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地方越境型ワーケーションがもたらす意識と行動、価値観の変化──その継続性も確認

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株式会社Edo

2024年度の観光庁「子育て世代も参加可能な業務型ワーケーション実証事業

株式会社Edo(本社:岐阜県飛騨市、代表取締役社長:関口 祐太)は、2024年度の観光庁「子育て世代も参加可能な業務型ワーケーション実証事業(※1)」の採択を受け、この度、岐阜県飛騨市において、株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:山口 重樹)とともに実証実験を実施しました。その結果、3泊以上の地方越境型ワーケーションにより参加者の意識と行動がポジティブに変化し、また、その継続性が確認されました。

結果のポイント

地方越境型ワーケーションを効果的なものとするには、

 ・日常とかけ離れた空間(自然、気候等が違う場所)において地域体験・研修を盛り込むことが望ましい

 ・「緊急性は低いが重要性の高いテーマ」についてじっくり取り組むことに向いている

 ・3泊以上の中期滞在実施では、参加者の認知変容と行動の変化がみられ、継続性も認められる

背景

  岐阜県飛騨市(人口約2.1万人)では、「まちづくり観光」の推進に取り組み、滞在と交流を重視した観光スタイルの定着や、関係人口の増加、都市部企業との連携による地域経済の活性化を目指しています。さらに、新たな来訪者を受け入れるための人材育成や、「飛騨市学園構想(※2)」に代表される持続可能な地域づくりにも力を入れています。

こうした背景から、株式会社Edoは、「地方越境型ワーケーション」の実証に最適な地域として飛騨市を位置づけ、新しい旅行機会の創出に向けた取り組みを進めております。

都市部では得がたい人と自然との距離が近い山間部の飛騨市では、首都圏には無い「自然」「不便さ」「人と人との密な関わり」等の“非日常”を体験することが可能です。当社はこの“非日常”こそが、人間の意識や行動の変化、ひいては価値観や思い込み(認知)の変化に寄与する重要なファクターであると考え、株式会社NTTデータ経営研究所 ニューロ・コグニティブ・イノベーションユニット(※3)と共同で、飛騨市での地方越境型ワーケーションがもたらす効果を科学的アプローチに基づき検証しました。

ワーケーションの概要
モニターとして4社に協力いただき、それぞれの企業ニーズを踏まえ4パターンの地方越境型ワーケーションモデルを造成しました。

 ■各企業からのニーズとワーケーション実施期間、参加者数・宿泊数(大人には配偶者を含む)
 ①トヨタ自動車株式会社及びグループ企業

ニーズ・目的:ラーケーション活用

   (働き方改革推進としての新しい休み方の社内外への浸透) 

実施期間:2024年10月20日(日)~2024年10月21日(月)、
2025年1月12日(日)~12月13日(月・祝)、1月24日(金)~1月25日(土)
宿泊数、参加人数:1泊2日×3回:62泊(大人31名/子ども31名)

 ②株式会社エヌアイデイ及びグループ企業

ニーズ・目的:人材育成

   (社員の中長期的かつ多様なキャリア形成に向けた交流・研修)
実施期間:2024年11月20日(水)~12月23日(土)

宿泊数、参加人数:3泊4日:33泊(大人10名/子ども3名)

 ③丸井グループ株式会社及びグループ企業

ニーズ・目的:事業開拓

   (地域との関わりや新たなビジネス創出の可能性の検討)
実施期間:2024年12月8日(日)~12月14日(土)

宿泊数、参加人数:5泊6日:30泊(大人6名/子ども1名)

 ④株式会社イトーキ(イトーキ労働組合)

ニーズ・目的:労働組合

   (仕事と子育ての両立をテーマとした、社員間の対話を促進及び施策の創出検討)   
実施期間:2025年1月11日(土)~1月12日(日)

 宿泊数、参加人数:1泊2日:45泊(大人27名/子ども18名)

■ワーケーション環境構築におけるポイント
・地方での移動の不安を事前解消できるよう生活環境の利便性を重視
・駅・ホテル・コワーキングスペース・食事を全て徒歩圏内で行えるように近隣施設と連携
・子どもの学校や保育園の送り迎え、ご家族でのアクティビティは貸切バスやレンタカーを利用

