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AI翻訳と生成AIとを組み合わせた英語学習で「時間短縮」「英文の質向上」「自信の向上」の3つの効果を確認。

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みらい翻訳

【立命館大学との共同研究 3年目の成果:2025PCカンファレンス 優秀論文賞 受賞】

90万人が使用するクラウドAI自動翻訳システムを提供する株式会社みらい翻訳(本社:東京都渋谷区 代表取締役社長:鳥居 大祐)は、2022年度秋学期よりAI自動翻訳ツール「FLaT」(*1)を立命館大学 「プロジェクト発信型英語プログラム(PEP)」(*2)の英語授業において、約 5,000人の学部生・大学院生を対象に提供。英語学習における「AIとの協働」が学習プロセスや成果、学生の心理面などにどのような影響を与えるかについて、立命館大学と共に継続的に研究しております。

2024年度は、知識やスキルの土台を築く段階にある学部1・2年生を対象とした調査①と、専門分野の学習を深化させつつある大学院生を対象とした調査②の2つを実施しました。鹿児島大学にて開催された「2025PCカンファレンス」(*3) において、論文(*4)発表を行いましたので、その概要を下記の通り公表いたします。

目次

■主な研究成果(※調査方法は後述)

調査①:英作文課題でのAI活用、「組み合わせ方」で効果に大きな差

  • 生成AIを使用して日本語の原文を作成した上でAI翻訳を使用すると、他の条件に比べて課題にかかる時間は削減され、英文のレベル(FREスコア)(*5)がより高くなった。

  • ポストエディットに生成AIを使用すると、英文のレベルには影響しなかったが、学生の自信は向上した。また、AIの使用によりポストエディットにかかる時間は増えたが、時間をかけても英文の質を上げたいという学生の意欲が示された。

調査②:AIの提案をもとに、翻訳を「自分の言葉」にしていくプロセスを確認

  • 学生はAI翻訳の出力をもとに、プリエディット・ポストエディットを行いながら、自身の専門知識や思い入れを反映させた翻訳文を完成させることができた。

  • その際、生成AIを相談相手としながら最終的な表現は自ら選択し、翻訳文を「自分の言葉」へと磨き上げていく様子が見られた。

■本研究が示す「AIとの協働」教育の可能性

本研究は、AI活用の方法論によって学習結果に違いが生じることを明らかにしました。どのAIをどの段階で使用するかによって「効率と質の向上」と「学習者の自信育成」という異なる成果が生まれるだけでなく(調査①)、AIの出力を「思考の素材」として、学生が自らの専門知識や思い入れを加え、より高度な知的作業を行うプロセスも確認されました(調査②)。

これらの結果は、AIの利用が学生の思考を停止させるという懸念とは逆に、むしろAIを思考のパートナーとして協働する新しい学びの可能性を示すものです。このような学びを実現するには、AIツールを導入するだけ、使用テクニックを教えるだけでは不十分であり、学習者の関心・専門分野に関連した課題を設定したり、AIの提案に対して自らの視点を加えて質を高めていく「AIとの協働プロセス」を経験させたりするといった指導法が重要であることを示唆しています。

■今後の展望

みらい翻訳は、今後も引き続き、立命館大学との共同研究を継続し、「AIとの協働」を通じて学生の思考力や発信力を育む教育方法論をさらに深く探究してまいります。また、AIテクノロジーの専門家集団として、高等教育の現場における良き技術的パートナーであり続けることで、その発展にささやかながら貢献していきたいと考えています。

なお、本研究の遂行にあたり、多大なるご協力をいただいた立命館大学の関係者の皆様に、この場を借りて深く感謝申し上げます。


【参考】以下は本調査の背景と調査方法の詳細です。

■背景

AI翻訳と生成AIは、ともにニューラルネットワークの「Transformer」モデルを基盤としていますが、機械学習の方法や学習データの質・量、トレーニング手法などが異なります。そのため、AI翻訳が高精度で抜け漏れのない翻訳を得意とするのに対し、生成AIは自然な文章を生成することを得意とするといった特性の違いがあります。

これらの違いを踏まえ、2024年度の研究においては、学生がAI翻訳と生成AIを併用して英作文や和文英訳課題に取り組む際の実態を調査し、英作文の精度の変化や学生の心理面に与える影響、英文を自分の言葉にしていくプロセスを検証しました。

