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16件に及ぶ疑惑で“史上初めて”検察聴取を受けた金健希夫人 韓国国会での試写会も不許可になった衝撃の問題作
政治問題で揺れ続ける韓国。8月6日には、尹錫悦（ユン・ソンニョル）前大統領の夫人・金建希（キム・ゴンヒ）氏が特別検察官の事情聴取を受けた。前大統領夫人が事情聴取を受けるのは韓国史上初のことだけにその波紋はさらに広がりそうだが、疑惑の渦中にある金氏の実像に迫るドキュメンタリー映画が、いま注目を集めている。
韓国で2024年12月12日に公開した『ファーストレディ～Voice of Seoul』がそれだ。日本でもLemino、Amazon Prime Video、FODといった動画配信サービスで配信開始となるや話題を呼び、今後はHulu、U-NEXTなどでも順次配信が予定されている問題作である。
自己顕示欲に駆られて経歴を詐称し、修士論文の盗用も疑われた彼女の過去に加え、巫俗人の関与、大統領府や公館の移転をめぐる論争、私文書偽造や株価操作、高級バッグ収賄、楊平高速道路の路線変更、さらには民間人による国政介入など、計16件に及ぶ疑惑がかけられている金建希氏。
本作には、金氏に高級バッグを贈ったとされるチェ・ジェヨン牧師、第20代大統領選挙当時に金氏と７時間以上通話していた『Voice of Seoul』のイ・ミョンス記者、金氏と10年以上にわたって訴訟を繰り広げてきたチョン・デテク会長らが、証言者として登場する。
さらに、尹錫悦氏の大統領就任以前から浮上していた金氏の経歴詐称、論文盗用、ドイツ・モーターズをめぐる株価操作、巫俗人チョンゴンらとの関係などを、多様な証言を通じて多角的に掘り下げている。
大統領選挙当時に記者会見で「妻としての役割に専念する」と語った金氏だが、その言葉が偽りであったことが次第に明らかになっていくのだ。
国民が選んだ大統領ではなくその夫人が権力を私物化し、さまざまな論争を引き起こしたという事実に焦点を当てながら、映画は「すべての疑惑をつなぐ事件の軸」として金氏に迫り「大統領府で本当にVIPだったのは誰なのか？」ということを鋭く問いかける。
そのため、韓国では映画公開にあわせて国会での試写会も予定されていたが、国会事務局により不許可とされた。
試写会を斡旋していた政党『共に民主党』のキム・ジュンヒョク議員は、「国会事務局から不許可通知が届いた。政党『国民の力』側が貸館審査の過程で強く反対したことが理由のようだ。朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領を称賛する映画は許可されるのに、金氏を批判する映画はなぜ認められないのか」と、公平性の問題を指摘したほどだった。
実際、制作会社Oneul Picturesのキム・フンテ代表も「この映画は政治的に危険で権力からの圧力にさらされる懸念があった」と語る。
しかし、それでも彼らは引き下がらなかった。キム・フンテ代表は使命感にも近い言葉で警鐘を鳴らす。
「私たちが無関心になれば、権力に寄生する怪物が生まれ、国民の平穏な暮らしを脅かしかねない。ドキュメンタリーというジャンルは敬遠されがちなジャンルのため公開も容易ではなかったが、最後まで諦めなかった」
この映画で取り上げられているテーマは、韓国の進歩系の動画配信チャンネルでは日々論じられているものでもある。韓国政治に関心を持つ層からすれば、既知の内容である可能性も高いかもしれないが、特筆すべきは誰も映画として取り上げなかった“権力の核心に迫る論争”を、歴史の記録として映像化している点だろう。
キム・フンテ代表も語っている。「政治に無関心な層や中道層、特に20～30代の若者たちが、偏見なくこの映画を見てくれることを願う」と。
数々の疑惑の渦中にありながらも、大統領夫人として堂々と振る舞った金氏の実態に迫ったドキュメンタリー映画『ファーストレディ～Voice of Seoul』。政治問題で揺れる隣国・韓国の“いま”を知るためにも、この問題作は決して見逃してはならない。
■作品概要
タイトル: 『ファーストレディ～Voice of Seoul』
監督 : Aemong
制作 : © Voice of Seoul/Oneul Pictures
配給 : 映画会社KINO
共同配給 : Blue Film Works
ジャンル : ドキュメンタリー
レーティング : 12歳以上観覧可
上映時間 : 95分
公開 : 2024年 12月 12月
■配信情報
●Amazon Prime Video
●Lemino
●FOD
https://fod.fujitv.co.jp/title/7121/
●Hulu(8月11日配信開始予定)
https://www.hulu.jp/firstlady-voice-of-seoul
●U-NEXT(順次配信予定)