大阪市博物館機構
会期:2026年7月11日(土)~9月6日(日) 会場:大阪市立美術館

2026年7月11日(土)~9月6日(日)の期間、大阪市立美術館にて、大阪市立美術館開館90周年記念特別展「水滸伝」を開催いたします。
『水滸伝』は、『三国志演義』、『西遊記』、『金瓶梅』と並ぶ中国四大奇書の一つで、明時代に成立した武侠小説です。物語では、北宋時代末期、国政への不満を抱いた宋江をはじめとする豪傑108人が梁山泊という要塞に集い、革命を起こします。『水滸伝』自体は史実ではありませんが、『宋史』には徽宗朝で宋江率いる36人が梁山泊(実際に山東省西部に存在した沼沢)近辺で反乱を起こしたという記録があり、この宋江反乱の史実をもとに物語が形成されたとみられています。
『水滸伝』の構成は年代ごとに増減があるものの17世紀に70回本が成立し、日本へは江戸時代に輸入され、日本においても爆発的な人気を得ました。曲亭馬琴が葛飾北斎の挿絵で『新編水滸画伝』を出版したほか、馬琴は『水滸伝』の日本版ともいえる『南総里見八犬伝』等を著すなど、翻案作品も多数書かれました。歌川国芳が大胆な構図と美麗な彩色によって豪傑たちを描いた浮世絵は今なお新鮮な魅力を放っています。
本展は『水滸伝』の物語をつぶさに紹介するものではなく、『水滸伝』に導かれながら北宋~清の中国美術、および江戸~現代の日本美術を広く展観するものです。これまで『水滸伝』に関わる展覧会は、版本や国芳の浮世絵にフォーカスしたものが中心でした。本展は中国美術を含む多彩な作品や資料を通じて『水滸伝』の世界を多角的に提示することで、その魅力を深く味わっていただく、今までにない試みです。
『水滸伝』は現代日本においても小説、映画、ドラマ、漫画、ゲーム等の各メディアで高い人気を誇るコンテンツです。本展のねらいは、同書をきっかけとして広い世代に中国と日本の美術に親しんでいただくことにあります。同時に、同書における単純ではない「忠義」のありようとその受容史から、各時代の世相や思想、理想を知り、翻っては私たちの生きる現在を考える契機としたいと考えています。
展示作品
歌川国芳《通俗水滸伝豪傑百八人之一個(壱人)》江戸時代・19世紀個人蔵
国芳の出世作としても、また日本における水滸伝ブームのきっかけの一つとしても重要な作品。当時日本に流入した中国の水滸伝図像を摂取しつつ、国芳ならではの創意にあふれた傑作である。108人の全図は確認されていないが、74図が現存する。



燕文貴《江山楼観図》北宋・10-11世紀大阪市立美術館
太宗朝の宮廷画家。相国寺壁画制作に参加した。相国寺は北宋の都開封の最大の寺院で魯智深が菜園番をつとめた場所。

展示構成(予定)
第一章 梁山泊へようこそ
第二章 豪傑たちの生きた時代
第三章 武侠小説・水滸伝の誕生と流行
第四章 拡張する英雄像
第五章 終わりなき水滸伝ブーム
開催概要
展覧会名:大阪市立美術館開館90周年記念特別展「水滸伝」
会期 :2026年7月11日(土)~9月6日(日)
休館日 :月曜日(祝日の場合は開館し、翌平日休館)※ただし8月10日は開館
開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
会場 :大阪市立美術館[〒543-0063 大阪市天王寺区茶臼山町1-82]
主催 :大阪市立美術館、読売新聞社
美術館公式HP:https://www.osaka-art-museum.jp/
お問合せ:大阪市立美術館 06-6771-4874
※展示作品、会期などについては諸事情により変更する場合があります。※詳細は決まり次第、随時発表します。
巡回:2026年9月19日(土)~11月8日(日) 東京ステーションギャラリー