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一般社団法人 次世代社会システム研究開発機構(INGS)は2025年8月20日、『協働ロボット白書2025年版』の発刊ならびにその概要を発表した。
2025年現在、協働ロボット(コボット)の技術開発ならびに社会実装・市場の進展が著しい。AI・エッジコンピューティング・生成AI・大規模言語モデル(LLM)との高度な統合を経て、製造・物流・ヘルスケアから建設・農業・リサイクルに至るまで、「産業全域に適応するプラットフォーム」へと進化しつつある。
こうした背景で、本白書は、全63章・数百項目にわたる包括的な調査・レビューを収録し、以下の要素を網羅的にカバーしている:
● 技術構造の進展:材料・機構・制御アルゴリズム・センシングの革新
● ソフトウェア的進化:AI/LLM/マルチモーダルAI/生成AIとの統合
● 産業応用の広がり:自動車・半導体・食品・医薬・物流・建設など200以上のユースケース
● 市場成長シナリオ:2035年までCAGR 34.5%成長で約3兆5千億円規模へ
● グローバルプレイヤー動向:Tesla, NVIDIA, ABB, KUKA, Fanuc, Universal Robots 等に加え、国内外新興スタートアップ群など

本白書の価値提案
本白書は、協働ロボットに関する包括的かつ最新情報を一次情報として把握するための包括的資源を目指して編纂され、そのために必要不可欠な技術・市場インサイトを提供している。
特に以下の点で他資料との差別化を有する:
1.技術横断性:材料工学、制御理論、AIエージェント、クラウドソフトウェアを一体的に分析。
2.ユースケース網羅性:自動車製造から食品・農業・インフラ保守まで、200超の現場応用を追跡。
3.市場展望と企業マッピング:主要プレイヤー・新興スタートアップ・研究機関の包括リストを収録。
4.戦略的含意:2030〜35年における市場・技術の交差点を分析。
本資料で措定するマクロ動向:協働ロボット市場の潮流
■ 市場規模・展望
● 2025年:既に食品・物流・倉庫での導入が急増。
● 2035年:市場規模は約298億ドル(年平均成長率34.5%)。
● 成長要因:
-労働人口減少への即効的対応策
-工場の**「ロボティクス×AI×クラウドDX」**システム統合需要
-サステナブル素材・再利用型モジュールロボットの普及
■ 技術面のゲームチェンジャー
● 生成AI/LLMとの統合:ログ解析、自律的ティーチング、リアルタイム動作最適化
● マルチモーダルAI:視覚・触覚・聴覚データを一括処理する基盤モデル
● エッジAI処理:クラウド依存を軽減し、リアルタイム制御・オフライン動作を実現
● デジタルツイン連携:バーチャルコミッショニングによる事前工程設計・予測保全
● 可変剛性・自己修復素材:安全×高効率を両立する次世代材料テクノロジー
本資料で措定する技術インサイト:要素別ブレークダウン
(1) 材料・機構・基幹技術
● 軽量化カーボン複合材アーム:人協働の必須条件である「軽量・高剛性・柔軟性」を両立。
● 無線給電アーム:配線レスでの機動性/安全性確保。
● 自己修復素材のセーフティ部材:持続可能性と長寿命化。
● 磁気浮上アーム/折り紙ロボット:次世代工場の可変構造ラインを支える候補。
分析視点:材料革新は「セーフティ+サステナビリティ」を両立させ、市場において差別化の主要因となりつつある。
(2) AI・センシング・制御系統
● 情動認識HRI:人間の表情・音声・動作を解析し自然な協働実現。
● 生体適応制御アルゴリズム:ウェアラブルからのバイタル情報で動作強度調整。
● 量子コンピュータ駆動最適制御:多次元リソース最適化や複雑動作計画に実用化フェーズ。
● ゼロショットロボットティーチング:未知環境でもタスク遂行可能に。
分析視点:制御は「従来のPID世界」から**「データ駆動・AI強化・量子最適化」**へ移行しており、参入障壁を形成すると同時に、多層サービス化を促進。
(3) ヒューマン・マシン・インタラクション
● 直感的UI/ティーチングペンダント:ノーコード・プラグアンドプレイが業界標準化。
● VR/AR操作インターフェース:遠隔ティーチング・複雑作業ガイドに導入拡大。
● 身体適応エクソスケルトン連携:ヒューマンオーグメンテーションと一体化した新分野。
分析視点:UI/UX改善は、中小企業・新興市場でも導入可能性を拡大し、市場参入加速の触媒となっている。
(4) クラウド・エッジ・ソフトウェア定義技術
