株式会社Matchbox Technologies
4ヶ月の実証実験期間で年間新規就農者とほぼ同数が「富山あぐりマッチボックス」で採用
株式会社Matchbox Technologies(マッチボックステクノロジーズ 所在地:新潟県新潟市、代表取締役:佐藤 洋彰、以下当社)は、企業が自前でスポットワーカー(※1)を登録・採用・管理できるセルフソーシング(※2)SaaS「matchbox(マッチボックス)」を提供しており、現在、新潟県をはじめとする8県13自治体が自治体公式の就業プラットフォームとして運用しています。この度、当社がシステムを提供し、富山県(県知事:新田八朗)が運営している自治体公式就業プラットフォーム「富山あぐりマッチボックス」の実証実験が完了し、2025年4月より正式事業として運用が開始されました。
※1 スポットワークとは短時間・短期間で雇用契約を結ぶ働き方のことです。スキマバイトや雇用型ギグワークとも呼ばれ、ギグワークとは雇用関係の有無で区別されることがあります。
※2 セルフソーシング:人材を自社独自のデータベースに登録して人材募集を行う「matchbox」の仕組みについて、アウトソーシングと対比した「セルフソーシング」という名称で商標を取得しました。当社は商標のほかにも、安心・安全なセルフソーシング文化を推進するための独自技術に関連する14件の特許群を取得しています。

■実証実験ではこれまでの富山県の年間新規就農者数約70名とほぼ同数の60名以上が農業に従事
富山県が運営する農業専門のスポットワーク求人サービス「富山あぐりマッチボックス」は、富山県が募集する実証実験プロジェクト「Digi-PoC TOYAMA(デジポックとやま)」(※3)の令和6年度のテーマである「農業の担い手確保」に採択され、2024年11月1日(金)から2025年2月28日(金)まで実証実験が行われました。
「富山あぐりマッチボックス」では、営農事業者が事業者登録および1日・数時間単位での求人登録を行い、働き手は求人をデジタルで簡単に閲覧・応募できるようになります。「富山あぐりマッチボックス」での柔軟な働き方により就農希望者の心理的・時間的ハードルを下げ、営農事業者の労働力の確保、ひいては「就農体験」を足掛かりとした長期的な雇用就農につなげることを目的としていました。
4ヶ月間の実証実験を通じ、富山県の営農事業者の約15%である116の事業者が「富山あぐりマッチボックス」に登録しました。また、県外在住者を含む62名の働き手が「富山あぐりマッチボックス」を通じて採用され、合計で229件の採用、1,140時間の労働時間を生み出しました。
※3 「Digi-PoC TOYAMA(デジポックとやま)」は富山県が成長戦略として掲げる県民のウェルビーイングの向上や、「幸せ人口1000万」の実現等を図るため、地域課題をデジタルソリューションで解決する事例を創出し、本県におけるビジネスモデルの構築につなげることを目指した実証実験プロジェクト(URL:https://digi-poc-toyama.jp/)。
■リピート就農者は60名以上
当社が提供する「マッチボックス」には、OBOGや退職者、再度勤務してほしいスポットワーカーなどを登録する「友だち登録機能」があります。事業者と働き手の相互の合意のもと「友だち登録」をすると事業者は友だち限定で求人を出すことができ、一度働いた人が同じ事業者で繰り返し働きやすくなります。「富山あぐりマッチボックス」での友だち登録者は61名となり、多くのリピート就農者がうまれています。リピート就農者は平均して月に約7回の応募をしており、富山県の農業への興味を生んでいます。
実証実験におけるこれらの高い成果を受け、「富山あぐりマッチボックス」が富山県の令和7年度の正式事業に採択されました。

