株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー
株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー(東京都中央区、代表取締役CEO 大野秀晃、以下当社)は、2025年7月20日(日)に「第6回 位置的頭蓋変形に対するヘルメット適正治療研修会」を開催しました。本研修会には全国各地の医師・医療従事者を中心に過去最多の115名が現地参加し、乳児の頭蓋変形に対する適正な診療とヘルメット治療に関する理解を深める有意義な場となりました。
今回より本研修会は「一般社団法人日本ヘルメット治療評価認定機構」による初の認定研修として開催、機構の認定試験も同時に実施しています。認定研修と認定試験の実施によって、位置的頭蓋変形に対する医療の質と安全性の確保を目的とした制度化の第一歩を踏み出しました。

・社会的課題として注目される「赤ちゃんの頭のかたち」
昨今、赤ちゃんの頭のかたち(頭蓋変形)に対する社会的関心が急速に高まっており、X(旧Twitter)やAbemaTVなどのメディアでもヘルメット治療の是非についての議論が盛んに取り上げられています。
その一方、適正な頭蓋健診や発達発育の診断を経ることなくヘルメット治療が行われるケースも見受けられ、保護者の不安を助長したり、誤った医療介入につながる事例が報告されるなど「適正な頭蓋健診の実施」と「適正なヘルメット治療という選択肢の提供」という両軸の実現が喫緊の課題であると私たちは深刻に受け止めています。
・一般社団法人日本ヘルメット治療評価認定機構について

ヘルメット治療についての社会的課題に対応するとともに、適正な頭蓋健診とヘルメット治療の標準化と信頼性の確保を目的として、2024年12月に一般社団法人日本ヘルメット治療評価認定機構(東京都港区、代表理事 細野茂春、以下当機構)が設立されました。
当機構は急速に拡大するヘルメット治療の現場において、適正な頭蓋健診に基づかない治療判断や診療プロトコルの未整備、保護者への不安を助長する説明といった課題に対し、医療の信頼性と標準化を確保するための第三者機関です。
当機構では、下記3つの要件を満たす医療機関を認定対象としています。
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機構主催の医師・スタッフ・関連メーカー対象の研修と認定試験への合格
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先行施設での実地見学研修の受講
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鑑別診断に必要なX線等の診断機器の保有
現在、全国40以上の大学病院・小児専門医療機関・地域中核病院・専門クリニックが認定医療機関として登録されており、当機構では今後も講習認定制度を通じて、全国的な頭蓋健診とヘルメット治療の均てん化を目指しています。
・第6回研修会の開催概要とプログラム
当日はベーシックコースとアドバンスコースの二部構成で開催され、以下のプログラムで進行しました。
│ベーシックコース
演題1 頭蓋変形の機序と鑑別診断
筆頭講師 0歳からの頭のかたちクリニック東京日本橋 小児脳神経外科 五味玲先生
演題2 初診時の対応とヘルメット矯正療法説明のポイント
筆頭講師 練馬光が丘病院 小児科・新生児科 細野茂春先生
演題3 ヘルメット矯正療法の原理と実績
自治医科大学とちぎ子ども医療センター 小児脳神経外科 小熊啓文先生
演題4 ヘルメット療法の実際と家族への説明
富山大学附属病院周産母子センター 小児科・新生児科 猪又智実先生
│アドバンスコース
演題1 小児科医が考える新生児・乳児の頭のかたち
九州大学名誉教授(前医学研究院成長発達医学教授) 大賀正一先生
演題2 日本人における若年成人の斜頭症の有症率の検討
富山大学附属病院周産母子センター 小児科・新生児科 猪又智実先生
演題3 ヘルメット矯正治療における皮膚トラブルの実態調査
キラリこどもクリニック 小児科 山岡正慶先生
演題4 当院での診診連携の新しい試み
0歳からの頭のかたちクリニック表参道神宮前 小児科 西巻滋先生
演題5 Sn(スズ)フィルタを用いた低線量CT撮影法
富山大学附属病院周産母子センター 小児科・新生児科 吉田丈俊先生
演題6 広島大学におけるヘルメット矯正治療外来の特色と治療成績
広島大学 脳神経外科 山崎文之先生
演題7 赤ちゃんのあたまの形外来 開設からの取り組み
寿泉堂綜合病院 小児脳神経外科 鳥越潤子先生
演題8 北部九州・山口医療圏における位置的頭蓋変形と頭蓋骨縫合早期癒合症の治療
〜地域に根ざした挑戦とこれからの展望〜
産業医科大学 脳神経外科 長坂昌平先生
演題9 ヘルメット治療の適応診断において発見された片側ラムダ縫合早期癒合の1症例
大阪医科薬科大学 脳神経外科 亀田雅博先生
両コースとも質疑応答・討議の時間を設け、設定時間上限までとなる活発な議論がなされました。研修に参加した大学病院、子ども病院、地域の基幹病院等に所属する医師や看護師、助産師等からは様々な意見が出され、医療機関や診療科の垣根を越えて、適正な頭蓋健診と適正なヘルメット治療のために、経験や知見を共有する場となりました。














