GDX
応募者600チームの現地若手エンジニアから選抜された全14チーム参加。優勝はAI船舶管理サービスの「Sushi Innovation」チーム。オードリー・タン氏、進化するAIとの向き合い方を語る。
生成AI技術でDX化を支援する日本発ベンチャー企業、GDX株式会社(本社:東京都渋谷区、以下GDX)とその子会社であるai commerce inc(本社:米・サンペドロ)は、スタンフォード大学ウォルター・H・ショーレンスタイン アジア太平洋研究センター(以下APARC)主催の下、生成AI×魚バリューチェーンをテーマとした「SushiHackathon 2025」を、2025年10月3日(金)に米・シリコンバレーにて共催しました。

SushiHackathon 特設Webサイト:https://sushihackathon.com/
当日は台湾の初代デジタル大臣、オードリー・タン氏のキーノートスピーチから始まり、西海岸の若手エンジニアを中心に選抜された14チームが生成AIを活用したソリューションを発表しました。優勝はカルフォルニア大学とスタンフォード大学メンバーによるチーム「Sushi Innovation」のAIの船舶管理サービス提案。準優勝は、漁師の混獲システム課題に着目したAmazonやUberに所属する若手エンジニアチーム「DeepCatch」、第3位は漁師ならではの健康課題を解決するアイディアを披露したチーム「Pill Snap」が受賞しました。
■オードリー・タン氏によるキーノートスピーチ
イベント冒頭には、台湾の初代デジタル大臣オードリー・タン氏がキーノートスピーチに登壇し、AIが急速に進化する現代への脅威と目指すべき姿について語りました。タン氏によると、人工超知能(ASI)がすでに私たちの日常になった今、社会は分断され、AIのコントロールは特定の人や階層が握る「垂直的な管理」になっているといいます。「皆が協力してフラットにAIをコントロールする『水平的な管理』が必要である」と主張し、現地の若手エンジニアに向けてAIとの向き合い方について考えを述べました。
また、スタンフォード大学 プレコート・エネルギー研究所 客員研究員であるGita Wirjawan氏をモデレーターとして迎えたパネルディスカッションも実施され、タン氏は「AIが情報を非民主化するリスク」を指摘し、教育・立法・市民の力を強調。台湾での塾義民市主義の実践を紹介しつつ、規制、ビッグテック支配、若者のスクリーンタイム、エネルギー効率、匿名性と責任、個人AIまで幅広く議論が展開されました。
■応募者600チームからAIの船舶管理サービスを提案した「Sushi Innovation」チームが優勝
見事優勝に輝いたのは、カルフォルニア大学とスタンフォード大学の学生チーム「Sushi Innovation」。漁師が船舶のメンテナンスに多額の資金を投じていることに着目し、AIを用いて船の故障状態を予知しコスト削減を実現するソリューションを発表しました。審査員からは課題への着眼点や実現性の高いビジネスモデルが評価されました。準優勝には、漁師の混獲の課題に着目したAmazonやUberなどの若手エンジニアチーム「DeepCatch」、第3位には漁師の腱鞘炎の悩みに着目したチーム「Pill Snap」が選ばれました。
参加者からは「今回の大会を通じて現代の水産問題について学ぶことができた」といった声も多く聞かれ、イベント全体を通して寿司とテクノロジーをつなぐ新たな可能性が提示される一日となりました。
GDXは、今回のハッカソンで生まれたアイディアを事業化に向けて検討すると同時に、2026年以降も継続的に「Sushi Hackathon」を開催していく予定です。
■上位入賞アイディア
1位 Sushi Innovation「AI活用で漁船メンテナンス負担を軽減するソリューション」
漁師が船舶のメンテナンスに多額の資金を投じていることに着目し、漁師の船の故障とソナー監視のストレスを、既存の船のデータを使ってAIが代行することでコスト削減につなげるソリューションを提供。
【審査員長 伊川氏コメント】フィールドワークによる解像度の高い問題設定と、現実的かつビジネスとして成立しやすいソリューションを評価しました。また、課題からアイデアまで論理的に構成されたプレゼンテーションも多くの審査員の優勝の決め手となりました。
2位 DeapCatch「漁業の混獲を解決する利益リスクスコアリングシステム」
漁業の混獲の課題に着目し、AIと機械学習を用いた「利益リスクスコアリングシステム」を開発し、特定の場所でのある魚種の予想される漁獲量と混獲リスクを複合スコアとして表示し、漁師が混獲を避けた最適な漁場を提供するソリューションを開発。
【審査員長 伊川氏コメント】船上で漁師が使うシステムに目を向け、そこの課題に向けて取り組んだ点に他チームとの差別化を図っていると評価しました。混獲を減らすという課題への目のつけどころがとても面白いと感じております。
3位 Pill Snap「漁師が直面する漁獲効率と健康課題を解決するソリューション」
漁師が直面する漁獲効率と職業上の健康に対する悩みという二大課題を解決するソリューションを開発。AIが分析したデータ(過去の漁獲情報や市場価格)を提供するウェブサイトと、手根管症候群(CTS)のリスクを早期に検知する手首装着型デバイスを組み合わせたもので、漁師は最適な漁場と魚の販売機会を把握しつつ健康リスクを管理することが可能となる。
【審査員長 伊川氏コメント】漁師の健康問題という他のチームとは違ったユニークな課題の着眼点であったこと、またハードウェア含むソリューション開発まで行っている点を評価。
■審査員(敬称略)
-
審査員長 Kenjiro Ikawa(伊川 賢二郎):GDX株式会社 COO
-
David Cohen:APARC 東南アジアプログラム 共同ディレクター
-
Gita Wirjawan:スタンフォード大学 プレコート・エネルギー研究所 客員研究員
-
Fan Wen:Fin Capital AI部門 ディレクター
-
Halit Erdogan:Neural Bridge 共同創業者
-
Chikako Masuda(増田 睦子):デジタル庁 リサーチユニット長/サービスデザインサブユニット兼任
■GDX株式会社について
GDX株式会社は、「ワンクリックで国境を越える小売を実現する」をミッションに、グローバル市場でブランドの成長を加速させるリテールDX企業です。生成AI、ECプラットフォーム、業務自動化ソリューションを駆使し、戦略立案からシステム開発、運用支援まで、独自のオムニチャネルソリューションを一気通貫で提供。アメリカ、インド、東南アジアをはじめとする世界各地の拠点から、各地域の商習慣や顧客ニーズに応じたデジタル戦略を展開しています。