■営農事業者からは長期雇用の創出につながったという評価も
採用を行った営農事業者からは、掲載から応募までのスピード感やニッチな産業ながらも幅広い年代から応募があることによる驚きの声が上がりました。また、実証実験期間ですでに長期雇用につながった事例もあり、担い手確保の一助になっているとの意見がありました。
■20代の応募が最多。スポットワークの利便性による若手の働き手が集まる
働き手では、応募・採用ともに20代が最多となりました。一般的には若い働き手が不足していると言われる農業ですが、1日・数時間単位からという柔軟な働き方を実現することで、農業に関心を持つ若い働き手の就農にもつながっています。
「富山あぐりマッチボックス」の登録者、応募・採用者の性年代分布は、飲食や小売なども含めた「マッチボックス」が求人を提供する他のスポットワークの業種と近い分布になっています。このことから、スポットワークという利便性があれば、どのような業種でも人材が集まるという可能性が示唆されています。
この度の「富山あぐりマッチボックス」の正式な事業化を受け、地域に根差す就農インフラをめざし、富山県と協力して活用を加速してまいります。また、将来的には宿泊業や福祉事業等、農業以外の産業への展開も視野にいれ、さらなる労働力不足の課題解決につなげてまいります。
■富山県 農林水産部農業経営課 副主幹 中村 一要 氏 コメント
富山県が抱える地域課題の1つは「農業の担い手確保」です。農業従事者の高齢化が全国よりも速く進行し、従事者の減少に伴う生産規模の縮小、県農業の衰退・消滅を危惧しています。その解決には、新たな労働力の確保、雇用導入による人材確保が必要と考えています。
そのため「富山あぐりマッチボックス」を開設し、農業に興味を持つ方と、農業との接点をつくりました。まずは短時間の就業で農業の魅力を知ってもらい、これをきっかけに、新たな担い手を確保することを目指しています。
■自治体が公式就業プラットフォームを構築すべき理由
当社が提供する「マッチボックス」は、企業や自治体が自前でスポットワーカーの募集を可能にするプラットフォームです。地方自治体が「マッチボックス」を活用すると、地域住民への就業機会の最大化と地元企業の働き手の確保を実現できるだけでなく、それぞれの自治体に合わせた独自の就労プラットフォームを構築することで、自治体毎に異なる施策や課題に対応させていくことが可能です。
地方自治体が主導となりスポットワークを推進していくべき理由として、次のような点があげられます。
コンプライアンスを徹底した安心安全な就労環境を提供できる
自治体主導のスポットワーク推進は、仕事(求人)の信頼性が担保され、利用者が安心して求人に応募できる点が特徴です。「マッチボックス」では、働き手が安心して応募できるよう、登録するすべての事業者に与信調査を行なっていますが、加えて自治体の目を通すことで、応募者がより一層安心して就業できる求人のみ掲載される仕組みとなっています。
また「マッチボックス」には「休業手当や割増賃金の自動計算・支払い」「勤務状況に応じた税区分の自動変更」など、独自の特許技術を活用した労働者保護につながる機能を多数搭載しています(※4)。これにより、事業者の利便性と働き手が安心して応募できる環境の整備を両立しています。
※4 当社は労働者保護に関する特許のほか、独自技術に関連する14件の特許群を取得しています。
特許について:https://www.matchboxtech.co.jp/patent

地域に根差した求人掲載による地域コミュニティの構築と交流人口の創出が可能に
自治体公式マッチボックスには地域限定の求人のみが掲載されているほか、自治体によるサポートがあるため、高齢者やスポットワーク未経験者が多い地方においても、地元住民が利用しやすい仕組みとなっています。また、地元住民が働き手となることで、スポットワークとして短期の雇用需要を満たせるだけでなく、定期的なリピート利用や正規採用などの長期的な雇用にもつながりやすくなります。
自治体公式マッチボックスの活用により、地元住民の柔軟な働き方を支援できるだけでなく、スポットワークを通した地域コミュニティの構築、ひいては地域企業の永続的な人手不足解消が期待できます。県外からの利用者による勤務実績もあり交流人口の創出につなげていくことも可能です。
私たちマッチボックステクノロジーズは、人材雇用・労務管理を一体とした人材マネジメントのデジタル化により、雇用側の金銭的・人的コストの効率化および働き手が安心して柔軟に働ける社会の実現をめざしています。今後も地方自治体との連携を通し、地方の課題解決に貢献してまいります。
以上
「matchbox(マッチボックス)」について
「マッチボックス」は、スポットワークの管理内製化を可能にするセルフソーシング®︎型のHRプロダクトです。現役従業員に加え、アルムナイ(退職者)や登録制アルバイト、一度雇用したスポットワーカーなどを、企業に合わせて開発したシステム内にメンバー登録することで、自社独自の人材プールを構築し、採用にかかる時間やコストを大幅に削減します。また、採用から給与労務までの全ての工程を、システムを通じて簡単に一元管理することができるため、業務の効率化にも最適です。事業所側が信頼できる人材を選定することを可能としたほか、求職者側への配慮として休業手当の支給や企業への与信調査などを行うなど、企業側と働き手の双方に対してフェアで安全なサービスを目指しております。マッチボックスは、企業と働き手の信頼関係をベースとしたコミュニティの構築により、あらゆる人が柔軟に働ける環境を実現させています。
「マッチボックス」サービスページ:https://business.matchbox.jp
「Matchbox Technologies」について
私たちは「雇用主も従業員も無理なく、自分らしく働けるセカイ」の実現を目指し、「企業の柔軟な職場環境づくりを、テクノロジーで実現する」というミッションのもと、企業や自治体の抱える人材課題の解決を支援しております。2020年より、スポットワークの管理内製化Saas「matchbox」の展開を開始し、これまでに7,432の事業所に導入。また、新潟県や大阪府をはじめとする8県13自治体に、自治体公式就労プラットフォームとして導入いただいています。私たちは、資本力の差による競争に巻き込まれるのではなく、本来注力すべき「社会課題の解決」に注力し続けたいという思いから、知財戦略を重視しています。現在、スポットワークおよびセルフソーシングに関する特許を国内外に30件以上出願しており、基本特許を含む14件の特許を取得済みです。Matchbox Technologiesは、スポットワークの柔軟性と信頼できる人材コミュニティの構築を両立させる新しい働き方のスタンダードを、世の中に広く伝えていきます。またその第一人者として、今後ともコンプライアンスを遵守した安心安全なサービスの研究開発を進め、社会課題の解決に努めてまいります。