TOPPANホールディングス株式会社
金属・非金属両方の包材が混ざっていても数メートル単位の長距離通信が可能医療医薬業界における物流管理を効率化
TOPPANホールディングスのグループ会社であるTOPPANデジタル株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:坂井 和則、以下 TOPPANデジタル)は、一般的に他のパッケージの読み取りを妨げるとされる金属素材のパッケージが混載されていても対応可能なインデックスICタグを開発しました。主に病院における医療製品のSPD(※1)管理を目的に、2025年11月より販売開始します。
本製品は、長距離通信でタグの一括読み取りができるUHF帯タイプで、通信距離が異なってしまう異素材のパッケージが密集している状態であっても安定的に数メートル単位の長距離通信が可能です。ラベルの一部を貼り付け、先端部分を突出させて使用します。医療製品の入出庫・棚卸業務などをスムーズに行い、医療医薬業界のDXに貢献します。
なお本製品は、2025年9月10日(水)から12日(金)まで開催される「第27回 自動認識総合展」 (会場:東京ビッグサイト)のTOPPANデジタルブース(西1ホール・A-35)にて展示します。


■ 開発の背景
多くの医療製品や薬品を扱う医療医薬業界において、医療従事者は業務の正確性が求められる一方で、通常業務に加えて医療品の発注や棚卸し作業もする必要があり、その高い業務負荷による発注漏れや使用期限切れなどの発生が懸念されています。また、あらゆる業界において人手不足が深刻となる中、限られた人数であっても正確な物流管理を行うことのできる効率化の施策が求められています。
そこで、近年RFID(※2)技術による医療製品管理の業務効率化が注目され、病院内のSPD管理に活用され始めていますが、プラスチック・紙・アルミなど様々な素材のパッケージが密集して保管されている状態では、十分に読取りができないケースが多く見られました。特に、金属は電波を遮断し、他のパッケージの読み取りを妨害するという課題がありました。
TOPPANデジタルはこれまで培ってきた独自のアンテナ形状技術により、ICタグアンテナと読み取りアンテナの位置関係が正対していない状態でも電波が回り込むことのできる汎用広指向性モデルを製品化してきました。(特許出願済)
今回はその技術を応用最適化しアンテナ設計を工夫することで、非金属・金属を問わず、あらゆる素材のパッケージにも展開可能なインデックスICタグを開発しました。パッケージが密集し、ICタグが積層状態になった状態においても読み取り性能が安定し、医療医薬業界における物流管理の効率化に貢献します。
■ 特長
・非金属・金属の両方に対応可能かつ長距離通信が可能
一般的に金属は電波を遮断し、他のパッケージの読み取りを妨害する特性があります。また一般的なインデックスICタグは、金属パッケージだと通信距離が長くなり、非金属パッケージだと通信距離が短くなるという特徴があります。そのため、貼り付けるパッケージの素材や読み取り環境にあわせてそれぞれ別のICタグを選定する必要がありました。
今回アンテナとチップの構造を工夫することで、非金属だけでなく金属素材も同時に読み取りが可能で、かつどちらも数メートル単位での長距離通信を可能にしました。これにより様々なパッケージが混在した状況でも安定的な通信距離での運用が可能となり、リーダ出力調整などの読み取り環境構築が容易となります。
・優れた通信性能により、ICタグ同士が密集した状態でも読み取りが可能
TOPPANデジタルが培ってきたタグ開発に関する技術・ノウハウを活用し、通信距離と読み取り性能を計算した最適なインレット(※3)設計にすることで、ラベルの一部の突出した部分が数ミリ間隔で密集した状態でも安定的に一括読み取りが可能です。
・最適な形状とサイズで、容易に対象物にタグを貼り付けることが可能
パッケージ表面の印字スペースを十分確保できる最適なサイズに設計しました。(アンテナ寸法:14.5×70㎜、ラベル寸法:20×76mm)
また、現場での人の手による貼付作業を想定し、ICタグの片側部分の糊をなくすことで、離型紙から外した後、そのまま対象物に貼り付けることが可能となりました。これまで提供していたインデックスICタグは、裏面に全面糊があり、ミシン目から折り曲げて剥がす必要がありましたが、ユーザビリティを考慮した設計により、より簡単に貼り付け作業を行えるようになりました。
■ 価格
20円/枚~(ロット100万枚一括手配時/印字・データ書き込みを含まない)
■ 今後の目標
TOPPANデジタルは、病院や医療製品の物流管理業務を行う企業など、医療医薬分野の企業を中心に本製品を提供し、2026年度に関連受注を含め約20億円の売上を目指します。
また今後は、医療医薬分野だけでなく製造工場内での消耗品資材管理などへの拡大も進め、様々な業界のDXや業務効率化を促進していきます。
※1 SPD:Supply(供給)、Processing(加工)、Distribution(流通)の頭文字を取った略称で、「院内物流管理システム」、またはその業務そのもの。
※2 RFID(Radio Frequency Identification):電磁界や電波などの無線通信を用いて、ICタグなどの情報を非接触で読み書きする自動認識技術。
※3 インレット: ICチップとアンテナから構成されるICタグの中核となる部品。
* 本ニュースリリースに記載された商品・サービス名は各社の商標または登録商標です。
* 本ニュースリリースに記載された内容は発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。
以 上