公益財団法人 笹川スポーツ財団
男性40・50歳代の実施率は増加するも、全体では前回調査から減少
「スポーツ・フォー・エブリワン」を推進する公益財団法人 笹川スポーツ財団(所在地:東京都港区 理事長:渡邉一利 以下:SSF)では、1992年から隔年で「スポーツライフに関する調査(スポーツライフ・データ)」を実施しています。全国の18歳以上を調査対象に、頻度・時間・運動強度からみた SSF独自の指標である「運動・スポーツ実施レベル」をはじめ、スポーツ観戦率や好きなスポーツ選手の推移など、国内のスポーツライフの現状を明らかにしてきました。
2024年の調査(調査期間:2024年6月~7月)では、20歳以上のジョギング・ランニング実施率(年1回以上)は7.4%、推計実施人口は758万人となり、2020年のピークから減少傾向が続きました。一方で、男性40・50歳代の実施率は前回調査(2022年)から増加しました。
▼公式ウェブサイト
https://www.ssf.or.jp/thinktank/sports_life/data/jogging_running.html

<調査結果のポイント>
● 年1回以上のジョギング・ランニング実施率・推計実施人口:2020年のピークから減少傾向が続く
実施率:2020年:10.2% → 2022年8.5% → 2024年7.4%
推計実施人口:2020年:1,055万人 → 2022年877万人 → 2024年758万人
● 性別・年代別
前回調査から男性50歳代の実施率が増加、男性40歳代、女性60・70歳以上は微増
女性20歳代の実施率は、2020年15.8%から2024年4.9%と大きく減少
● 都市規模別:東京都区部が10.1%で最も高く、20大都市の8.6%のみ前回調査から増加
<担当者コメント>
■減少の背景には、マラソン大会の減少や運動・スポーツに代わる余暇の選択肢の拡大か
ジョギング・ランニングの年1回以上の実施率は、東京マラソン開始後の2008年から増加し、コロナ禍初期である2020年に全体および男性で過去最高を記録したが、その後減少に転じ、2024年は2008年と同水準になった。前回調査からは男性40・50歳代、女性の60歳代・70歳以上で増加した一方で、女性20歳代では大幅に減少するなど、全体としては減少傾向が継続した。
ライフスタイルの変化によるSNSやスマホゲームの利用、動画の視聴といった余暇活動の選択肢拡大が、運動・スポーツ実施率全体の減少傾向の一因となっていると推測される。このような中、健康志向や市民マラソン大会の増加を背景に上昇してきたジョギング・ランニング実施率も20・30歳代の顕著な低下に牽引され、減少する結果となった。また、近年は人件費・物価上昇に伴う大会運営費や参加費の高騰、大会の飽和状態による参加者数の減少から中止や終了する大会も散見され、継続意欲の維持が困難な状況も実施率減少の要因となっている可能性がある。
松下 由季(笹川スポーツ財団 シニア政策オフィサー)
<主な調査結果>
1. 2024年のジョギング・ランニング実施率(年1回以上)7.4%、推計人口758万人
年1回以上のジョギング・ランニング実施率は2022年の8.5%から1.1ポイント減少し、2024年は7.4%であった(図1)。性別にみると男性の実施率は11.4%、女性は3.3%と、いずれも2022年から1ポイント程度減少している。実施率の推移を過去20年間で振り返ってみると、2004年(6.6%)から増加傾向がみられていたが、2020年の10.2%をピークに減少に転じ、2024年も減少が続いた。
図1. 年1回以上の「ジョギング・ランニング」実施率の推移(1998年~2024年):全体・性別(20歳以上)

2024年に年1回以上のジョギング・ランニングを実施した人は推計で758万人であった(表1)。過去最高を記録した2020年の1,055万人からは約300万人減少した。性別にみると男性は564万人、女性は175万人であり、年1回以上ジョギング・ランニングを実施する人は男性に多い。この傾向は調査を開始した1998年から同様で、当初は2倍を下回っていた推計実施人口の男女差は2024年には3倍以上に開いた。女性は調査開始以降、実施率が最も低くなり、推計実施人口も20年ぶりに200万人を下回った。
表1. ジョギング・ランニング実施率(年1回以上)と推計実施人口(万人)の年次推移(全体・性別)

注1)推計人口は住民基本台帳の成人人口(人)に実施率(%)を乗じて算出
注2)推計値を算出する際に端数が発生するため、全体の人口と男性・女性を合計した人口は必ずしも一致しない
笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査報告書」(1998~2024)より作成
2. 【性別・年代別】ジョギング・ランニング実施率(年1回以上)
年1回以上のジョギング・ランニング実施率を性・年代別にみると、2024年の男性では40歳代の18.2%が最も高く、20歳代13.5%、30歳代12.9%、50歳代12.6%と続く(図2)。50歳代以下の実施率は調査年度によって変動はあるものの、2020年をピークに減少したが、40歳代と50歳代の実施率は2022年から増加した。
図2. 年1回以上の「ジョギング・ランニング」実施率の推移(1998年~2024年):男性(20歳以上)

女性の2024年実施率は40歳代の5.1%が最も高く、20歳代4.9%、30歳代3.9%と続く(図3)。20歳代の実施率はほかの年代に比べ高い傾向が続いていたが、2020年から3分の1程度へと大きく減少し、2024年は40歳代を下回った。30歳代の実施率も減少傾向が継続した。一方、女性で2022年より実施率が増加したのは60歳代、70歳以上であった。
図3. 年1回以上の「ジョギング・ランニング」実施率の推移(1998年~2024年):女性(20歳以上)

3. 【都市規模別】ジョギング・ランニング実施率(年1回以上
年1回以上のジョギング・ランニング実施率を都市規模別にみると、2024年は東京都区部が10.1%で最も高く、20大都市8.6%であった。20大都市のみ前回調査から実施率が増加した(図4)。町村は2018年から2022年まで上昇傾向であったが、2024年は2022年から2.9ポイント減少し5.5%となった。
図4. 年1回以上の「ジョギング・ランニング」実施率の推移(1998年~2024年):都市規模別(20歳以上)

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【「スポーツライフ・データ2024」調査概要】
調査内容:運動・スポーツ実施状況、運動・スポーツ施設、スポーツクラブ・同好会・チーム、スポーツ観戦、スポーツボランティア、日常生活における身体活動、生活習慣・健康 他
調査対象:全国の市区町村に居住する満18歳以上の男女3,000人(男性: 1,498人、女性1,502人)
地点数:300地点(大都市90地点、人口10万人以上の市122地点、人口10万人未満の市64地点、町村24地点)
調査時期:2024年6月7日~7月7日
※スポーツライフに関する調査報告書「スポーツライフ・データ2024」に関するプレスリリースは2025年4月にご案内済
笹川スポーツ財団「行動するスポーツシンクタンク」
公益財団法人 笹川スポーツ財団は、「スポーツ・フォー・エブリワン」を推進するスポーツ分野専門のシンクタンクです。国、自治体のスポーツ政策に対する提言策定や、スポーツ振興に関する研究調査、データの収集・分析・発信、自治体との共同実践研究などを通し、スポーツで社会課題を解決します。
理事長 : 渡邉 一利
所在地 : 〒107-0052 東京都港区赤坂1-2-2 日本財団ビル3階
設立 : 1991年3月
目的 : スポーツ・フォー・エブリワンの推進
事業内容:
・生涯スポーツ振興のための研究調査
・生涯スポーツ振興機関との連携事業
・生涯スポーツ振興のための広報活動
URL : https://www.ssf.or.jp/