本調査は、AI翻訳と生成AIをそれぞれ単独で利用した場合の影響を検証した過去の研究(*6)を、さらに発展させたものです。

■調査方法

調査①:学部生を対象とした、AI活用の「使い分け」に関する定量的分析

対象: 学部1、2年生 94名

●課題: 500語程度の英文エッセイを作成。その際、AIツールの活用方法(パターン)の違いで複数のグループに分け、成果を比較分析。

 · 主な比較条件(グループ分けの軸):

  1.原文作成の方法: 自力か、生成AIの支援か

  2.翻訳後の編集方法: 編集なしか、自力編集か、生成AI支援の編集か

  3.生成AI利用時の条件: 独自のプロンプトか、指定プロンプトの利用か

●分析のポイント: AIの活用パターンが学習成果に与える影響を、客観・主観の両面から測定。

 · 客観的指標:

  ‐ 作業時間: 課題遂行にかかった時間

  ‐ 英文の質: 完成したエッセイの読みやすさ(FREスコアで測定)

 · 主観的指標(アンケート調査より)

自信の変化: 完成したエッセイに対する自信の度合い

学習者の意識: AI利用や英作文に対する考え

調査②:大学院生を対象とした、翻訳プロセスの質的分析

●対象: 薬学研究科に所属する大学院生2名(学生A、学生B)

課題: 各自が関心を持つニュース記事を選択し、AIツール(AI翻訳・生成AI)を自由に使いながら英語に翻訳。

 · 使用したニュース:

  ‐ 学生A: 自身がファンである音楽バンドのニュース (→ 個人的な関心・思い入れがある)

  ‐ 学生B: 新薬承認に関するニュース (→ その分野の専門知識がある)

分析のポイント: 学生がAIとどのように協働し、どのような思考プロセスで翻訳文を改善したかを分析。

 · 主な分析データ:

  ‐ AI翻訳と生成AIを活用して翻訳課題に取り組んだ全工程の思考・編集履歴の記録

  AIの活用や翻訳文の改善意図に関する本人へのインタビュー内容

(*1) 「FLaT」の一部は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT(エヌアイシーティー ))の研究成果を利用し、株式会社みらい翻訳にて製品化したものです。

(*2) 立命館大学「プロジェクト発信型英語プログラム(PEP)」http://pep-rg.jp/ 

(*3) 「2025PCカンファレンス」(会期:2025年8月21日~23日、会場:鹿児島大学 郡元キャンパス)

 https://conference.ciec.or.jp/2025pcc/

PCカンファレンスは、コンピュータを利用した教育に携わる研究者、小中高大の教員、企業人、学生などさまざまな人たちが、立場や分野を超えて自由闊達に議論するイベントです。

(*4) 近藤雪絵・木村修平・山中司・八木暢昭・小池享子

「AI翻訳・生成は自分の言葉になり得るか?―思い入れと専門性に着目したケーススタディ―」

https://conference.ciec.or.jp/2025pcc/program/subcommittee/presentation/pcc031.html 

本論文は、「2025PCカンファレンス」にて優秀論文賞を受賞しました。

(*5) FRE(Flesch Reading Ease Formula)スコアとは、英文の「読みやすさ」を測定するための指標です。文章の平均文長(1文あたりの単語数)と平均音節数(1単語あたりの音節数)を使って、0から100のスコアを算出します。

※一般向けの文章においては想定読者に合わせたレベル設定が求められますが、ここでは大学・大学院における学術的な情報発信の習得を目指すという意味で、スコアが低い=英文レベルが高いとしています。

(*6) 立命館大学「プロジェクト発信型英語プログラム」との共同研究成果 第1弾

https://miraitranslate.com/wp/wp-content/uploads/2023/07/230713_pressrelease_Ritsumeikan_JointResearch_1stReport.pdf

立命館大学「プロジェクト発信型英語プログラム」との共同研究成果 第2弾

https://miraitranslate.com/wp/wp-content/uploads/2024/04/240423_newsletter_Ritsumeikan_JointResearch_2ndReport.pdf

<株式会社みらい翻訳について>

株式会社みらい翻訳は「言語の壁を取り除く」をビジョンに、世界のすべての人々に英語を母語とする人々と同じ体験を与えるべく、自社プロダクトAI自動翻訳「FLaT」「みらい翻訳Plus」を中心に、ランゲージサービスプラットフォーマーとして事業を展開しています。

■所在地:東京都渋谷区渋谷二丁目22番3号 渋谷東口ビル 2F

■代表者:代表取締役社長 鳥居 大祐

https://miraitranslate.com/company/ 

出典:PR TIMES

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企業プレスリリース詳細へ (2025年8月26日 09時00分)

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