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アルバイト就業者が「適正だと思う最低賃金」は、1,200円。7割以上が、「最低賃金の地域格差を感じている」。6人に1人以上が、時給の高い地域でアルバイトする「越境バイト」を経験

【TOPICS】
◆「適正だと思う最低賃金の全国平均額」は1,200円。「仕事に見合うと思う理想の時給」と「現在の時給」の差は161円【図1】
◆ 7割以上が「最低賃金の地域格差を感じている」と回答。6人に1人以上は時給が高い近隣地域でアルバイトする「越境バイト」を経験【図2】
◆ 2025年度最低賃金改定で「私生活が豊かになること」は「期待できない」が7割超。最低賃金改定による効果は仕事・私生活どちらも限定的【図3】
◆ 企業が「適正だと思う最低賃金の全国平均額」は1,117円で、2025年度の最低賃金の全国平均額を下回る。2025年度の最低賃金改定で、「負担となる」企業は76.0%【図4、5】
【調査概要】
◆「適正だと思う最低賃金の全国平均額」は1,200円。「仕事に見合うと思う理想の時給」と「現在の時給」の差は161円
アルバイト就業者に「適正だと思う最低賃金の全国平均額」を聞いたところ、1,200円となり、「現在の時給(1,166円)」と「適正だと思う最低賃金の全国平均額」との差(34円)で乖離があった。また、「仕事に見合うと思う理想の時給」は1,327円で、現実との差は161円だった。【図1】
【図1】

◆7割以上が「最低賃金の地域格差を感じる」と回答。6人に1人以上は時給が高い近隣地域でアルバイトする「越境バイト」を経験
アルバイト就業者のうち「最低賃金の地域格差を感じる」とした割合は70.9%となり、エリア別では、[東北]や[九州]で割合が高かった。最低賃金の近隣都道府県間の格差、時給水準の近隣自治体間の差がある中、「時給が高い近隣地域でアルバイトをしたいと感じたことがある」割合は43.6%にのぼった。また、「時給が高い近隣地域に越境してアルバイトをした経験がある」割合は17.9%で、6人に1人以上が地域を超えて「越境バイト」を行ったことがあることがわかった。最低賃金の地域間格差を感じる人が多く存在し、より高水準な賃金水準を求めて近隣の市町村や都道府県外でアルバイトをするニーズもありそうだ【図2】
【図2】

◆2025年度最低賃金改定で「私生活が豊かになること」は「期待できない」が7割超。最低賃金改定による効果は仕事・私生活どちらも限定的
アルバイト就業者に、2025年度の最低賃金改定への期待について聞くと、「自身が希望する時給額になること」は「期待できない(「あまり期待できない(38.2%)」+「期待できない(27.1%)」)」の回答が65.2%にのぼった。また、「私生活が豊かになること」は「期待できない(「あまり期待できない(40.9%)」+「期待できない(31.3%)」)」が72.2%、「仕事への意欲が高まること」では「期待できない(「あまり期待できない(41.2%)」+「期待できない(28.5%)」)」は69.8%となった。2025年度の最低賃金改定による効果は仕事・私生活どちらも限定的と考える人が多いようだ。【図3】
【図3】

◆企業が「適正だと思う最低賃金の全国平均額」は1,117円で、2025年度の最低賃金を下回る。2025年度の最低賃金改定で、「負担となる」企業は76.0%
アルバイトを雇用している企業の採用担当者に、「適正だと思う最低賃金の全国平均額」を聞いたところ、全体の平均は1,117円で、2025年度の最低賃金の全国平均額(1,121円)を4円下回る結果となった。業種別では「小売」「飲食・宿泊」の金額が低かった。2025年度の最低賃金改定の負担の予想を聞くと、「負担となる(「大きな負担となる(22.6%)」+「やや負担となる(53.4%)」)の合計」が76.0%にのぼった。業種別では「インフラ」「製造」「医療・福祉」で8割を超え、企業規模別では「300人未満」が特に高かった。【図4、5】
【図4】

【図5】

【調査担当者コメント】

2025年10月以降に、各都道府県で2025年度の最低賃金改定が行われ、2024年度に続く過去最高水準の引き上げ額が迫っています。今回の調査では、最低賃金を巡る様々なギャップが見えてきました。1つ目は、アルバイト就業者が求める時給額と理想とする時給額の差です。最低賃金はこれまでにないペースで上昇しているものの、物価高騰などで生活に必要な所得水準が高まる中で、最低賃金改定による働く人の私生活や仕事意欲への効果は限定的で、期待値も低い様子がうかがえました。2つ目は、最低賃金や時給水準の地域格差の課題があることです。賃金水準が低い都道府県を含むエリアは格差の認識が高い傾向にあり、より時給が高い地域での就労を求めるニーズも垣間見えます。3つ目には、個人が求める賃金水準と、企業が考える賃金水準にも隔たりが見られます。企業側が適正と考える最低賃金の全国平均額は、アルバイト就業者の理想の時給平均額や、アルバイト就業者が適正だと思う最低賃金の全国平均額を下回り、最低賃金改定に伴う自社の賃上げへの負担感もうかがえます。特に、企業規模が小さい中小企業は厳しい対応を迫られることが予想されます。
これら3つのギャップが今後の労働・雇用にどのような影響を与えるのか、また、どのようなかたちで隔たりが埋められていくのかを注視していく必要があります。
キャリアリサーチラボ 研究員 宮本祥太
【調査概要】 「マイナビ 最低賃金に関する調査レポート(2025年)」
■調査目的
最低賃金およびアルバイト時給の実態を明らかにすること
■調査地域
全国
■対象者
【個人調査】
全国の15-69歳の男女(中学生を除く)のうち、アルバイトで働いている人
【企業調査】
アルバイトを雇用している企業の採用担当者
(従業員数10名以上の企業に所属している全国の経営者・役員または会社員のうち、
自社の非正規雇用労働者の採用方針について把握しており、アルバイトを雇用しているとした人)
■実施期間
【個人調査】2025年9月1日(月)~9月4日(木)
【企業調査】2025年9月1日(月)~9月8日(月)
※調査開始時の2025年9月1日は、2025年度の都道府県別の最低賃金額が決定していなかったため、2025年度最低賃金引き上げの目安額(全国平均63円)を基準として設問文を作成し、聴取しています。
※調査結果は、端数四捨五入の都合により合計が100%にならない場合があります
※調査結果の詳細はこちら
(https://career-research.mynavi.jp/reserch/20250929_102136/)