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地域のワークダイバーシティを促進する岐阜エリアの企業×就労支援団体の会議体が3回の会議を経て提言書にまとめ、岐阜市長に提出。全国に先駆けて、持続可能な支援モデルの具体策を提案

内閣府の推計によれば、日本の生産年齢人口(15~64歳)は2050年に5,275万人まで減少し、2021年比で約29%減る見込みです。現在、約1,500万人が働きづらさを抱えながらも、制度の狭間にあり公的支援を受けられずにいます(※1)。
岐阜県では有効求人倍率1.5と求職者に有利な状況が続いていますが(※2)、2060年には約30万人の労働力不足が予測されています(※3)。岐阜市内でも推定4.8万人が「働きたいけれど働けない」状態にあり、制度の対象外となっているのが現状です。
このように、全国的にも岐阜県内でも、働く意欲がありながら支援の届かない人々が多数存在し、障害者のように法的な雇用義務がないため、雇用の拡大が進みにくいという課題があります。
※1 出所:「就労困難者に関する調査研究」(日本財団)
※2 出所:「有効求人倍率の推移(R7.5.30更新)」(厚生労働省 岐阜労働局)
※3 出所:中部圏社会経済研究所「人口減少と将来の労働力不足について」(岐阜県)
ワークダイバーシティ実証化モデル事業は、こうした課題の解決を目指し、日本財団の助成により全国6自治体にて、多様な就労困難者への支援を実施しています。この事業を通じて、就労困難者が抱える課題や、「働きづらさ」の背景にある要因が非常に多様であることが明らかになってきました。
困難さが多様であるがゆえに、企業における就労困難者の受け入れにはさまざまな課題がある一方で、企業側の受け入れ課題について議論・検討する機会は十分とは言えません。
ワークダイバーシティを全国的に展開していくためには、就労困難者への支援・訓練の充実だけでなく、社会全体でその雇用を後押しする仕組みづくりが不可欠です。そのためには、「働きづらさを抱える人たち」を受け入れる職場のあり方や、現状の課題についての検討が必要です。こうした課題認識のもと、岐阜市では地域企業17社の参加を得て、「雇用施策検討会」を発足し、企業における就労困難者の雇用促進に向けた協議を進めてきました。
雇用施策検討会の目的とゴール
【目的】
働きづらさを抱える多様な方々が活躍できる雇用機会を創出する
そのために、企業に求められる取り組みや支援環境を明らかにする
【ゴール】
岐阜市をはじめとする関係ステークホルダーに対し、就労困難者を受け入れる企業への支援に関する提言を行う
本検討会は、当団体が事務局を務め、2024年11月~2025年5月にかけて全3回実施されました。以下の企業経営者3名が共同発起人となり、議論をリードしてきました。
【共同発起人】
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サンメッセ株式会社 代表取締役社長 田中 信康 氏
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株式会社リーピー 代表取締役 川口 聡 氏
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カンダまちおこし株式会社 代表取締役 田代 達生 氏
検討会では、企業が就労困難者を受け入れる際の課題や懸念点、それらを乗り越えるために必要な具体策について、社会性と経済性の両立を前提とした積極的な意見交換がなされました。
支援機関・企業・行政がそれぞれの役割を担うことで、就労困難者の力を活かし、労働人口減少による社会的衰退を食い止めるための、実現可能な提案が多く出されました。それらをもとに、グループディスカッション等を通じて意見の整理と精査を重ね、以下4つの柱からなる施策提案としてまとめました。
主な提言内容

①ワークダイバーシティセンターの設置
②企業への支援制度・優遇措置の拡充
③広報・情報発信の強化
④障害者雇用の枠組みに「就労困難者」を含める制度改革への協力
特に①と②は、企業が就労困難者の採用に踏み出す上で不可欠な施策であり、最も重要と考えています。
提言書の提出
2025年7月31日、検討会を代表して共同発起人3名と当団体代表の後藤千絵により、岐阜市長 柴橋正直氏に提言書を正式に手交しました。