実証実験の内容、結果の概要

飛騨市での地方越境型ワーケーションを通じた非日常体験により、参加者の意識や行動、価値観や思い込み(認知)が変化するという仮説を立て、アンケート調査を通じて実証を行いました。

■検証仮説

 本実証の検証仮説は以下の通りです。

 ・仮説1: 飛騨市での地方越境型ワーケーションの実施前後で参加者の意識や行動、価値観や思い込み(認知)が変化する。

 ・仮説2: 上記変化はワーケーション実施後(1ヵ月間)も継続する。

■実証実験の流れ

ワーケーション参加者(上記①~④)を対象に、ワーケーションの実施前、ワーケーション実施後(終了直後)、ワーケーション実施後(1か月後)の3時点でアンケート調査を実施しました。

ワーケーション前後のデータを比較することでワーケーションによる短期的な効果を統計解析を用いて評価するとともに、ワーケーション実施から長時間経過した後(1か月後)のデータも比較対象に加えることで、ワーケーションの中長期的効果も評価しました。

 ■取得項目の一覧

アンケート調査での取得項目は以下の通りです。

■実証実験結果(一部抜粋)

実証実験の主な結果は以下の通りです。結果として、上記仮説1、仮説2ともに部分的に支持する結果(3泊以上の実施で変化あり)が得られました。

①地方越境型ワーケーションを3泊以上実施することで、仕事の悩みが低減する。さらに、その効果はワーケーション終了後も持続する可能性がある。

地方越境型ワーケーションを3泊以上実施した参加者は、実施前より実施後の方が、仕事の悩みが気になっている程度が低くなり、その傾向は1ヵ月後まで継続していました。一方で、1泊2日の参加者では同様の結果は得られませんでした。

図 地方越境型ワーケーションの実施前後での仕事の悩みの平均値の推移(3泊以上の参加者)※7件法によってデータを取得。Repeated Measures ANOVAにより検定を実施。*** p値<0.001,  p値<0.01,  p値<0.05

②地方越境型ワーケーションを3泊以上実施することで、自己肯定感が増加する。さらに、その効果はワーケーション終了後も持続する可能性がある。

地方越境型ワーケーションを3泊以上実施した参加者は、実施前より実施後の方が、自己肯定感が高く、その傾向は1ヵ月後まで継続していました。一方で、1泊2日の参加者では同様の結果は得られませんでした。

図 地方越境型ワーケーションの実施前後での自己肯定感の平均値の推移(3泊以上の参加者)※7件法によってデータを取得。Repeated Measures ANOVAにより検定を実施。*** p値<0.001,  p値<0.01,  p値<0.05

③地方越境型ワーケーションを3泊以上実施することで、内発的モチベーションが増加する。さらに、その効果はワーケーション終了後も持続する可能性がある。

地方越境型ワーケーションを3泊以上実施した参加者は、実施前より実施後の方が、内発的モチベーションが高く、その傾向は実施後1か月後も継続していました。一方で、1泊2日の参加者では同様の結果は得られませんでした。

図 地方越境型ワーケーションの実施前後での内発的モチベーションの平均値の推移(3泊以上の参加者)※7件法によってデータを取得。Repeated Measures ANOVAにより検定を実施。*** p値<0.001,  p値<0.01,  p値<0.05

④地方越境型ワーケーションを3泊以上実施することで、無意識のバイアス(現状維持に関するバイアス)が低減する。さらに、その効果はワーケーション終了後も持続する可能性がある。
 地方越境型ワーケーションを3泊以上実施した参加者は、実施前より実施後の方が、無意識のバイアス(現状維持に関するバイアス)が低く、1か月後までのその傾向は継続していました。一方で、1泊2日の参加者では同様の結果は得られませんでした。

図 地方越境型ワーケーションの実施前後での無意識のバイアス(現状維持に関するバイアス)の推移(3泊以上の参加者)※7件法によってデータを取得。Repeated Measures ANOVAにより検定を実施。*** p値<0.001,  p値<0.01,  p値<0.05

