、事後検証機能、救急医療におけるデータプラットフォームとしての機能を実装。これにより、患者の救急搬送から治療・検査・転院までの一連業務をデジタルプラットフォームで管理し、EBPM(Evidence-based Policy Making:エビデンスに基づく政策立案)を促進します。
本システムは、誰一人取り残さない救急医療の実現に向け、搬送・受入れ・記録・分析の全てのプロセスを支える、次世代の医療DX基盤として注目されています。
■Than救システムの独自機能
応需可視化 迅速かつ適切な搬送先選定と受入判断
医療機関は、救急隊から提供された患者・現場の詳細な情報をもとに、より迅速かつ的確に受け入れの可否を判断できます。
また救急隊と医療機関は、各医療機関の救急搬送の受け入れ状況や交渉状況もリアルタイムで確認できるようになります。救急隊は、その時点で救急搬送に最適な医療機関を選定できるようになります。医療機関は地域全体の救急医療体制を把握して、自院の搬送受入の可否の判断が適切に行えるようになり、地域全体の最適搬送の実現と搬送困難事案の減少が期待されます。

TXP Medicalが提供する救急医療情報システム「NSER mobile」は、クラウドセキュリティの国際標準規格である「ISO/IEC 27017」およびクラウド上の個人情報保護に特化した「ISO/IEC 27018」認証を取得しており、国際的に認められた高水準の情報セキュリティ管理体制のもとで運用されていることが第三者機関により認証されています。
また、日本を代表するDX事業として日本DX大賞2025地域DX部門にて大賞を受賞しています。

TXP Medical株式会社
TXP Medicalは「医療データで命を救う」をミッションに、現役の救急集中治療医が立ち上げた次世代の医療インフラを牽引するスタートアップ企業です。基幹システムであるNEXT Stage ERは全国の大病院87箇所(大学病院・救命救急センターでのシェア約40%)で稼働、救急隊向けのNSER mobileは全国45地域、1200万人以上の人口カバレッジでの運用実績を有しています。
代表取締役:園生智弘(救急集中治療医)
設立:2017年8月28日
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医療機関・自治体向け急性期医療データプラットフォーム「NEXT Stageシリーズ」の開発と提供
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急性期医療AI技術の開発と提供、臨床研究支援事業
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900項目の検査データ・バイタルデータ等を利用した急性期領域の唯一無二のリアルワールドデータサービス