● コンテナ化/マイクロサービスPF:ロボット制御をアプリ化し、DevOps導入を可能に。
● エッジAI処理+5G通信:超低遅延・高信頼通信により「ロボット・ドローン・AMR群協調」が現実化。
● ロボットfleetオーケストレーション:マルチロボット自動スケーリング・複数拠点運用可。
分析視点:ロボットが「ITインフラサービスの一部」として位置づけられる。クラウドプロバイダーや大規模SaaS企業の参入余地。
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本資料で措定する企業別マッピング(ドラフト)
1.コア・プラットフォーマ(協働アーム/ヒューマノイド)
● 協働アーム系(産業適用主力)
-Universal Robots(URシリーズ、UR+エコシステム)
-FANUC(CR/CRX)、KUKA(iiwa)、ABB(YuMi/GoFa)、YASKAWA、Kawasaki、Doosan, Techman, AUBO, OMRON系プラットフォーム
● ヒューマノイド/二足歩行
-Tesla(Optimus)、Figure AI(Figure 02)、Agility Robotics(Digit)、Apptronik(Apollo)、Unitree(G1)、UBTech、Boston Dynamics(Atlas電気版・研究系)
2.センシング/エンドエフェクタ/安全・HMI
● センシング/ビジョン:Keyence、Omron、ABB OmniCore Vision AI、NVIDIA(Vision Analytics基盤)、Microsoft/Google/AWSのVision API群
● グリッパ/エンドエフェクタ:Piab、多目的/ソフトグリッパ各社、オムロン「ShapeNet」など
● HMI/操作:VR/AR(各XRベンダ)、モーションキャプチャ、音声対話(Siemens Multilingual Speech API等)、ハプティック装置
3.AI/生成AI/LLM/学習フレーム
● 基盤モデル/クラウドAI:OpenAI(GPT-4V/4o, o3系)、Google(Gemini, RT-2, PaLM-E系)、Anthropic(Claude 3系)、Meta(ImageBind)
● ロボットAIプラットフォーム:NVIDIA Isaac/Omniverse(Replicator/ROS連携/GR00T系)、各社RL/逆RL/ゼロショットPF
● 予測保全/異常検知/ログ解析:NEC、富士通、国内外SI/OTベンダ(MES/ERP/DX基盤と統合)
4.AMR/統合ソリューション/オーケストレーション
● AMR/モバイル×アーム統合:MiR×UR、DOBOT、ForwardX、AGILOX、Aspina、Keigan、iRAYPLE、各国内SI
● フリート管理/管制:クラウド連携PF、Octa Robotics「LCI」、各社WMS/MES/ERP統合
● 5G/エッジAI/FPGA:通信事業者/産業ネットワークベンダ/半導体各社
5.デジタルツイン/シミュレーション/DevOps
● ツイン/シミュレーション:NVIDIA Omniverse、Unity
● DevOps/CI/CD/IaC:GitHub/GitLab/Jenkins/各クラウドDevOps、ロボティクス向けパイプライン
● SDN/SDR/クラウドネイティブ:主要クラウド(AWS/Azure/GCP)および産業クラウド
6.縦割りユースケース/エコシステム牽引事例(抜粋)
● 自動車/一般製造:BMW、Volkswagen、Siemens、Schneider Electric、ABB×Electrolux 等
● 物流/リテール:eコマース倉庫、空港搬送、無人陳列
● 半導体/医薬/食品/衛生:ウェハ搬送、検体分注、包装投入、品質検査
● インフラ/建設/エネルギー:点検・サンプリング、再エネ設備メンテ、ドローン/建機連携
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本白書で措定する市場規模アサンプションとレンジ(~2035)
● 添付資料の前提:協働ロボット市場は2035年にCAGR34.5%で$29.8B(約29.8十億ドル)規模。
● 本ドラフトでは、隣接/統合領域(AMR一体型、クラウドロボティクスPF、生成AI/LLM付加、デジタルツイン等)を解説に含めつつ、数値は「純コボット市場」の見立てをベースに、サブセグメント配分の考え方を提示。