実証事業(実証実験を含む事業全体)で得られた主な成果、考察

①   地方越境型ワーケーションによる効果を得るには3泊以上の中期滞在が必要

今回の実証実験では、地方越境型ワーケーションを3泊以上実施した参加者においてのみ、心理状態や価値観(バイアス)の変化が生じ、1泊2日では同様の変化は認められませんでした。この結果は、1泊2日の短期間でのワーケーションでは表層的な体験にとどまってしまうため効果が得られにくく、効果を得るためには3泊以上の中期滞在が必要であることを示唆しています。また同効果が発生したメカニズムについては、飛騨市の住人や自然とのふれあいを通じて「自分たちの常識が通用しない」環境での気づきが生まれ、この気づきをきっかけとして参加者の心理状態・価値観にまで変化が生じたと考えています。

②   企業課題に向き合う設計こそが成果を生む

本事業で実施した地方越境型ワーケーション(3泊以上)では、管理職同士の対話や、部門横断的なコミュニケーションを促すデザインを行っており、普段の社内では話しにくい“緊急性は低いが重要性は高い”課題にじっくりと向き合う機会を創出しました。こうした体験が、前述の心理状態・価値観の変化に寄与したと考えています。

③   短期間ワーケーションの可能性と限界

1泊2日のワーケーションは、ワーケーションの理解を目的とした体験機会としては有効であるものの、企業の目的や成長戦略に直接結びつけるにはカスタマイズ設計が必要であることも浮き彫りとなりました。

今後について

地方でのワーケーションは、単なる「働く場所の移動」ではありません。Edoは、飛騨市で実施した実証事業を通じて、社員一人ひとりの価値観に変化をもたらし、企業の組織課題と向き合う“新しい企業研修の形”としての可能性を確信しました。また一連のワーケーションを通じ飛騨市内での消費額として300万円以上の経済効果を生むことにもつながりました。

なお、本実証実験の結果として、地方越境型ワーケーションによる心理状態・価値観の変化が認められましたが、本実証実験は実験条件の統制や解析方法等に課題を有しており、さらなる検証が必要です。そのため、引き続きNTTデータ経営研究所と連携し、ワーケーションの効果・効用に関する検証も並行して進めてまいります。

今後のEdoの取り組み
Edoでは、以下の3つの要素を軸に、企業ごとのニーズに応じた「目的特化型・伴走設計型の業務型ワーケーションプログラム」を提供していきます。なかでも、企業研修コンテンツ、地域交流コンテンツが強みです。

1.非日常の空間 × 中期滞在   
都市では得られない自然・空気感・距離感を活かした環境設計

2.事前設計 × 効果検証   
目的や課題に応じたカスタム設計と、成果の可視化による振り返り

3.学びへの変換力 × コーディネーション   
地域資源や人との出会いを、社員の学びや行動変容につなげるファシリテーションと運営支援

※1 観光庁:令和6年度 子育て世代も参加可能な業務型ワーケーションナレッジ集

https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001891395.pdf

※2 飛騨市学園構想 人口約2.2万人の岐阜県飛騨市において、飛騨市教育委員会主導で2019年から取り組む地域の教育魅力化プロジェクト。飛騨市長と教育長がタッグを組み、保育園(6ヶ所)・小学校(5校)・中学校(2校)・小中学校(1校)・高等学校(2 校)・特別支援学校(1校)・民間企業・家庭・地域が総がかりで年齢や区画を越えた学びの環境構築に向けて活動して います。現在、第二章が始動。

https://www.city.hida.gifu.jp/soshiki/30/32272.html

※3 株式会社NTTデータ経営研究所 ニューロ・コグニティブ・イノベーションユニットは、脳科学および神経科学関連のビジネスを、上流の企画・研究開発から、実際の事業の伴走まで、多様なパートナーと共に実現することをミッションとしたコンサルティングユニットです。ワーケーションをはじめとして、科学的な手法を用いた効果検証のプロジェクトの実績を多数有しています。
https://www.nttdata-strategy.com/neuro/

■問い合わせ先 
株式会社Edo
〒509-4225 岐阜県飛騨市古川町金森町10-25
担当:盤所
info@educationdo.com
https://educationdo.com/ 

出典:PR TIMES

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企業プレスリリース詳細へ (2025年8月12日 10時00分)

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