坂井市役所
福井県坂井市 初の美食育アンバサダー活動第1弾

児童の目の前 愛用フライパンで手早くオムレツ
今年6月に坂井市美食育アンバサダーに就任したフランス料理店オーナーシェフ、秋元さくらさん(45)=東京都在住=による出前授業とお料理会が10月3日、福井県坂井市の平章小学校で行われた。秋元さんにとって、美食育アンバサダー活動として第1弾となるもので、秋元さんは授業でも料理中でも終始、笑顔を絶やさず、身振り手振りで児童たちとの“おしゃべり感覚”の授業を楽しんだ。授業を受けた4年生38人は、調理室で秋元さんとフルーツサンドを作ったり、秋元さんが自前のフライパンで作ったふわとろなオムレツを載せて「オムライス」を完成させたりして、料理の楽しさ、食が自分たちの成長を支える大事な源であることなどを学んだ。

秋元さくらさんは福井市出身で東京・日比谷でフランス家庭料理店のオーナーシェフを務めている。出前授業では、はじめに秋元さんは、自分が料理づくりに向き合う姿勢や、レストランを通じて築いた幅広い人脈、もともとCA(キャビンアテンダント)からシェフに転職した理由が世界各地で出合った美味しい料理であったことなどを語った。
子どもたちには「苦手な食べ物は何?」、「なんで嫌いになったの?」と優しく質問、大人に成長していくと「またその食材の良さが分かるよ」などと、児童たちとおしゃべりするかのように対話、食への理解を説いていった。また「家族同士で、うれしいことがあると思わずハグすることがあるよね。家族のために作るお母さんの料理の中には、それと同じような愛情ホルモンがあるの」と話し、毎日、何気なく食べている家庭料理の魅力や、子どもたちの健康や元気につながる食材や料理のチカラを伝えていた。
「家庭料理は、すごいチカラを秘めている」
調理室に移動してからは、フルーツサンドとオムライスづくり。フルーツサンドは、地元農家らから地物のシャインマスカットやアールスメロンなどの提供を受け、児童たちは秋元さんの指導を受けながらパンにいろどりよく載せていった。

オムライスづくりでは、「これ、19センチのフライパンは私の。今日は東京から持ってきました。オムレツづくりには一番使いやすいの」と愛用のフライパンを披露。児童がバターを入れ、温まったフライパンに卵を割って素早く3回かき回し、オムレツが出来上がると、その手早さを目の前でみていた児童たちから「おーすごい」と歓声が上がった。
用意されたケチャップライスに、オムレツをふんわりと載せ、児童たちが中央にナイフで切れ目を入れると、黄色い花びらのようなオムレツが広がり、美味しそうなオムライスが完成。児童たちはケチャップをかけ、ふわとろの卵の上に思い思いの模様を描いていた。

終了後は、児童全員が秋元さんを囲んで記念撮影に納まった。初のアンバサダー活動を終えた秋元さんは「実は、子どもたちとこうしたお料理をするのは初めて。子どもたちの反応も上々で、私自身楽しかった。これからは、いっしょに生産者を訪ねたりして、地元食材を誇りに感じてもらえるような活動をしていきたい」と話していた。

この日の授業とお料理会に参加した4年生の小林凜音(りん)さんは「お母さんとよくハンバーグを作ったりする。今日のさくらさんの話を聴いて、普段は作ったことがないお料理に挑戦して、家族に食べてもらいたいと思った」と感想を述べていた。
秋元さんは、テレビの料理番組への出演や、料理のレシピ本、食育関係の本などの著作も出すなど幅広く活躍中。坂井市は、今年3月に市が「美食都市アワード」に選ばれたことをきっかけに、知名度の高い秋元さんにアンバサダー活動を通じて、地元食材のアピールや食の美味しさや楽しさを市民に学んでもらう食育活動につなげようと、全国的にも珍しい「美食育アンバサダー」(美食育は造語)を委嘱した。

秋元さくら
福井市出身。東京・日比谷のフランス家庭料理「morceau(モルソー)」オーナーシェフ。もともとは航空会社の国際線CAとして世界各地を訪れた際、その土地その土地の魅力的な食文化に触れたことをきっかけに、料理人に転身。自身が経営するフレンチレストランが評判になり、料理のセンスなども話題となり、テレビの調理番組などにも多数出演。そのほかレシピ本の出版や、各種の料理監修など多方面で活躍している。