株式会社DOKASEN
noon by material record × &SPACE PROJECT presents「DEBRIS」リリースパーティー 開催レポート
2025年6月27日(金)、東京・日本橋のホステルCITANにて、ロケット燃料タンクから生まれたスピーカー「DEBRIS(デブリ)」のリリースパーティーが開催されました。
会場には、宇宙開発や素材に関心を寄せる来場者、純粋にダンスミュージックを楽しむ来場者、資源循環に興味を持つ多様な来場者が集結。「DEBRIS」が辿ってきた軌跡とその背景、そして宇宙開発が盛んな道東エリアのフィールドサンプリングから生まれた楽曲「Universe and Universal Life」に耳を傾ける夜となりました。
「DEBRIS」特設サイト DEBRIS | ROCKET TANK SPEAKER

旅する素材「DEBRIS」が語る、“宇宙と地球の間”
「DEBRIS」は、北海道大樹町にある民間ロケットの試験用燃料タンクを再構築して誕生したスピーカー。制作は、地球資源と音をテーマに探究する、乃村工藝社のR&Dプロジェクト「noon by material record」と「宇宙をもっと身近に」社会にひらく活動を行う「&SPACE PROJECT」による共同プロジェクトです。
リリースイベントのテーマは、「DEBRISが旅してきた時間と場所を感じること」。
視聴会では、北海道で録音された自然音やロケット関連施設のフィールドレコーディング音を交えた特別音源をDEBRISで再生。宇宙開発と自然環境、異なる時間軸が重なる音体験が来場者を包み込みました。
■トークセッション
プロジェクトの背景。宇宙産業の今
18:00から行われたメディア・関係者向け視聴会では、&SPACE PROJECTより中井章郎(DOKASEN)、noon by material recordより後藤慶久(乃村工藝社)が登壇。また民間企業や大学などが自由に使える、商業用の宇宙港「北海道スペースポート」の建設が進む北海道 大樹町役場より応援メッセージをいただきました。ロケットタンクスピーカー「DEBRIS」の開発背景や素材に込めた想いについて話しました。
「世界では宇宙産業が急速に進んでおり、毎日世界のどこかではロケットが飛んでいるほどです。そして宇宙産業の進歩は、私たちの生活にも密接に関わってきます。例えば、大陸間宇宙空間移動は、2040年をめどに実現されようとしていて、日本ーNY間の移動が1時間以内でできるようになると言われています。我々は日本の民間ロケット産業に関心を向け、みんなで応援していく業界になるべきだと考えています。そこで日本を代表する宇宙産業のまち、北海道大樹町と協力して、このたび開発廃材をつかったスピーカーと、宇宙港の建設がすすむ大樹町の音をサンプリングした音楽制作を行いました。こうした活動をきっかけに、宇宙に関わる裾野が広がっていくことを願っています。」
ロケットタンクスピーカー DEBRIS の設計テーマと特徴
ロケットタンクスピーカー「DEBRIS」をデザイン・設計した小山田創(乃村工藝社)が登壇。DEBRISのデザインコンセプトや特徴について語りました。

「DEBRISのデザインにおいて思い描いたのは「宇宙の音楽体験とは何か」ということでした。重力が存在しない、上下や方向の概念が曖昧になる場所。未知が拡がる環境を「かたち」として表現できるかを探りました。一般的なスピーカーが持つ“正面”の指向性をあえて無くし、あらゆる方向へ音が拡がる無指向性の構造としました。音がどこから聞こえるのか?音に包まれているような──まるで宇宙空間で漂うような音体験です。
3本の脚で支えられたスピーカーは宇宙をリファレンスにもつ素材で構成され質感の違いや素材が持つ記憶をテーマにしています。ジュラルミン製のタンクと、その上に浮かぶように配置された樹脂アンテナと金属のオブジェ。無重力下で物体がゆっくりと揺れているような姿をイメージしています。上部に据えられた金属のオブジェ──これは金工作家・外山和洋さんに製作を依頼した物で、鉄・銅・アルミといった地球の元素を一度溶かし、再構築することで「惑星」や「鉱物の塊」のような存在感を生んでいます。この球体は、音の装置であると同時に、地球や宇宙、あるいは時間というスケールへの問いかけを含んだ存在でもあります。DEBRISは単なる音響装置ではありません。素材、空間、音、ストーリー──そうしたものが交わる装置です。そこから流れる音が、どこか遠くの、けれどとても身近な“宇宙”について考えるきっかけになってくれたら、と願っています。」

ロケットタンクが生まれた空気を感じる楽曲 Universe and Universal Life
本プロジェクトではロケットの燃料タンクが生まれた場所の空気や風景をそのまま音楽にできないかと、世界で幅広く活躍するトラックメーカーGONNO氏が楽曲を制作。共に北海道大樹町でフィールドレコーディングを実施、風や波の音、ロケット発射台のビーコン音などを収集し作り上げた音楽について、GONNO氏本人が語りました。
「今回の制作した楽曲は「Universe and Universal Life」といいます。「宇宙と普遍的な生活」と訳せるのですが、タイトルの中の”Universe”は「宇宙」を指しつつも、”Universal”は「普遍」を指し、”Universal Life”は普遍的な生活という意味を成します。同じ”Universe”という類の単語が二つ並ぶだけで、宇宙という空間と、人間にとって普遍的な生活の両方が同居していることが、本プロジェクトにも沿っていて、かつ未来はこうあって欲しいという私の願望にも沿っていて、これが良いなと思いつけたタイトルです。楽曲のコンセプトはスピーカーの特徴である、新しい技術=未来的でテクノロジックなサウンドと、環境に優しい=有機的で優しいサウンドの調和を目指しました。音作りのポイントはソフトシンセだと耳にうるさい周波数が目立つだろうなという想いから、音色や効果にはアナログシンセを使ってたりします。アンビエントというテーマがあったので、リズム帯は当初入れない予定だったのですが、気持ちよく乗れる感じと、そこにただあるような、客観的な音を同居させることを全体で意識しています。DEBRISからこの音楽が流れることで、スピーカーが自分の故郷を語り出すよう感覚を作りたいという想いを込めました。」

DJ PLAYで響かせる“循環のリズム”
20:00からは、GONNO氏、増村和彦氏によるDJ PLAY。
DEBRISの音を通して、ロケット廃材という素材の記憶が、リズムとなって空間を揺らします。東京の夜空に広がる音の“残響”は、来場者の記憶にも新しい一夜を届けました。

【イベント概要】
イベント名:「DEBRIS」release party
日時:2025年6月27日(金)
会場:CITAN(東京都中央区日本橋大伝馬町15-2)
主催:noon by material record × &SPACE PROJECT
出演:GONNO、増村和彦、Okazaki Keigo(DJ)
今後の展開について
「DEBRIS」は今後も展示・販売・新たな音の旅を通して、多くの人に“宇宙の循環”を届けていきます。また、&SPACE PROJECTでは、宇宙をより身近な存在にするためのプロダクト開発やコラボレーションを継続予定です。
【本資料に関するお問い合わせ】
&SPACE PROJECT 広報チーム
andspaceproject@gmail.com
https://spaceproject.jp/