国境なき医師団
国境なき医師団(MSF)は9月3日、MSFインターナショナルの新会長にジャビド・アブデルモネイム(Mohamed Javid Abdelmoneim)医師が就任したと発表した。アブデルモネイム医師は本年6月のMSFインターナショナル総会で選出され、3年の任期を務める。

スーダン系イラン人の救急医であるアブデルモネイム医師は、英国ケンブリッジに生まれ、英国の国民保健サービスとMSFで豊富な経験を培ってきた。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで医学の学位を取得し、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院を修了した。英国の王立内科医協会のフェローでもある。
MSF活動歴
アブデルモネイム医師は2009年にMSFに参加し、以来、人道危機の現場で多くの職務を経験。最初の派遣地であるイラクのバスラでは救急医として活動し、その後ハイチ、エチオピア、南スーダン、シリア、チャド、ウクライナ、英国、地中海での捜索・救助活動、西アフリカのエボラウイルス病流行時にはシエラレオネで、医療やプロジェクト統括の職務にあたってきた。直近ではパレスチナ・ガザ地区やスーダンのオムドゥルマンで医療チームリーダーを務めた。
2015年5月からMSF英国の理事を務め、2017年から2021年には同会長を務めた。
職歴
人道援助や臨床における活動に加え、アブデルモネイム医師はテレビ番組のプレゼンターとしても豊富な経験を持つ。Netflix、BBC、HBO、チャンネル4、アルジャジーラ・イングリッシュなどで放送された科学ドキュメンタリーや健康エンターテインメント・シリーズでは、エミー賞と英国アカデミー賞(BAFTA)にノミネートされた。
新会長就任と前会長退任に寄せて
アブデルモネイム医師の就任にあたり、MSFインターナショナル事務局長クリストファー・ロックイヤーは次のように述べる。
「ジャビドがインターナショナル会長としての任務を開始することを歓迎します。彼の豊富な医療・人道援助の経験と高い発信力が、今後3年間、私たちの活動をリードする上で大きく貢献すると期待します」
新会長の就任に伴い、2019年9月から2期にわたり会長を務めてきたクリストス・クリストゥ医師は会長職を退任する。ロックイヤー事務局長は次のように述べる。
「クリストスは、数々の困難に直面したこの6年間、たゆまぬ献身をもってMSFインターナショナル会長の職務を務めてきました。人道への揺るぎない信念にもとづき、光の当たらない人道危機にも焦点を当ててきたのです」