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医療資源豊富な地域でも見落とされる医療ニーズ。家庭医療の新たな価値を確認

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医療法人社団やまと

愛媛生協病院の水本潤希医師らは、やまと診療所高知において家庭医療クリニックが地域の中の潜在的な医療ニーズを発掘できることを示す研究結果を得たことを発表

やまと診療所高知の常勤医師。左から)山内医師、西村院長、久武医師

医療法人社団やまとは、愛媛生協病院 家庭医療科の水本潤希医師らが行った研究により、家庭医療クリニックの価値が確認されたことを発表します。医療資源が豊富な地域であっても、新たに家庭医療クリニックができることで、潜在的で複雑な医療・社会的ニーズが発掘され、補完される利点があることが示されています。

本研究は「Addressing healthcare needs in an inaugural family medicine clinic in a core city in Japan: Mixed-methods research」として、2025年3月21日に日本プライマリ・ケア連合学会の英文誌「Journal of General and Family Medicine」に受理され、受理原稿がインターネット上に公開されています。

研究対象となったやまと診療所高知は、2023年10月、高知県高知市吉田町にあった内科医院を承継する形で開設され「小児から高齢者まで、地域の患者さんの困りごとにはなんでも相談に乗ること」をモットーに診療をしています。

今後も、多様で複雑な健康上の悩みを抱える患者さんの診療を通して得られた、現場の医療者の気づきや疑問を研究という形で明らかにし、地域医療の発展と家庭医療に携わる医療者の育成に役立てていきたいと考えています。

▼論文原著(Journal of General and Family Medicine掲載)

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/jgf2.777

➡️医療法人社団やまとHP

https://yamatoclinic.org/

➡️やまと診療所高知HP

https://kochi.yamatoclinic.org/

■家庭医が研究活動を行うことの意義

1. 地域の「潜在的医療ニーズ」を見える化する

見逃されやすい疾患や、孤独、服薬の問題、制度未活用、家族の介護問題など、サポートが届いていないところを見える化することができます。

2. 「現場感覚のある医療モデル」を世の中に発信できる

実際の地域住民に寄り添ったリアルなデータに基づいて研究をすることにより「現実に根ざした医療モデル」を社会に示すことができます。

3. 家庭医療の価値を科学的に証明する

予防や早期介入の効果、医療の分断を防ぐ役割、社会的課題への対応力といった、家庭医療の価値をエビデンスとして可視化することができます。

4. 地域医療の未来をつくる

現場での観察や調査から得られる知見は、その地域に合った医療政策や支援に反映できます。

5. 医療者自身が学び続ける文化の醸成

調査や研究は、「なぜ?」「どうしたらもっと良くなる?」と問い続ける姿勢から始まります。日常診療から生まれた疑問や課題感を医師やスタッフで共有し、患者さんのことを深く考えながら一緒に答えを見つけ出すことの繰り返しで、現場の診療に活きる学びを続ける文化が生まれます。

■研究内容の概要

水本潤希医師

本研究は、高知県高知市(人口約30万人)の市街地に開設されたばかりの家庭医療クリニック「やまと診療所高知(以下、やまと高知)」で実施されました。

高知市は医療資源が豊富で、人口あたりの病床数は国内で最も多く、医科診療所(クリニック)は約250施設あります。一方で「家庭医療」を専門に掲げるクリニックはこれまで存在していませんでした。また、近隣に訪問診療を行う医療機関が存在しなかったことから、やまと高知では訪問診療も開始。通院困難で医療面・生活面ともに支援を必要とする高齢者などに対し、家庭医による在宅での医療提供を実現しました。

本研究では、やまと高知の外来患者、計1,327名の診療データから新たに発見された医療ニーズ156件を記録し、医療的・社会的複雑性を質的・量的データの両面から分析。33歳から94歳の計13名の患者が、疾患の見落とし、薬剤の不適切使用、社会的孤立、家族に関する相談など、従来の医療体制では拾いきれなかった複雑な健康状態および社会的ニーズを有していることを確認しました。

調査・分析は、水本医師、やまと高知の西村真紀院長、他2名の家庭医と他職種3名の協力体制で行われ、患者の背景や語りに丁寧に耳を傾ける姿勢が、地域における包括的な医療の実現につながることが示されました。本成果は、家庭医療の導入が地域社会にもたらす可能性を示すものであり、今後の高齢化社会における地域包括ケアの在り方を考える上で重要な知見となります。

■今後の展望

今回の調査研究は、研究規模が小さく、単一の施設内で実施されたため、依然として不確実性が残るという限界がありました。また、大学での調査研究経験のある水本医師がやまと高知での診療に加わっていなければ、成し得ないものでした。

院長の西村は「カナダにあるウエスタンオンタリオ大学の家庭医療学修士コースで学んだ際、地域医療の現場で患者を診る臨床医と大学の研究者が、それぞれの役割を活かして共同で研究に取り組んでいることに驚き、その重要性を経験しました。家庭医は研究者にはない地域というフィールドを持っています。日本においても、現場の医師が日常診療から研究課題を見つけ、大学の研究者と共同で調査研究を行う風土を進めなくてはいけないと感じます」と話します。

今後は、より家庭医が調査研究に取り組みやすい環境を作るため、家庭医専門医育成プログラムで協力している施設や大学病院との連携を強めていき、家庭医療クリニックが地域に与える影響を、長期的かつ大規模で明らかにするための研究活動に取り組んでいきたいと考えています。

■家庭医とは

家庭医とは、地域住民の健康のために主に診療所をベースに働く総合診療医のことです。赤ちゃんからお年寄りまで、すべての健康問題に関わり、科を問わない診療、健診、予防接種、在宅医療を行います。また、地域全体を診るという視点から、地域の医療・介護・福祉等と連携し、その方にとって最適なサービスを提供していきます。

患者さんにとっては「何でも相談に乗れる身近な医師」で、大都市から僻地・離島、総合病院からクリニックまで、人が生活する場所に必要な医師です。

■医療法人社団やまととは

やまとは、2011年の東日本大震災をきっかけに結成された医療支援チームをベースとしています。2013年4月、宮城県登米市に「やまと在宅診療所 登米」を開設し、現在は在宅診療を主体とする診療所を10カ所(宮城県登米市、大崎市、栗原市、仙台市若林区、仙台市青葉区、名取市、白石市、岩手県一関市、神奈川県川崎市、横浜市)と家庭医療を行う診療所(高知県高知市)のほか、訪問看護ステーション、栄養ケアステーションを運営。今後も「地域に対して想いを持つ医療者と共に、その地域の資源を活かした持続可能な医療体制の構築」を目指し、新規開設を計画しています。

医療法人社団やまとHP:https://yamatoclinic.org/

やまとプロジェクトfacebook:https://www.facebook.com/medicalcorporationyamato

出典:PR TIMES

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企業プレスリリース詳細へ (2025年4月28日 10時00分)

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