・講師、座長からのコメント
■筆頭講師

五味 玲先生
0歳からの頭のかたちクリニック東京日本橋院長 外科責任者
一般社団法人日本頭蓋健診治療研究会 副理事長
前自治医科大学とちぎ子ども医療センター 小児脳神経外科 教授
位置的頭蓋変形の診断では頭蓋縫合早期融合症との鑑別が重要で、日本小児神経外科学会の公式見解では「トレーニングを受けた医師による専門的な診察が必要」とされています。しかし、十分な鑑別診断を行わず、盲目的にヘルメット矯正療法を施行している医療機関が増えているようです。また一方、位置的頭蓋変形は寝返りやつかまり立ちをする頃に改善する、と誤った指導を未だにしている医師もみられます。
ジャパン・メディカル・カンパニー社では、位置的頭蓋変形に関する正しい知識の理解のために2022年から「ヘルメット適正治療研修会」を行っており、今回第6回目が開催されました。ベーシックコースでは基本的な事項を具体的実例を示しながら学習し、アドバンスコースでは位置的頭蓋変形及びヘルメット矯正治療の様々な問題と最新知見を共有する貴重な機会となりました。

細野 茂春先生
地域医療振興協会 練馬光が丘病院 小児科部長(新生児)
一般社団法人日本ヘルメット治療評価認定機構 代表理事
一般社団法人日本頭蓋健診治療研究会 理事長
前自治医科大学附属さいたま医療センター 副センター長 周産期センター長 小児科・周産期科教授
位頭的蓋変形に対してのご両親の認識が高まってきていることは1・4か月健康診査を担当している医療者の間では強く実感されているようです。一方、頭のかたち外来を行っていると「他の医療機関では頭蓋縫合早期癒合症の鑑別を含めた十分な説明もなく、ヘルメット矯正療法を勧められた。必要があるのか」といったセカンドオピニオン的な受診が増えて来ています。位置的頭蓋変形診療の基本は頭蓋縫合早期癒合症の鑑別、また受診時期とその時点の頭蓋変形の重症度に合わせた改善のための指導とヘルメット矯正療法の提案です。本来はヘルメット矯正療法の改善機序や成績は機種ごとに異なるのでへルメットメーカーが責任を持って研修を行うべきですが、研修内容には差がありヘルメット矯正治療中・後、合併症や治療成績について親が他医療機関に相談するなど問題となっている医療機関が散見されるようです。
ジャパン・メディカル・カンパニー社では、位置的頭蓋変形に関する正しい知識の理解のために2022年から定期的に「ヘルメット適正治療研修会」を行ってきました。今回の第6回目からは「一般社団法人日本ヘルメット治療評価認定機構 」が研修会を主導し他社製のヘルメットを使用している医療機関にも受講の機会を与え開催されました。
今後は当機構が中心となって定期的に研修会を開催し、どのようなヘルメットを使用している医療機関でも頭蓋変形に対する診療が均てん化されることを目指して行って行きたいと思っています。
■アドバンスコース 座長

高橋 義行先生
名古屋大学大学院医学系研究科 小児科学 教授
赤ちゃんの頭蓋健診では「頭蓋縫合早期癒合症」に代表される「病的頭蓋変形」と、子宮内、出産時、向き癖など外部からの圧力による「位置的頭蓋変形」を鑑別し、それぞれの適切な治療のために、担当する医師や看護師の自己研鑽とより良い体制づくりが重要です。今回の研修会では実臨床に役立つご報告や、ピットホールになりうる症例の注意点などについて有意義な議論ができました。赤ちゃんの頭の形に悩んで受診されるご家族に対して自信をもってご説明できるような最新の知見をアップデートしていただけたのではないかと思います。
ヘルメット治療はまだ本邦では新しい治療であるため適切な医療の提供には診療体制の整備と知見の積み重ねが必要な課題です。引き続き本研修会がその一助となることを願っております。