● 現時点レンジ提示(ベース/ハイ/ロー)は、製造/物流を牽引としつつ、医療/建設/インフラ保全/食品/半導体での採用加速を織り込み。
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2035年 市場構成イメージ(売上構成の考え方)
● 本体(協働アーム/ヒューマノイドのコボット機能相当):約45–55%
● 周辺ハード(グリッパ/センサ/エンドエフェクタ/安全周辺等):約15–20%
● ソフト/AI/ライセンス(生成AI/LLM、VLA、RL、XAI、HMIソフト):約15–20%
● サービス(設計/統合/保守/運用/教育/クラウドPF/フリート管理):約15–20%
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セクター別寄与(売上寄与度の序列イメージ)
● 製造(自動車、3C、金属加工、半導体/液晶、家電等):最大
● 物流/倉庫/空港:高
● 食品/医薬/衛生/化粧品:中高
● 建設/鉄鋼/造船/プラント/エネルギー:中(現場適用の拡がりで上昇)
● 医療/研究ラボ/介護・配膳/公共施設:中(規制・品質要求で伸長余地)
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レンジ見立て(2035)
● ベースケース:$29.8B(添付条件)
● ハイケース:$34–38B(ヒューマノイドの実用拡大・人手不足深刻化・規制整備の前倒し)
● ローケース:$24–26B(安全規制の厳格化・投資減速・人材/部材の制約)
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市場区分×技術テーマのクロス・マッピング(要点)
● 製造×HMI高度化:狭所・多品種少量・段取り替え頻発ラインで、音声/モーション/AR指示がROIを牽引
● 物流×AMR+アーム:ケース/ピースピッキング、空港搬送、夜間無人運用が投資回収を加速
● 3C/半導体×精密把持:視覚×触覚×力覚の統合、ソフトグリッパ、微細印字/検査が差別化
● 食品/医薬×XAI:規格・トレーサビリティ準拠で説明可能性と文書自動更新(LLM)が必須に
● 建設/保全×耐環境化:二足歩行/屋外ナビ、5G×エッジで時間制約作業を実用域へ
● 共通基盤:クラウドネイティブ、DevOps、フリートオーケストレーション、デジタルツインの四点セット
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KPI/評価指標の推奨(導入・運用評価用)
● 生産/作業KPI:サイクルタイム短縮%、スループット改善%、段取り替え時間短縮%、無人稼働時間比率
● 品質/安全KPI:不良率低減%、再現精度(±mm)、接触/ヒヤリハット件数、XAI説明充足率
● コスト/保全KPI:TCO削減%、ダウンタイム削減%、保全工数削減%、予測保全的中率
● システムKPI:モデル更新頻度、CI/CD成功率、エッジ推論遅延(ms)、ツイン同期率、API連携点数
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リスクと対応(2035までの主な論点)
● 安全・規制:国ごとの安全規格整合、XAIによる説明責任、監査自動化の実装
● データガバナンス:フェデレーテッド学習と現場データの主権・秘匿化
● 人材・運用:OT/IT/AIのクロス技能、現場のアセスメントと段階導入
● インフラ:5G/エッジ/クラウドのケース最適配置、サイバーセキュリティ
● サプライチェーン:部材/半導体/特殊センサの不足リスク、互換性・標準化
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導入ロードマップ(ユーザー企業向けフレーム)
● 0–6ヶ月:現場課題・KPI定義、ライン/工程スキャン、PoC(AMR+アーム/品質検査/締結)
● 6–18ヶ月:HMI高度化(音声/AR/モーション)、予測保全、ツイン導入、CI/CD整備
● 18–36ヶ月:マルチモーダルAI/LLMの本格運用、フリートオーケストレーション、夜間無人化
● 36ヶ月以降:量産拠点横展開、フェデレーテッド学習、説明可能AIの監査自動化、海外拠点拡張
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応用分野・産業別展開
(a) 自動車/自動車部品
● 締結作業、塗装補助、内張取付など多工程に展開。
