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日立、インフラや産業現場の図面活用を加速する生成AI学習技術を開発

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株式会社 日立製作所

追加学習で接続関係認識精度を約220%向上、保守・設計業務の効率化とノウハウ継承を支援

日立は、インフラや産業現場で広く用いられる電子回路図や配管図、配電図などの図面を、生成AIが高精度に読み取れる学習技術を開発しました。本技術は、図面画像と接続関係テキストをペアで追加学習させる独自手法により(図1)、電子回路図の接続関係認識精度を従来比で約220%向上させることに成功しました。これにより、従来生成AIが苦手としていた複雑な機器間の接続関係も正確に認識でき、現場に眠る大量の図面から現場ナレッジをデジタル化することが可能です。さらに、抽出した現場ナレッジにAIを活用することで、過去の設計事例やトラブル対応履歴を迅速に参照できるようになり、熟練技術者のノウハウ継承や保守・設計業務の効率化など、多様な現場での活用が期待されます。

今後、日立はお客さまやパートナーとの協創を通じて本技術をさらに進化させ、インフラ・産業分野のDX推進を支援するAIソリューションの社会実装をめざします。

図1: 産業現場の図面読解に特化した生成AI学習技術の概要

■背景および課題

インフラ・産業分野の現場では、電子回路図などの配線や配管を示す多様な図面が現場ナレッジとして蓄積されています。しかし、紙媒体からのデータ化や画像劣化の影響で、生成AIは画像中の線の存在や矢印の向きなどを誤認しやすく、特に機器間の接続関係を正確に認識することが困難でした。そのため、熟練技術者のノウハウ継承や、過去図面の活用による設計・保守業務の効率化が進まないことが課題となっていました。

■課題を解決するために開発した技術の特長

そこで日立は、産業現場で用いられる図面の読解に特化した生成AI向け学習技術を開発しました。本技術は、図面画像とその図面内で示された機器の接続関係を両者が同じ情報であると理解させる正解テキストのペアを作成し、生成AIに追加学習させます*1。この独自手法により、電子回路図や配線図、配管図など多様な産業図面に柔軟に対応し、複雑な要素間の接続関係を高精度に認識することが可能になりました。

 開発した手法を電子回路図の読み取りに適用したところ、追加学習により、従来手法では誤認しやすかった線の存在や矢印の向きなどをより正確に認識し、接続関係の認識精度*2が約220%向上することを確認しました(図2)。

図2: 追加学習前後の接続関係認識精度変化

■今後の展望

今後、日立は本技術をLumada 3.0の実現に向けた技術の一つとして強化し、現場ナレッジのデジタル化とAI活用を通じてインフラ・産業分野のDX推進を加速します。特に、次世代AIエージェント「Frontline Coordinator – Naivy」*3によるフロントラインワーカーの作業効率やウェルビーイングの向上、熟練技術者のノウハウ継承など、現場の課題解決に貢献するソリューションとしての展開をめざします。

*1 N. Terashita et al., “Can Visual Encoder Learn to See Arrows?”, VisCon 2025 Poster, 2025.  https://openreview.net/forum?id=eLZURVinXI

*2 生成AIが出力する「接続されている部品ペア」の正解との一致をF値(適合率と再現率の調和平均)によって評価したもの。0.0が一致なし、1.0が完全な一致を示す。

 *3 現場作業における心理的負担軽減と作業効率化を支援する次世代AIエージェント「Frontline Coordinator – Naivy」を開発:2025年7月3日

■関連情報

日立の研究開発ウェブサイト

■照会先

株式会社日立製作所 研究開発グループ
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出典:PR TIMES

本プレスリリースの内容や詳細についてのお問合せは以下までご連絡ください。

企業プレスリリース詳細へ (2025年10月3日 11時00分)

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