株式会社新潮社
子どもたちによりそい、子どもたちに贈る物語を書き続けている作家・重松清さん。そんな重松さんの最新文庫は、さまざまな「悩み」を抱える子どもたちが主人公の短編集。タイパが叫ばれる時代だからこそ、あえてゆっくりと読み、じっくりと考えたい1冊となりました。子どもだけでなくおとなの心にもしみる作品で、この夏、親子で読むのにぴったりの物語です。
小学生たちを主人公にした物語
いいヤツと友だちは違う？ ふつうって何？ あきらめるのはいけないこと？ 〝言いあらわせなかった気持ち〟が見つかる10編の物語。
著者の重松清さんは本書の「文庫版のためのあとがき」で、〝子どもたちには、子どもたちなりの「ああでもないこうでもない」がある。他愛のないものから、おとなになっても答えの出ないものまで、小さな体で精一杯に、いくつもの「ああ」と「こう」を背負っている。（中略）かつて子どもだったおとなの一人として、やはり僕は、小さくやわらかいココロを「ああでもないこうでもない」で満たした君たちに敬礼を捧げたいのだ〟と書いており、「考える」ことの大切さが伝わる物語となっています。
「新潮文庫の100冊」フェアの1冊として書店の夏を盛り上げる
毎年夏になると、書店店頭では「新潮文庫の100冊」フェアが行われます。古典名作や中高生に人気の作品を集めたフェアで、本作『答えは風のなか』もその1冊。
ちなみに中学受験塾の日能研によると、2022～24年の「中学入試によく出題された作者」の1位が重松清さん。重松さんの作品は教育現場でも広く読まれており、そのなかに、新たな1冊として本書が加わります。
書籍内容紹介
新しいお母さんができたケンタ。じつは誰にも言えない秘密があって……家族にとって大切なものを考える「ケンタの背中」。ほかに、先生から言われた“ふつう”という言葉について悩む「いちばんきれいな空」や、知らなければよかったことを知ってしまいどうすればいいか迷う「おねえさんが教えてくれた」など10編。教室で、グラウンドで、帰り道で──言いあらわせなかった気持ちが見つかる短編集。
著者紹介
重松清（しげまつ・きよし）
1963（昭和38）年、岡山県生れ。出版社勤務を経て執筆活動に入る。1991（平成3）年『ビフォア・ラン』でデビュー。1999年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、同年『エイジ』で山本周五郎賞を受賞。2001年『ビタミンF』で直木賞、2010年『十字架」で吉川英治文学賞、2014年『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞を受賞。現代の家族を描くことを大きなテーマとし、話題作を次々に発表している。著書は他に、『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『きみの友だち』『カシオペアの丘で』『青い鳥』『くちぶえ番長』『せんせい。』『とんび』『ステップ』『かあちゃん』『ポニーテール』『また次の春へ』『赤ヘル1975』『一人っ子同盟』『どんまい』『木曜日の子ども』『ひこばえ』『ハレルヤ！』『おくることば』『カモナマイハウス』など多数。
書籍データ
【タイトル】答えは風のなか
【著者名】重松清
【発売日】2025年6月25日
【造本】新潮文庫
【定価】737円（税込）
【ISBN】978-4-10-134943-5