atsumari Ltd.
株式会社atsumariは、国際的に注目される若手ヴァイオリニストであるドゥアラ・アディ氏(13歳)に対し、20世紀イタリアの名工アウグスト・ポラストリによる貴重なヴァイオリンを貸与しました。

株式会社atsumariは、国際的に注目される若手ヴァイオリニストであるドゥアラ・アディ氏(13歳)に対し、20世紀イタリアの名工アウグスト・ポラストリ(1877–1927)による貴重なヴァイオリンを貸与しました。現代に生きる新星と歴史的名器が出会うことで生まれる音楽の物語は、単なる楽器の貸与を超えた感動的な章の幕開けです。若き演奏家と伝説的な楽器を橋渡しする本プロジェクトは、世代と文化を越えて音楽の魂を紡ぎ出す意義深い試みとなります。
ドゥアラ・アディ氏:飛躍する若きヴァイオリニストの横顔

ドゥアラ・アディ氏は、卓越した才能で国内外から注目を集める若干13歳の若手ヴァイオリニストです。東京のインターナショナルスクールに在籍するアディ氏の実力は、数々のコンクールで実証されています。2023年の第77回全日本学生音楽コンクール全国大会ヴァイオリン部門・小学校の部において見事第1位と横浜市民賞に輝き、同大会初出場ながらその名を全国に知らしめました。それ以前にも大阪国際音楽コンクール小学生部門で第一位を獲得するなど、幼少期より輝かしい受賞歴を重ねています。こうした実績は、アディ氏の卓越した技術と音楽性を物語っています。
その演奏は年齢を超えた深い音楽性で聴衆を魅了します。実際、コンクール会場で彼の演奏に接した指導者からは「この子はもはや音楽を勉強する子供ではなく、小さな音楽家だ」と称賛されるほどで、幼い頃から培った豊かな表現力と舞台上での堂々たる存在感が評価されています。難曲に果敢に挑む探究心と集中力もアディ氏の大きな特長です。パガニーニ「ラ・カンパネラ」など超絶技巧を要する楽曲でも緻密な練習を重ね、舞台上では一音一音に魂を込める演奏を披露してきました。その結果、聴衆のみならず審査員をも魅了し、「演奏が始まると会場の空気が一変する」と評されるほどの存在感を放っています。
さらに国際的な舞台でも活躍し始めており、2024年にはタイで開催されたチャリティー音楽イベント「ChildAid」に日本代表として招聘され、各国の若きアーティストたちと共演を果たしました。異文化の音楽家たちとの共演経験は、アディ氏にとって音楽的視野を一層広げる機会となり、その豊かな感性に磨きをかけています。こうした国内外での活動実績に裏打ちされたドゥアラ・アディ氏は、次世代を担う演奏家として大いに期待され、その一挙手一投足が注目を集めています。
貸与された名器:アウグスト・ポラストリが遺した至高のヴァイオリン

今回アディ氏に貸与されたヴァイオリンは、イタリア・ボローニャ派の巨匠アウグスト・ポラストリが製作した歴史的名器です。ポラストリは19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍し、20世紀を代表する名製作家の一人として知られています。少年時代より名工ラファエレ・フィオリーニの工房で才能を認められ、その若さで工房を任されるほどの腕前でした。1906年前後には彼独自のモデルを確立し、師フィオリーニの伝統を受け継ぎつつも独創的なボローニャ様式の楽器を生み出しています。その職人技は完璧に近い仕上がりを見せ、ニスは柔らかな質感で赤みがかった褐色の地に黄金色の下地が透ける美しいものが使われています。外観から放たれる気品と存在感はひときわ際立ち、見る者を魅了してやみません。
ポラストリの楽器は音響面でも極めて優れた特長を備えています。豊かなパワーと色彩感を併せ持つその音色は、「オールド・イタリアン」らしい深みと温かみを湛え、演奏者の表現に敏感に応えてくれる楽器として評価が高いです。実際、ポラストリが製作したヴァイオリンは1927年のジュネーブ製作コンクールで優勝を果たしており、そのクオリティの高さが当時から国際的に認められていました。
しかし何よりこの楽器が特別なのは、その希少性です。ポラストリは修復や調整の名手でもあったため、新作楽器の製作数はごく僅かに留まりました。その結果、生涯で製作したヴァイオリンは64挺ほどといわれています。名匠が魂を込めて作り上げた数少ない作品の一つである本器は、年月を経た現在でも極上の保存状態と響きを保ち、歴史的価値と芸術的価値を併せ持つ真の名器といえます。
このポラストリのヴァイオリンには、幾多の物語と伝統が宿っています。スペインの名ヴァイオリニスト、パブロ・デ・サラサーテもポラストリの腕を高く評価し、その工房に足繁く通ったと伝えられます。サラサーテは自身の愛器ストラディヴァリウスの調整を任せるほど信頼を寄せ、ポラストリを「リュート製作の魔法使い」とまで称賛しました。こうした逸話は、本器が単なる骨董品ではなく、歴史を彩った巨匠と演奏家の友情の証でもあることを物語っています。
また、ポラストリの工房で共に働いた弟ガエタノ・ポラストリの存在も特筆に値します。ガエタノもまた優れた製作家であり、1910年代から兄を助け、兄亡き後の1927年以降は工房を引き継いでその技術と伝統を守りました。兄弟はラベルや焼印にも工夫を凝らしており、1910年頃から使われ始めた雄鶏の刻印(ロースターブランド)はエンドピン付近や胴内部に押され、フィオリーニ門下であることを示す印刷ラベルやボローニャ市章入りの直筆ラベルとともに、両名の作品に用いられました。ガエタノの手による楽器には兄と同じ刻印やラベルが引き続き使われたため、後年それらがコピー品に転用されることもあったほどです。このように名器ポラストリの系譜は、兄弟二人の情熱と技巧によって紡がれてきた特別なものなのです。
株式会社atsumariの理念と若手支援プロジェクトの意義