● コンパクトな作業セルで高精度・高速処理を実現。
(b) 半導体・液晶・電子部品
● ウェハ搬送や異物検出を高精度・無菌で実行。
● 省エネ型ロボットとファウンダリー設備の統合が進展。
(c) 食品・冷凍食品
● ピッキングラインの完全自動化。
● 安全規格(HACCP)対応の柔軟アームも普及。
(d) 医薬品・医療機関
● 病院リネン搬送、薬剤供給、臨床ラボ試料移送。
● 感染症対策・再生医療基盤とも接合。
(e) 物流・倉庫
● ケースピッキング/eコマース物流倉庫の自動化。
● AMR+協働アーム+クラウド管制のフリート運営標準化。
分析視点:各業種における導入は「限定的領域から全面工程連動」へと移行、**“共通PF化”**の兆しを示す。
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新技術領域:生成AI・LLM・AIエージェントとの統合
● 生成AI×ロボティクス:作業手順ドキュメント自動生成、保守マニュアル更新、画像生成によるガイドマーク描画。
● LLM連携型コボット:チャットボット指示で行動呼び出し、運転ログ解析、改善提案。
● AIエージェント統合:MES/ERPとの同期制御、マルチエージェント群制御、自己進化的学習。
● マルチモーダルAI:Vision-Language-Actionモデルが、**「人と同等の動作判断フロー」**を実現。
分析視点:生成AIの役割は「単なる支援AI」から「自律的意思決定パートナー」へ進化。エンタープライズDX市場とのクロスオーバーが最大の成長ドライバー。
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ケーススタディ・成功事例
● 欧州事例:ABB YuMi × エレクトロルクス、シーメンスの仮想コミッショニング、フィリップス医療介入ロボ。
● アジア事例:トヨタ、京セラによる製造ライン統合とAIマニュアル生成。
● 北米事例:Tesla Optimus、Agility Robotics Digitの実証導入。
分析視点:地域ごとに異なる「需要起点」がある。
● 欧州:安全性・サステナビリティ
● 北米:省人化+マルチ用途汎用性
● 日本・アジア:融合型生産(MES/ERP一体化)
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今後の市場課題・注目点
● 規格標準化:Plug-and-Play API、セーフティ規格統合。
● 持続可能性:リサイクル素材・エネルギー効率。
● 倫理・説明可能性:AIの透明性と「責任ある自律動作」。
● 人材確保と教育:現場技能のデジタル転換・技能承継手段。
● 地政学リスク:サプライチェーン分断下でのリージョナル分散製造への対応。
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本資料の利用シーン
● 経営向けブリーフィング資料:上記ロードマップとKPI指標を2–4ページに要約
● 事業計画/投資委員会:市場レンジ、ユースケース別ROI仮説、導入ロードマップ
● 営業/提案:セクター別×技術テーマのクロス・マッピングを顧客業務に当て込み、PoC設計へ
[以上]
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▼ 内容等の詳細は、下記(リンク先)をご参照ください。
協働ロボット白書2025年版 製本版
https://www.x-sophia.com/?pid=188044092
協働ロボット白書2025年版 PDF版
https://www.x-sophia.com/?pid=188044097
(※ 「PDF版」はeメール/ダウンロードでの納品方法にも対応しています)
● 監修・発行:
発行:一般社団法人 次世代社会システム研究開発機構
● 発刊日
2025年87月
■ 法人案内Webサイト(メディア向けのお問い合わせ先)
法人概要
http://www.x-sophia.com/?mode=sk#info
当団体刊行物に関する告知・案内Webサイト
■ 法人のご紹介
当団体は、前身会社を含め、二十数年に渡り、産業/先進先端技術/経済/IT分野のシンクタンク活動(受託調査/各種レポート刊行/コンサルティング/寄稿・啓蒙活動/講演・講義/カンファランス議長およびセミナー講演)を展開してきた。
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