共同発起人からは、
「就労困難者の積極的な雇用を促進するため、企業側の声を反映した制度が整えば、全国でも前例の少ない革新的な取り組みとなる。岐阜市モデルとしてぜひ展開していただきたい」
との声が寄せられました。
また、柴橋市長からは、
「仕事はあるのに働き手がいないという声が多く寄せられています。もし就労が困難な皆さまが働き手として加わってくださるなら、企業にとって非常に心強い存在になると思います」
とのコメントをいただいています。
企画・運営について ーーー 企業×就労支援団体の協働モデルによる体制
本会議は、企業と就労支援団体が協働して企画・運営を行っています。
共同発起人である、サンメッセ株式会社 代表取締役社長 田中信康氏、株式会社リーピー 代表取締役 川口聡氏とともに、本会議の企画・設計を行い、呼びかけに応じた以下の17社が参画しました。
提言書作成と雇用施策検討会に参加された企業は下記のとおりです。
株式会社OKB総研
カンダまちおこし株式会社
社会福祉法人慶睦会
株式会社サン・テンポラリー
サンメッセ株式会社
株式会社十八楼
株式会社十六総合研究所
新日本金属株式会社
株式会社鷲見製材 ひだまりほーむ
西濃印刷株式会社
セイノーホールディングス株式会社
太平洋工業株式会社
株式会社ディマンシェ
株式会社文化社
株式会社マルエイ
株式会社リーピー
レシップホールディングス株式会社
(50音順で記載)
ワークダイバーシティ実証化モデル事業の概要
本モデル事業は、既存の支援制度では対象とならない、ひきこもり・ニート・LGBTQ+・刑余者・がんサバイバー・難病者・生活困窮者等、「働きたいのに働けない」状態にある多様な就労困難者を対象に就労支援を行うものです。基本スキームとして、地域の「ダイバーシティ就労支援拠点」(本事業の趣旨に賛同した就労移行支援、A型・B型などの障害者就労支援事業所)において、障害者手帳を持たない就労困難者も受け入れ、訓練を提供しています。
岐阜市では、一般社団法人サステイナブル・サポートが日本財団および岐阜市の助成・補助を受け、2022年9月より実施しています。2025年6月末時点で54名が利用を開始し、うち17名が一般企業へ就職しています。
また、地域連携体制の構築として、医療・教育・企業・支援機関・行政などを巻き込んだ「ダイバーシティ就労推進プラットフォーム会議」も開催し、領域を超えたネットワークづくりを進めています。このプラットフォーム会議は、企業向けの「雇用施策検討会」と支援機関向けの「就労支援検討会」の2部制とし、福祉と経済の両面から岐阜市におけるワークダイバーシティの推進を目指しています。
過去の「雇用施策検討会」の様子は下記からご覧いただけます。

一般社団法人サステイナブル・サポート
私たちが目指すのは、『誰もが自分らしく生きることのできる社会』
就労支援を中心に、一人ひとりの「自分らしさ」に寄り添い、「働く」を通じて自己理解や可能性を広げ、未来への一歩を踏み出すためのサポートを行っています。
誰ひとり取り残さない支援と予防的アプローチを大切にし、差別や偏見のない地域社会づくり、そして多様性(ダイバーシティ)の推進にも取り組んでいます。
【主な事業】
・就労移行支援・就労定着支援・就労継続支援B型事業所の運営
・就職活動に困難を抱える学生及び若者のキャリア支援プログラムの企画・運営
・WORK!DIVERSITYプロジェクトin岐阜の運営・実施
・岐阜県若者サポートステーション事業の運営・実施
・岐阜県委託伴走型ひきこもり支援事業の実施
・障害啓発講演会、ダイバーシティ啓発イベントの企画・運営
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<会社概要>
法人名:一般社団法人サステイナブル・サポート
所在地:岐阜県岐阜市長住町2丁目7番地 アーバンフロントビル3階
代表理事:後藤 千絵
設立:2015年7月
電話番号:TEL 058-216-0520 FAX 058-215-1932
法人HP:https://sus-sup.com/