加藤美穂子先生
あいち小児保健医療総合センター 脳神経外科部長 保健センター長
一般社団法人日本頭蓋健診治療研究会理事
ベーシックコースを受講し実際にヘルメット治療に関わると様々な問題や疑問が新たに湧き起こります。アドバンスコースでは、頭のかたち外来が「健康相談窓口として」機能できることや、成人の斜頭の実態、診断法の新たな取り組み、連携のあり方、トラブルシューティングなど経験者ならではの問題提起や対処法などが示されました。いずれも“知りたかったこと”ばかりでした。
回を重ねる度に幅の広い議論が増えている本研修会です。大切な学びの場として今後も是非参加したいと思っております。情報共有の場である本研究会で再び皆様とお会いできることを楽しみにしております。
・研修会を受講された医師の声

真部 淳先生
北海道大学 大学院医学研究院 小児科学教室 教授
私は今まで相当数の赤ちゃんの健診を行ってきましたが、赤ちゃんの頭の形は見て見ぬふりをしてきており、タミータイムを勧めるのみでした。今回の研修で頭蓋縫合早期癒合症が一定の割合で(約千例に一例)いることがわかり、斜頭の重症度判定がわかり、また重症であっても乳児期早期にヘルメットを開始すると矯正が可能であることを学びました。斜頭の治療はもちろん自由診療ですが、確定申告において医療費として控除されることも知りました。
これからは日本に限らず世界中で、少ない子どもを大事に育てる時代になってきます。子育てにおいて、整容するかどうかは親子にとって大きな問題です。このような科学的に効果の明らかな対処法があることは大きな福音になると思います。

黒崎 雅道先生
鳥取大学 医学部 脳神経医科学講座 脳神経外科学分野 教授
現在、赤ちゃんの頭の変形に対してヘルメット治療を行う外来が全国の医療機関に設置され始めています。当科においてもこのような外来の設置の必要性を感じていたところ、「位置的頭蓋変形に対するヘルメット適正治療研修会」の存在を知り、当科スタッフと外来看護師の合計4名で参加しました。
まず、ベーシックコースでは治療対象や頭蓋縫合早期癒合症との鑑別といった基本的な知識を学び、引き続き行われたアドバンスコースにおいて実際にこの治療を取り入れている多数の施設からの臨床に即した報告を拝聴しました。今後この外来を運営していく上での重要な情報を知ることでき、とても充実した有意義な1日となりました。
・修了証書授与の様子
│ベーシックコース

左より
筆頭講師:細野茂春先生
北海道大学 大学院医学研究院 小児科学教室 教授 真部淳先生
鳥取大学 医学部 脳神経医科学講座 脳神経外科学分野 教授 黒崎雅道先生
筆頭講師:五味玲先生
│アドバンスコース

左より
座長:加藤美穂子先生
奈良県総合医療センター 小児センター副センター長 小児科部長 吉田さやか先生
東京都立大塚病院 脳神経外科 副院長 大坪 豊先生
座長:高橋義行先生
当社は、赤ちゃんの頭のかたちに悩むご家族に対して、適正な医療を提供するため、今後も一般社団法人日本ヘルメット治療評価認定機構との連携を深め、研修・情報発信・製品開発等を通じて、適正な頭蓋健診と適正なヘルメット治療の社会的基盤整備と発展に貢献してまいります。
<一般社団法人日本ヘルメット治療評価認定機構が主催する認定研修について>
一般社団法人日本ヘルメット治療認定機構は、今後も半年に一度、認定研修会を開催予定です。
当機構主催の研修会に参加を希望される方は以下「詳細を見る」ボタンの「お問い合わせ内容」より「研修会の案内希望」と記載の上お問い合わせください。追って事務局よりご案内を差し上げます。
<赤ちゃんの頭のゆがみについて>

赤ちゃんの頭のゆがみは、向き癖など外部からの圧力が主な原因ですが、まれに病的変形があり、ヘルメット治療の対象となるのは外圧による位置的頭蓋変形になります。赤ちゃんの頭囲が急成長する生後3〜7か月頃までの間に、治療用のヘルメットを装着することで頭蓋変形を治療することが可能になっています。
赤ちゃんの頭のかたちの測定は、専用の3Dスキャナーだけでなく、「赤ちゃんの頭のかたち測定アプリ」でも行うことが可能です。
当社が開発した「赤ちゃんの頭のかたち測定アプリ」では、写真を撮るだけで赤ちゃんの頭のかたちを簡単に計測することができます。累計30万ダウンロード(※注)を超えアプリの精度も向上しており、医師の論文発表等にもアプリデータが使用されています。アプリは医師監修の基に作られており、病院の診察の際にも役立てることもできますので、ぜひダウンロードしお役立てください。
※注:2025年7月 当社調べ
※国内初「赤ちゃんの頭のかたち測定」アプリが累計25万ダウンロードを突破!乳児の頭蓋変形の測定のみならず頭蓋変形に関する研究開発への応用も進む
※【自治医科大学附属さいたま医療センター × ジャパン・メディカル・カンパニー】スマートフォンによる頭蓋形状評価の新時代へ/共同研究の成果が国際学術誌に掲載


