一般社団法人iCD協会
「タスク × 人的資本 × 株主価値」統合サービスを共同リリース
一般社団法人iCD協会(iCDA)、株式会社エイチ・ピィ・ピィ・ティ(HPPT)、株式会社RIKKA、ジェイ・フェニックス・リサーチ株式会社(JPR)の4法人は、企業の人的資本と株主価値を直結させる革新的な経営支援サービスを共同でリリースいたします。
1.背景と課題
【背景】
東京証券取引所による「PBR※①1倍割れ企業への改善要請」を背景に、多くの上場企業が企業価値向上の具体策を模索しています。2024年時点で東証プライム市場における企業の約半数がPBR1倍割れとされ、これは、同じことを繰り返すだけの業務が大半を占めていることと理論的に関連します。
社員一人一人による将来価値創造への取り組みが急務となっています。
【課題:経営者】
I. PBR向上に直結する打ち手が不明確
II. ROIC※②/WACC※③改善と現場業務の関係が不透明
III. 投資家に耐えうる説明可能な人的資本データが不足
【課題:現場(管理者・担当者)】
I. 自身の業務が企業価値にどう貢献するか説明できない
II. 生産性向上の努力が株価に反映されているか検証できない
III. PBR1倍割れに関する経営者と現場の緊張感も知識レベルも乖離している
これらの課題が、企業価値向上の障壁となっています。
2.本サービスの目指すもの
本サービスは、「どのタスクがPBR向上につながるのか」を明確化し、人的資本経営を株主価値に直結させるタスクマネジメント体系を提供します。JPRの分析によれば、PBRとROIC/WACCには強い相関(決定係数0.93)があり、さらに「高付加価値タスクへの時間配分」がその因果を支えています。本サービスはその仕組みを実務レベルで可視化・実装します。経営者には「株主価値向上への明確なロードマップ」を、現場には「測定可能で納得感のある人的資本経営手法」を提供します。

3.サービス概要(3ステップアプローチ)
ステップ1:タスクの体系化 ― 全社業務を共通言語に
iCD※④のタスクディクショナリを活用し、全社業務を標準化・体系化。経営者から現場(管理者・担当者)まで同じ物差しで業務を把握可能にします。
ステップ2:価値貢献度の紐づけ ― タスクを企業価値に紐付け
各タスクの価値貢献度を8段階※⑤評価し、更に、「基本機能業務※⑥」「補助機能業務※⑦」に分類。達成度を数値化し、価値貢献スコアを算出します。
ステップ3:可視化とシミュレーション ― 投資家に説明可能な人的資本経営
RYX※⑧を導入し、タスク単位の投入実績時間を測定(回収:PCログ、他)。Power BIで閲覧・分析可。この人的資本データを基に、管理者単位で自社への貢献株主価値インパクトのシミュレーションを実施。結果、人的資本経営の成果がROIC/WACC※⑨、ひいてはPBR改善へ直結します。

この3つの仕組みを実現するのが以下の新共同サービスです。

3つの仕組みが段階的に積み上がり、4社のノウハウが結集されることで、人的資本価値から株主価値への変換を確実に実現します。「⑤:人的資本を発揮させる条件(エンゲージメント・多様性、他)」と「①-1:複数年株主価値」を直接連携させて人的資本「開示」を実施している状況を、より具体化させます。
これらを実際の企業に導入するための具体的な手順が、以下の導入プロセス9ステップです。
4.導入プロセス9ステップ
導入プロセスは全9ステップで構成されます。全く初めての新規導入企業はタスクディクショナリ導入の現状分析・マッピング・体系完成の3つのステップから開始し、価値評価、測定導入、データ収集、改善計画、施策展開を経てPBRの向上の実現を目指します。タスクディクショナリ導入済企業はステップ4の価値評価から導入可能です。各ステップの想定期間は企業規模により変動し、小規模企業は9ヶ月、大規模企業は16-20ヶ月を要し、タスクディクショナリ導入済企業はS1-S3のプロセスの多くが不要になり3か月から6か月ほどプロジェクトが短縮します。

5.参考
タスクを企業価値への貢献度でレベル3-10の8段階に分類し、既存タスク(基本価値キープから部門価値創造)6分類と新規タスク(事業モデル革新、エコシステム創造、統合的価値革新)2分類に分け(合計8分類)、さらに基本機能業務と補助機能業務の2分類を掛け合わせることで合計16分類の体系を構築します。これらにより以下のような価値貢献度の体系化がなされます。
タスクを企業価値への貢献度でレベル3-10の8段階に分類し、既存タスク(基本価値キープから部門価値創造)6分類と新規タスク(事業モデル革新、エコシステム創造、統合的価値革新)2分類に分け(合計8分類)、さらに基本機能業務と補助機能業務の2分類を掛け合わせることで合計16分類の体系を構築します。これらにより以下のような価値貢献度の体系化がなされます。

6.今後の展開
今後は、本フレームワークにより、東証PBR改革にそって人的資本経営の開示で高評価となり、投資家・アナリスト・有識者が期待する主な開示のポイントを押さえ、PBRが実際に改善した企業の具体的な実績に匹敵する質の開示を実行します。また、人的資本の国際的開示基準との連携も視野に入れ、グローバル投資家に選ばれる企業づくりを支援します。
■ 紹介:4法人
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一般社団法人iCD協会(iCDA / 所在地:〒101-0046 東京都千代田区神田多町2-2-22 千代田ビル5F、代表者:理事長 金 修:https://www.icda.or.jp)
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株式会社エイチ・ピィ・ピィ・ティ(HPPT / Human Performance & Productivity Technology, Inc.、所在地:〒101-0047 東京都千代田区内神田1-8-9 フォーチュンスクエア2F、代表者:代表取締役 坂本 裕司:https://www.hppt.jp)
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株式会社RIKKA(RIKKA Inc. /所在地:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6-23-4 桑野ビル2F、代表者:代表取締役 CEO 坂本 裕司:https://www.rikka.management)
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ジェイ・フェニックス・リサーチ株式会社(JPR / J-Phoenix Research Inc.、所在地:〒105-0003 東京都港区西新橋1-2-9 日比谷セントラルビル14階、代表者:代表取締役 宮下 修:https://www.j-phoenix.com)
※①:PBR:Price Book-value Ratio:株価純資産倍率
※②:ROIC:Return On Invested Capital:投下資本利益率
※③:WACC:Weighted Average Cost of Capital:加重平均資本コスト
※④:iCD(iコンピテンシディクショナリ):IPA(情報処理推進機構)が開発した、企業で必要とされるタスク(業務)とスキルを網羅的に定義した標準辞書。
※⑤:8段階評価:レベル3-4「価値キープ(差別化なし)」、レベル5-7「競争優位維持・改善」、レベル8-10「価値創造・市場創造」として、各タスクの企業価値貢献度を評価。
※⑥:基本機能業務:企業戦略の実現(=「Job Description:職務記述書」の遂行)に直結する業務。
※⑦:補助機能業務:基本機能業務を補助する業務(無駄ではない)。
※⑧:RYX(RIKKA Yarigai Transformation):業務時間測定・分析(担当者単位)、及び、株主価値インパクトシミュレーション(管理者単位)ツール。Microsoft Teamsで運用。
※⑨:ROIC/WACC:ROIC(投下資本利益率)をWACC(加重平均資本コスト)で割った指標。1.0を超えると価値創造、1.0未満だと価値破壊を意味。