威志企管顧問股イ分有限公司(ワイズコンサルティンググループ)
台湾の最新ビジネス情報をお伝えする、週刊台湾ビジネスニュースです。
台湾に拠点を置き、各種コンサルティング、リサーチ、日本人向け台湾経済ニュース、クラウドサービスの提供などを行う情報サービス企業グループ「ワイズコンサルティング」は、台湾経済に関する注目動向をまとめたレポートを発表しました。
本号では、鴻海のAIサーバー好調と対米投資拡大、台湾人平均年収の過去最高更新、異業種によるドローン市場参入、AI搭載ヒューマノイドが脚光を浴びるロボット展の開幕、統一企業による無糖飲料の値下げといった最新トピックを取り上げ、台湾の産業・消費・技術の最前線を多角的に分析しています。
【電子】鴻海のAIサーバー好調、対米投資も増強へ
電子機器受託製造サービス(EMS)最大手、鴻海精密工業(ホンハイ・プレシジョン・インダストリー)の楊秋瑾・執行長(最高経営責任者、CEO)は14日の業績説明会で、人工知能(AI)サーバーの需要が非常に好調で、2025年の年間売上高が1兆台湾元(約4兆9000億円)を突破する見通しだと述べた。また、米国の関税政策に対応するため、テキサス州とウィスコンシン州でAIサーバーや液冷システムの生産能力を拡大し、オハイオ州ではクラウド・ネットワーク用サーバーを生産するなど、対米投資を増やす方針を示した。

楊CEOは、AIサーバーの第2四半期(4〜6月)売上高は前年同期比60%以上増加し、AI事業を含むクラウド・ネットワーク製品の売上高構成比(41%)が初めて消費者向けスマート製品(35%)を上回ったと説明した。
第3四半期(7〜9月)のAIサーバー売上高は前年同期比2.7倍、サーバーラックの出荷は前期比4倍になる見込みで、来年もAI市場の需要は好調が続くと予測した。
鴻海のAIサーバーの売上高は現在、サーバー全体の50%以上を占めている。
ASIC(特定用途向け集積回路)サーバーについて、楊CEOは、24年における鴻海のAIサーバー売上高のうち、ASICは約20%を占めており、今後はクラウドサービスプロバイダー(CSP)とASIC分野での協力を続けると説明した。将来的にASICサーバーの売上高は増加し、増加幅は業界平均を上回ると見込んでいる。
鴻海は7月30日、総合電機メーカー、東元電機(TECOエレクトリック&マシナリー)と資本提携を結び、世界のモジューラー型AIデータセンター(DC)の商機を共同開拓すると発表した。両社がAIサーバーや機電、情報通信技術(ICT)などの強みを融合し、ワンストップでコスト競争力のあるソリューションを提供できると説明した。
■ヒト型ロボ、11月に成果披露
電気自動車(EV)事業では、5人乗りクロスオーバースポーツ用多目的車(SUV)「モデルB」が最終的な発売準備段階に入ったと説明した。また、7人乗りSUVの「モデルC」の北米仕様車は認証手続き中だと説明した。
鴻海と裕隆集団の合弁会社で、EVのCDMS(設計・製造受託サービス)を手掛ける鴻華先進科技(フォックストロン・ビークル・テクノロジーズ)は、三菱自動車とEV供給の契約を締結し、26年下半期(7~12月)から豪州やニュージーランドに輸出すると発表した。
さらに、ロボット分野では、グラフィックスプロセッサー(GPU)大手、米エヌビディアと緊密に連携してヒューマノイド(ヒト型ロボット)の「頭脳」の研究開発(R&D)を進めており、両社は複数スキルを持つAIモデルのトレーニングを共同で行っている。このモデルを活用し、工場向けにさまざまなタイプのヒューマノイドを配備する計画だ。
11月21〜22日に台北市の台北南港展覧館(TaiNEX)1館で開催する年1回の成果発表会、鴻海科技日(鴻海テックデー、HHTD)で、最新成果を披露する予定だ。
※本件の補足解説は、以下の動画でもご覧いただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=AledmoBzpyE

【その他】24年平均年収、73万元で過去最高に
行政院主計総処の統計によると、▽給与所得者、▽自営業者、▽無職の世帯主──などを含む2024年平均所得は72万9991台湾元(約360万円)で、前年比2万907元増加し、過去最高だった。税金などを除いた可処分所得の平均値は60万5889元で、1万7570元増加した。
【製造】異業種のドローン参入相次ぐ、葬祭業の天品聯合企業など
カードリーダーメーカーの精威科技を前身とする葬祭業の天品聯合企業(天品ユナイテッドエンタープライズ)は18日、商用無人機(ドローン)市場に参入すると発表した。年内に資本金1億台湾元(約4億9000万円)で子会社を設立する予定だ。
【機械】ロボット展開幕、AI搭載ヒューマノイドに脚光
ロボット業界の展示会、台湾機器人智慧自動化展(台湾オートメーション・インテリジェンス&ロボット・ショー、TAIROS)と自動化関連展示会、台北国際自動化工業大展(オートメーション台北)がきょう20日、台北南港展覧館(TaiNEX)1館と2館で開幕した。今年はAI(人工知能)搭載ヒューマノイド(ヒト型ロボット)が脚光を浴びており、所羅門(ソロモン・テクノロジー)や達明機器人(テックマン・ロボット)などがロボティクスシミュレーションシステム、車輪型双腕ロボットなどを展示する。
■台湾ビジネス動向の継続的な把握に
Y’sNewsは、台湾のビジネス・経済・産業に関する動向を、日本語で毎日配信している情報サービスです。
平日17時に最新ニュースをお届けしており、2週間の無料試読も可能です。
▼詳細・お申込みはこちら▼
https://www.ys-consulting.com.tw/service/news/member.html#shidoku
<会社概要>
企業名:ワイズコンサルティング グループ
所在地:中華民国台北市襄陽路9號8F
代表者:吉本康志
設立:1996年11月
URL:https://www.ys-consulting.com.tw/
事業内容:
・経営コンサルティング(人事労務・マーケティング・経営戦略・情報セキュリティ)
・人材トレーニング(階層別研修・職種別研修)
・日本語台湾経済ニュース、機械業界ジャーナル配信
・市場調査・業界調査・顧客調査
・クラウドサービスの販売
<お問い合わせ>
ワイズコンサルティング 会員サービス部 川満・鈴木
e-mail:info@ys-consulting.com
TEL:+886-22381-9711(日本時間10:00〜19:00)