・製品情報 Qurum Fit(クルムフィット)

株式会社ジャパン・メディカル・カンパニーは、長年にわたり頭蓋形状矯正ヘルメットの製造と開発に取り組んできました。このたび、脳神経外科、小児科、新生児科、小児外科、形成外科の専門医とともに開発検討委員会を立ち上げ、共同開発を実施。その成果として誕生したのが、最先端の3Dプリンタ技術を駆使して製造された日本製ヘルメットであるクルムフィットです。東京発の下町ベンチャーとして、荒川区にある自社工場で完全自主製造をしています。
クルムフィットは、高い通気性を備えた設計によりムレを防ぎ、快適な使用感を実現しています。ヘルメット本体だけでなくクッション部分も水洗いが可能で、衛生面にも配慮されています。赤ちゃんのために細部までこだわり抜かれたデザインと機能性が特徴で、快適さと効果を両立させた製品です。
日本国内の信頼ある医師との共同開発によるプロダクトとそのプロダクトを用いた優れた医療サービス体制が評価され、シンガポール最大の女性・小児医療専門の公立病院であるKK Women’s and Children’s Hospitalでもクルムフィットを用いた頭蓋矯正治療が採用されています。
当社は製品の高い品質だけでなく、治療の安全性と信頼性を確保するための体制にも注力しています。当社製品を取り扱う医師には、必ず当社主催の研修会への参加をお願いしています。また、治療経験を持つ先行施設(大学病院またはこども病院)での診療への実地見学を通じて、より治療サービスに対する深い洞察を得ていただいています。ヘルメット治療導入後も継続的に研修会に参加していただくことで、最新の知識と技術を共有し続ける仕組みを整えています。
こうした取り組みは、親御様が安心して頭蓋健診やヘルメット治療を受けられる環境を提供するため、一般社団法人日本頭蓋健診治療研究会の理事を中心とした専門医と協力して進めているものです。
「最高の安心」をお届けするために。私たちは、ヘルメット治療の導入からその後のフォローアップまで、製品だけでなく徹底した品質管理とサポート体制を通じて赤ちゃんとそのご家族を支えています。私たちは、未来の医療を支える革新的な製品づくりを通じて、安心と健康を提供し続けてまいります。
https://babyhelmet.jp/product/
・株式会社ジャパン・メディカル・カンパニーについて

ジャパン・メディカル・カンパニーは、最先端の3Dプリンティング技術を用いて、医療のカタチを革新するものづくりベンチャー企業です。
1897年創業の鉄鋼メーカーの大野興業を前身とし、130年にわたり培われたものづくりの技術と精神を基盤に成長を続けてきました。
1999年に積層造形技術(3Dプリント)を駆使したリバースエンジニアリングを導入し、耳小骨などのヒト骨模型の製法で特許を取得。手術前シミュレーション用3D模型の分野で、数々の術前症例模型や教育練習用模型の開発に至りました。現在では脳神経外科・耳鼻咽喉科領域を中心に、手術前シミュレーションや認定医試験等の場面で当社模型を用いたハンズオントレーニング等にご活用いただいています。
2012年には初の国産 頭蓋矯正ヘルメット「Aimet(アイメット)」を脳神経外科医と共同で開発、2018年にジャパン・メディカル・カンパニーとして独立いたしました。
現在は頭蓋矯正用ヘルメット「Qurum Fit(クルムフィット)」「Qurum(クルム)」や乳児の頭蓋変形の程度を簡便に計測できる「赤ちゃんの頭のかたち測定アプリ」、ヘルメット治療を支援する「metto(メット)アプリ」等の開発・製造・販売を行い、医療分野における新たな価値創出を目指しています。
ヘルメットを用いた累計症例数は18,000症例以上の実績があり、ヘルメット治療のさらなる認知拡⼤を図るとともに、頭蓋形状矯正という概念そのものと疾病啓発の普及に取り組んでまいります。
■社名:株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー
■設⽴:2018年5⽉
■代表取締役CEO:⼤野秀晃
■事業内容:医療機器の開発・製造・販売、医療雑品の開発・製造・販売
■URL:https://japanmedicalcompany.co.jp
株式会社当社のプレスリリース⼀覧
https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/46445
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株式会社当社 コーポレイト・デザイン室 柳本 瑞穂
TEL:03-5829-8342 / choice@japanmedicalcompany.co.jp