オムロン株式会社
オムロン サイニックエックス株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:諏訪正樹、以下 OSX)は、「The 2025 IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems (IROS 2025)」にて、最新の研究成果を発表します。
「IROS」は、「ICRA」とならび、ロボティクス分野において世界最大かつ最も影響力のあるトップカンファレンスの一つです。2025年は4,306件の投稿の中から、1,991件(約46.2%)の論文が採択され、10月19日から10月25日(現地時間)にかけて中国 杭州市で開催されます。
ICRA:IEEE International Conference on Robotics and Automation
OSXより発表する研究論文は、次の2件です。
■Pose Estimation of a Cable-Driven Serpentine Manipulator Utilizing Intrinsic Dynamics via Physical Reservoir Computing
(日本語訳:物理的リザーバ計算を用いたケーブル駆動ヘビ型マニピュレータの姿勢推定)

著者 |
Kazutoshi Tanaka (OSX), Tomoya Takahashi (OSX), Masashi Hamaya (OSX) |
---|---|
研究紹介 |
ケーブル駆動ヘビ型マニピュレータは、障害物回避、多方向の力の適用、軽量設計など、非構造化環境において大きな可能性を秘めています。すべてのモーターとセンサーをベースに配置し、プラスチックリンクを使用することで、アームの重量をさらに軽減できます。このコンセプトを実証するために、アーム長545mm、全重量わずか308g の9自由度ケーブル駆動ヘビ型マニピュレータを開発しました。 しかしながら、本設計では、ケーブルのたるみ、伸び、リンクの変形など、柔軟性に起因する変動が生じます。これらの変動により、解析予測と実際のリンク位置の間に食い違いが生じ、姿勢推定がより困難になります。この課題に対処するため、マニピュレータの固有の非線形ダイナミクスを高次元リザーバとして利用する、物理的リザーバコンピューティングに基づく姿勢推定法を提案します。 実験結果では、本手法を用いた場合の平均姿勢誤差は4.3mmであったのに対し、ベースラインの長短期記憶ネットワークを用いた場合では4.4mm、解析的アプローチを用いた場合では39.5mmで、提案手法の有効性を確認しました。本研究は、軽量ケーブル駆動ヘビ型マニピュレータの固有ダイナミクスを活用した制御および知覚戦略の新たな方向性を示しています。 |
関連ページ |
■WAVE: Worm Gear-based Adaptive Variable Elasticity for Decoupling Driving and External Forces
(日本語訳:WAVE: ウォームギアを用いて駆動力と外力を分離する可変弾性機構)

著者 |
Moses Gladson Selvamuthu (OSX, Yamagata University), Tomoya Takahashi (OSX), Riichiro Tadakuma (Yamagata University), Kazutoshi Tanaka (OSX) |
---|---|
研究紹介 |
コンプライアンス(受動性・柔順性)と剛性の両方を調整できるロボットマニピュレータは、動作の安全性と多様性を向上させます。本研究では、非逆駆動性のウォームギアを組み込んだ可変剛性アクチュエータ(VSA)である、ウォームギアに基づく適応的変形弾性(WAVE)を提案します。 WAVEは、このウォームギアを用いて駆動モーターを外部からの力から分離することで、関節への正確な力伝達を可能にしつつ、コンプライアンスを通じて位置ズレを吸収します。また、衝撃力をバネに蓄えられる弾性エネルギーに変換することで、過大な負荷からアクチュエータ自体を保護します。 我々はこれらの能力を実証し、提案する剛性モデルを実験的に検証しました。また、外部負荷がかかっている静止状態でもモーター負荷がゼロに近づくことを示し、WAVEを搭載したマニピュレータを用いた応用例を提示しました。この結果は、外力の分離が成功していることを示しています。 |
関連ページ |
※所属は、論文執筆時点のものです。現時点では、情報が異なる場合がありますので、あらかじめご了承いただくとともに、ご注意をお願いいたします。
オムロン サイニックエックス株式会社について
オムロン サイニックエックス株式会社は、オムロンが考える”近未来デザイン”を創出する戦略拠点です。「AI」「ロボティクス」「IoT」「センシング」など、幅広い領域の最先端技術のトップ人財が研究員として在籍し、社会的課題を解決するために、技術革新をベースに「ビジネスモデル」「技術戦略」「知財戦略」を統合し具体的な事業アーキテクチャに落とし込んだ”近未来デザイン”を創り出します。また、大学や社外研究機関との共同研究を通じて「近未来デザイン」の創出を加速していきます。
◆ホームページ:https://www.omron.com/sinicx/
◆最新の活動:https://www.omron.com/sinicx/activity/
◆お問い合わせはこちら