株式会社博報堂
〜自然災害をはじめ社会や個人に起因するリスクを乗り越え、ウェルビーイングの維持・向上を目指す〜
株式会社博報堂(本社:東京都港区、代表取締役社長:名倉健司)、株式会社三菱総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:籔田健二)、Iーレジリエンス株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:小林誠)の3社は、自然災害をはじめ社会や個人に起因するリスクを乗り越え、ウェルビーイングの維持・向上を目指すことを目的に、生活者のレジリエンス能力を可視化する「レジリエントライフスコア」を開発しました。
本研究成果は、Iーレジリエンスが主体となった企業と研究機関との共創型プロジェクト「レジリエントライフプロジェクト」の活動の一環として開発したものです。9月7日(日)に開催された「ぼうさいこくたい2025(第10回防災推進国民大会)」でも、当スコアを活用したワークショップを関係者向けに企画し、災害時などの困難に直面した際、どのように他者と協働し、リスクに立ち向かうべきかを体験・検証するプログラムを実施しました。
1.レジリエントライフスコアとは
まず、レジリエンス能力とは、ウェルビーイング(Well-being)の維持・向上のため、生活者が日常生活で直面するさまざまな困難(Shocks/Stresses)を乗り越えるために選択する行動(Response)の背景にある能力(Capacity)です(以下図参照)。

3社は、日常生活における多様な困難を乗り越えるレジリエンス能力を日ごろから高めていくことが、自然災害に代表される、めったに遭遇しない「難局」を乗り越える力の底上げにもつながると考えています。このような思いから、レジリエンス能力を測る指標として「レジリエントライフスコア」を開発しました。
「レジリエントライフスコア」は、生活者のレジリエンス能力を、「日常を守るために備える」「情報を見極める」「困難な状況にも前を向く」「周囲に助けを求める」「状況を受け入れて柔軟に楽しむ」「新しい自分に挑戦する」という6つの行動の傾向をもとに、日ごろからの備えによって困難を吸収する「吸収力」、新しい対処方策を取り入れることでそれまでの日常を守る「適応力」、それまでの日常が一変するほどの困難に対し新しい日常をつくり直す「変革力」の3つの力の組み合わせで評価するものです※注1。
※注1 この評価方法は、現在特許出願中です。
2.レジリエントライフスコアの測定と活用(イメージ)
31の質問に回答することで、「吸収力」「適応力」「変革力」のバランスが測定され、8つのレジリエンスタイプのいずれかに診断されます。現時点での自身のレジリエンスタイプを把握することで、自然災害などのさまざまな困難に対する振る舞いを想像したり、すぐに取り組むことの出来るアクションを知ることが出来たり、今後開発予定のサービスを通じて専門家からのアドバイスを受けることが出来ます。※注2
※注2 本手法は新しいアプローチであり、当スコアの結果がそのまま、困難な状況からの回復を保証するものではありません。この点については、今後も検証を重ねて改善を続けていく予定です。

3.ぼうさいこくたい2025におけるワークショップ
9月7日(日)、新潟県新潟市で開催された「ぼうさいこくたい2025」に参加し、「レジリエントライフスコア」を活用したワークショップを、関係者向けに先行企画・実施しました。このワークショップでは、参加者が自分の日常レベルのレジリエンス能力を知ることをきっかけに、仮に災害に遭遇した場合にどのような行動をとるか、居合わせた人たちとどのように助け合うかなどについて想像力を働かせ、グループでディスカッションを行いました。

ぼうさいこくたい2025概要
●名称 ぼうさいこくたい2025(第10回防災推進国民大会)
●テーマ 「語り合い支え合い~新潟からオールジャパンで進める防災・減災~」
●主催 防災推進国民大会2025実行委員会(内閣府・防災推進協議会・防災推進国民会議)
●協力 新潟県・新潟市
●開催日時 2025年9月6日(土)9:00~18:00、9月7日(日)10:30~17:30
●開催会場 朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター
●ウェブサイト https://bosai-kokutai.jp/2025/
「レジリエントライフプロジェクト」によるワークショップ
●テーマ 「自分の「レジリエンス」を測定し、災害のリスクに備えよう!」
●開催日時 2023年9月7日(日)10:30~12:00
●開催会場 朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター 1F 展示控室2
●ワークショップの内容
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レジリエンスを構成する3つの能力・6つの因子を学ぶ
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自分のレジリエンスタイプを知る
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架空の被災場面を想定し、自分ならどのような行動をとるかについてグループでディスカッション
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ディスカッション結果を発表し、専門家からアドバイスを受ける
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各自で振り返り(実際の災害時に備えて、準備や改善が必要な日ごろからの心構え・行動など)
4.開発の背景:レジリエンスを高める必要性
近年、気候変動を背景とした自然災害(風水害、雪氷災害、土砂災害など)が頻発化・激甚化・広域化する傾向にある中、南海トラフ地震や首都直下地震の発生も予測されています。こうした状況下で、被災や避難など生活者が直面する困難はさらに増えると予想されます。
日本は世界土地面積のわずか0.25%でありながら、全世界の自然災害被害総額の16%が発生している自然災害大国※注3です。にもかかわらず、例えば、備えとして「食料や水の備蓄」に取り組む人が40.8%、「家具等の固定」が35.9%など、個人でできる対策は進んでいない現状があります。※注4 その背景には、めったに起きない自然災害を「自分事」とは思えないことがあると考えられます。
一方で、世界情勢の変化やテクノロジーの急速な進展により、社会や生活環境は大きく変化しています。急激な変化の中で、ネットワーク災害や環境汚染などの社会に起因するリスクや、心身の健康や キャリア形成などに関する個人に起因するリスクが生み出す困難が、日常に多く存在するようになりました。それに加え、人口減少や高齢化の進展、食料自給率低下なども進行し、社会や生活環境が大きく変容していく日本において、豊かな生活を実現していくためには、あらゆるリスクが生み出す困難を乗り越えるための「レジリエンス」を高めることが急務となっています。
※注3(出典)内閣府HP ※注4(出典)令和5年版防災白書
5.レジリエントライフとは
自然災害のリスクをはじめ、社会に起因するリスク、そして個人に起因するリスクに至るまで、あらゆるリスクが生み出す困難を乗り越えるための「レジリエンス」を高め、より豊かな生活の実現を目指す、新しいライフスタイルがレジリエントライフです。
生活者個人を起点にあらゆる困難を乗り越えるためのレジリエンスを日常生活から高めることは、生活者の意識向上による自助と、生活者の集合体である自治体や企業における共助の力を高め、結果として自然災害に対する対応力の底上げにもつながると考えています。

6.プロジェクトサイト
https://resilient-life-project.i-resilience.co.jp/
7.運営事務局(本件に関するお問い合わせ先)
Iーレジリエンス株式会社
レジリエントライフプロジェクト事務局
メールアドレス:rlp@i-resilience.co.jp