株式会社カッシーナ・イクスシー
株式会社カッシーナ・イクスシー(本社:東京都港区、代表取締役社長:アレッシオ・ジャコメル)は、2025年10月2日(木)よりカッシーナ・イクスシー青山本店にて、写真家・石塚元太良(いしづか・げんたろう)氏の作品展を開催いたします。
本展では、現代写真の表現領域を拡張し続ける石塚氏が取り組んでいる建築写真を中心に、過去の代表作から最新作までおよそ10作品を展示します。写真というメディウムを通して空間や時間の奥行きを可視化しようとする、石塚氏ならではの視点で名作建築を体感できる貴重な機会です。

タイトルにある “Bau” とは、ドイツ語で「建築」「構造」を意味します。石塚氏はこの言葉を手がかりに、世界各地のモダン建築を旅してきました。その過程で出会ったラ・トゥーレット修道院を契機に生まれたのが、作品《Ondulatoire》(個展 Kotaro Nukaga Roppongi, 2023)です。そこでは「音楽としての建築」という視点から、光と影が織りなす瞬間や、建築に内在する時間性を写真として定着させる試みが展開されました。
今回の「BAUをめぐる冒険」は、その探究をさらに発展させると同時に、《Ondulatoire》に次ぐ新たなモチーフを探す旅でもあります。
石塚氏がフィルムカメラでとらえた名作建築は、単なるドキュメンテーションではなく、空間の「質感」や「記憶」までも写し取るような深いまなざしに満ちています。構図の精緻さと光の捉え方、そして時に物質の表面をなぞるようなアプローチにより、被写体である建築そのものが語り始める——そんな石塚作品の魅力が、空間展示として立ち現れます。
展示では、ル・コルビュジエ、フランク・ロイド・ライトといった近代建築の巨匠たちの作品を撮影したシリーズに加え、ライフワークとして定期的に撮影に訪れているアラスカの氷河の作品も公開。SNSやデジタルイメージが加速度的に流通する現代において、写真が持つ「空間性」や「物質性」を再定義しようとする、石塚氏の試みに触れることができます。
店内には、カッシーナによるル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ぺリアンのコレクション復刻60周年を記念したリミテッドエディションも展示。石塚氏の作品と共に、モダニズム建築と家具、そして写真表現との豊かな対話をご体感ください。




Le Corbusier®, Pierre Jeanneret®, Charlotte Perriand® Collection, 60, limited editions in time
石塚元太良
1977年、東京生まれ。
2004年に日本写真家協会賞新人賞を受賞し、その後2011年文化庁在外芸術家派遣員に選ばれる。初期の作品では、ドキュメンタリーとアートを横断するような手法を用い、その集大成ともいえる写真集『PIPELINE ICELAND/ALASKA』(講談社刊)で2014年度東川写真新人作家賞を受賞。また、2016年にSteidl Book Award Japanでグランプリを受賞し、写真集『GOLD RUSH ALASKA』がドイツのSteidl社から出版される予定。2019年には、ポーラ美術館で開催された「シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート」展で、セザンヌやマグリットなどの近代絵画と比較するように配置されたインスタレーションで話題を呼んだ。2023年国立新美術館で行われた「Domani:明日展」でメインビジュアルを担当。近年は、暗室で露光した印画紙を用いた立体作品や、多層に印画紙を編み込んだモザイク状の作品など、写真が平易な情報のみに終始してしまうSNS時代に写真表現の空間性の再解釈を試みている。
■2025年10月 石塚元太良 作品展
青山本店:2025年10月2日(木)~10月14日(火)
展示作品(予定):ル・コルビュジエ(カップ・マルタン 他)フランク・ロイド・ライト(落水荘)、フランク・O・ゲーリー(グッゲンハイム美術館)、ピーター・ズントー 他
ぜひご高覧賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。