UntroD Capital Japan

UntroD Capital Asia Pte. Ltd.(アントロッド、本社:シンガポール、Managing Director:丸幸弘、以下「当社」)が運営するリアルテックグローバル2号ファンド(以下「G2号ファンド」)は、株式会社山田商会ホールディング(本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長:山田豊久)と共に、シンガポールにおける先駆的な仮想発電所(VPP※1)プラットフォームを開発するBlue Whale Energy Pte. Ltd.(以下「Blue Whale Energy」)への共同出資を実施しました。
※1 VPP(仮想発電所)とは、太陽光や蓄電池・EVなど分散したエネルギーリソースをIoTで統合制御し、大規模発電所のように機能させる仕組み
仮想発電所(VPP)市場の可能性
仮想発電所(VPP)は、世界的なエネルギー転換において最も急成長している分野の一つであり、今後10年間で年平均成長率(CAGR)が20%を超えると見込まれています。再生可能エネルギーの普及拡大、EVやデータセンターなどの電化需要、そして送電網の近代化が進むなか、柔軟な分散型ソリューションの需要が高まっています。
特にシンガポールでは、電力の大半を天然ガス輸入に依存していることから電力価格が国際市況の影響を受けやすく、近年も高止まり傾向にあります。こうした背景から、エネルギー効率化や電力調達コストの最適化を実現するVPPへの期待が急速に高まっています。エネルギー市場庁※2(EMA)が主導して実証プロジェクトを推進しており、民間セクターがシンガポール卸電力市場(SWEM)へ参加できる制度も整備されるなど、国をあげた導入促進が進んでいます。

Blue Whale Energyとは
Blue Whale Energy社は、連続起業家であるGabriel Lim氏が2024年7月に設立した、シンガポール初のフルスタックVPPプラットフォームを開発するスタートアップです。独自開発のナトリウムイオン電池とエネルギー管理ソフトウェアを組み合わせることで、分散型の太陽光発電と蓄電を統合した柔軟な電力ネットワークを実現しています。需給のリアルタイム調整や電力系統の強靭化に貢献し、商業・産業向けの新たな収益機会を創出しています。



創業わずか1年で、2kWh屋上用バッテリーパックの開発や、商業・産業顧客向けサイトにおけるパイロット導入を完了いたしました。さらにEMAのDemand Response※3およびInterruptible Loadプログラム※4への統合を実現し、卸電力市場および付帯電力市場への参入を果たしました。
こうした取り組みにより、同社はシンガポール市場を中心にプレゼンスを拡大しており、今後は再生可能エネルギー需要の拡大と分散型電源の普及ニーズに応えるべく、フィリピンや日本をはじめとするアジア諸国への展開を積極的に目指しています。
投資家コメント
<UntroD Capital Asia Pte Ltd Director Henry Tao>
「Blue Whale Energy社は東南アジアにおける分散型エネルギーの未来を体現しています。モジュール式屋上バッテリーパックによって電力網の柔軟性を再構築し、シンガポールをはじめとする地域で強靭かつ脱炭素化されたエネルギーシステムの実現に貢献しています。Gabriel Lim氏とそのチームをこの初期段階から支援し、地域初の仮想発電所構築という使命を共に推進できることを、大変嬉しく思います。」
<株式会社山田商会ホールディング 代表取締役 山田豊久>
「Blue Whale Energy社が提供するバッテリーとエネルギーマネジメントシステム(EMS)は、コンパクトであるため広いスペースを必要としません。また、既存のコネクターを繋ぎ変えることで容易に導入することができます。限られたスペースから得られる自然エネルギーを最大限活用することができる、これからの時代に必要なソリューションです。株式会社山田商会ホールディングは、Blue Whale Enegyとともにエネルギーシステムのレジリエンス向上に邁進してまいります。」
今後の展開
BlueWhaleEnergy社は、本ラウンドを通じてバッテリーパックの開発・導入を加速し、シンガポール国内での大規模展開および将来的なASEAN・日本市場進出の基盤を築いていきます。特に日本市場においては、2025年に当社のパートナー企業である Leave a Nest Singapore Pte Ltd が主催するGlobal Innovation Alliance プログラムに参加し、製造支援やスケールアップ支援を開始する予定です。
今後も、分散型エネルギーの普及と持続可能な電力システムの構築を通じて、地域社会のレジリエンス強化と脱炭素化を推進してまいります。
※2 Energy Market Authority(エネルギー市場庁)について
シンガポールのエネルギー市場(電力とガス)を監督する政府機関であり、エネルギー供給の安定と安全性、市場での競争の促進、そしてエネルギー部門の発展を主な目的としている
※3 Demand Response Programについて
対象となる消費者が、電力システムの信頼性向上に必要な場合に、電力需要を削減する待機態勢を維持したことに対して補償を受けるプログラム
※4 Interruptible Load Programについて
対象となる電力消費者が、卸電力価格が高騰した際に自主的に電力使用量を削減し、その見返りとして、卸電力価格の低下による節約分の利益の一部を受け取るプログラム
株式会社山田商会ホールディングについて
100年以上続く株式会社山田商会を中心として、ガス、水道・電気などの生活インフラ事業を手がけるグループ企業群です。地球温暖化に伴う自然災害の深刻化、インフラの老朽化、高齢化、人口減少などの急激な変化が到来する中、街や国、地球のレジリエンスを高め、人々の生活を豊かにすることを目指しています。
HP:https://www.yamada-hd.co.jp/
UntroD(アントロッド)について
地球や人類の課題解決に資する研究開発型の革新的テクノロジーを有するディープテックスタートアップの社会実装を目的とした「リアルテックファンド」を2015年に設立し、シード・アーリーステージのスタートアップへのリード投資およびハンズオン支援を行ってきました。現在までに、リアルテックファンド1号~4号(日本ファンド)、リアルテックグローバルファンド1号・2号(グローバルファンド)、リアルテックグロースファンド1号(日本ファンド)を運用し、運用総額は400億円以上に達しています。社会に必要とされながら資本が流れにくい未踏領域に誰よりも最初に踏み出し、その経済性を証明することで資本や人材が供給され続ける持続的な仕組み創りを目指す、その意志をより一層体現するため、「未踏」を意味する「UntroD」を社名として掲げ、2024年6月に再始動しました。
お問い合わせ
UntroD Capital Asia Pte Ltd
広報担当:成田
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