今回の貸与を実現した株式会社atsumariは、音楽愛好者と演奏家を繋ぐ架け橋となることを理念に掲げる企業です。その信念には、才能ある演奏家と歴史的名器を結びつけることで音楽文化を活性化しようという新しい試みが込められています。まさにこのプロジェクトは、音楽の未来を担う若手アーティストに貴重な歴史的資産を受け継いでもらうための重要な一歩であり、音楽が人と人とを繋ぐ力を改めて実感させる取り組みとして多くの支持を得ています。
atsumariは2018年の設立以来、「豊かな音楽社会のための企業」として楽器シェアリングサービスや名器ディーリング事業を展開してきました。“鳥のように美しく音色を奏で、自由に成長し羽ばたいてゆく”とのモットーのもと、若い才能が名器との出会いを通じて大きく羽ばたく機会を提供することが同社の社会的使命だと考えています。そのため、国内外の名器を収集・管理し、有望な演奏家に貸与する若手支援プロジェクトを推進しています。名器の価値を未来へ繋ぎながら、次世代の芸術家の飛躍を後押しするこの取り組みは、日本における音楽パトロネージュ文化の新たな形として注目されています。
今回のポラストリ貸与も、そうしたatsumariの理念に基づくプロジェクトの一環として実現しました。背景には、「才能ある若い演奏家にこそ最高の楽器を託し、その可能性を最大限に引き出してもらいたい」という願いがあります。歴史的名器は美術館に飾られるだけでなく、生きた音楽を紡ぐことで初めて価値が輝くものです。atsumariは、その掛け橋となることで楽器にも演奏家にも新たな生命を吹き込み、音楽文化全体の発展に寄与したいと考えています。
さらに本プロジェクトは、企業の社会貢献としての側面も持ち合わせます。優れた楽器を提供するスポンサー企業の存在は、演奏家の国際舞台での活躍を支えるだけでなく、「この音色の裏には支援者の思いがある」という物語を創出します。実際、演奏会で「使用楽器は株式会社atsumariより貸与された○○です」と紹介されるたびに、企業と音楽ファン、そして演奏家との新たな繋がりが生まれています。こうした音楽を通じた共創の輪を広げてゆくことも、atsumariが目指す未来像の一つです。

歴史的名器ポラストリを手にしたドゥアラ・アディ氏は、これから新たな音楽の旅路へと踏み出します。若き才能と名器との邂逅は、単に楽器を交換したというだけでなく、音楽史と未来を結ぶ架け橋となる出来事です。アディ氏はこの楽器を携えてコンサートやイベントに出演し、その響きを世界に届けていくことでしょう。実際、近く開催される国際音楽祭のステージでも本器を用いた演奏が予定されており、歴史と現代が融合した音色が聴衆を魅了することが期待されています(使用楽器としてアウグスト・ポラストリが紹介されています)。今後、録音やメディアを通じてもこの名器の魅力を発信し、多くの人々がその音に触れる機会が増えてゆくに違いありません。
ポラストリとの出会いは、アディ氏にとって自身の芸術性をさらに深化させる絶好の機会です。名器が秘める表現の可能性に触発され、新たなレパートリーへの挑戦や創造的な解釈が生まれることでしょう。たとえば力強くも繊細なポラストリの音色は、これまで以上に多彩なダイナミクスとニュアンスを引き出すことを可能にし、アディ氏の演奏に新境地をもたらすと期待されます。少年時代から磨いてきたテクニックと感性に、この名器が持つ300年近い歴史の重みと響きが融合することで、唯一無二の音楽表現が生み出されるに違いありません。
音楽ファンにとっても、若きヴィルトゥオーゾと名器が紡ぐ物語は大きな感動をもたらします。かつてオールドイタリアンの名器が奏でられたクラシック音楽の黄金期と、今まさに台頭しつつある新世代の才能とが出会うことで、音楽史に新たな一頁が刻まれるでしょう。その音色は過去から未来へと受け継がれ、演奏を耳にする人々に時空を超えたメッセージと感動を届けるはずです。
おわりに
ドゥアラ・アディ氏とアウグスト・ポラストリ作のヴァイオリンの出会い――それは、若き演奏家と歴史的名器が共に歩み始める新たな章の始まりです。この感動的な橋渡しを実現した株式会社atsumariの取り組みは、音楽文化に新風を吹き込み、世代を超えた芸術のリレーを可能にしました。今後、アディ氏がこの名器とともに奏でる音楽がどのように成長し、私たちにどんな物語を聞かせてくれるのか、期待は高まるばかりです。演奏家と楽器、支援者と聴衆が一体となって生み出す音のドラマに、これからも目が離せません。そしてこのプロジェクトを皮切りに、さらに多くの若い才能と歴史的名器との出会いが生まれ、豊かな音楽の未来へと繋がっていくことを心より願っています。