AA Access Partnership Pte Ltd
AIのポテンシャルに関する理解は広がるものの、導入にはより明確な準備、信頼性、ガバナンスが必要
政策コンサルティング会社のAccess Partnership(アクセス・パートナーシップ)は本日、Workday Inc.の委託により作成された調査レポート「Bridging the AI Gap: Advancing Adoption and Governance in Japan (AIギャップの解消:日本における導入とガバナンスの促進)」を発表しました。日本は人工知能(AI)を経済回復力と社会福祉の推進力と位置付けており、2030年までに49.9兆円(3,310億米ドル)の市場機会が見込まれています。しかし、日本企業のAI導入はそのような期待に追いついていない状況です。
このレポートでは、AIに関する認識は広がっており、93%の企業がAIについて少なくとも一般的な理解を備えていると回答しているものの、ほとんどの企業は導入の初期段階であることが明らかになりました。約半数の企業が依然としてAIソリューションの試験運用(19%)または部分導入(26%)段階であり、本格的な導入を達成しているのはわずか8%にとどまっています。
AIを先行して導入した企業はすでに、効率性の向上、時間の短縮、コスト削減といったメリットを報告しています。これは、実験的な導入段階を超えたときから価値が生み出されるという明確な道筋を示しているといえます。
導入ギャップの診断
AIへの関心が普及に結びついていない理由を説明するために、レポートでは導入の3つの側面を検討するARTフレームワークを紹介しています。
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AIのユースケース、メリット、リスクに対する認識。
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技術的能力(インフラストラクチャ、コンピューティング、データ)と組織的能力(リーダーシップ、スキル、プロセス)の両面における準備態勢。
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AIシステムが正確で公正であり、プライバシーが保護されるという信頼性。

調査結果は次の通りです。
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中小企業での認識の遅れ – 大企業では74%がAIのメリットを強く認識している一方で中小企業では33%にとどまる。
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準備態勢にばらつき – 技術的な準備態勢(49%)が組織的な準備態勢(42%)を上回っており、企業文化や変更管理における難しさを反映している。
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信頼性の向上が必要 – 透明性対策や定期的なリスク評価など、責任あるAI実践を3項目以上導入している企業はわずか35%にとどまる。
企業が求めていること
今回の調査では、企業の導入加速に必要な要素も明らかになりました。企業からの主な要望は次の通りです。
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ガバナンスのフレームワークを実用化するための監視ツール(46%)とコンプライアンス基準(44%)。
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企業レベルでAIポリシーを導入するための専門家のガイダンス(45%)。
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研修と教育 – 50%が従業員のスキルアップを求めており、47%がガバナンスと倫理に重点を置いたプログラムを求めている。
なぜ今この件が重要か
2024年、日本での生成AIの利用は27%と急増していますが、全体的な導入率は米国(69%)や中国(81%)[1] といった世界のリーダーに大きく遅れをとっています。このようなギャップは、関心をインパクトへと転換するための実践的なガバナンスと能力構築の必要性を改めて浮き彫りにしています。
日本はすでに導入推進に向けて動き出しています。2025年6月に施行された「AI法」は安全かつ革新的なAIのための国家原則を定めたものであり、広島AIプロセスなどの国際的イニシアチブでは、日本を責任あるAIガバナンスにおけるリーダーとして位置づけています。
Access Partnership、クライアントサービスディレクター、Abhineet Kaul(アビニート・カウル)は次のように述べています。「日本企業はAIの可能性を認識しています。適切なサポートがあればAI導入が期待でき、経済力の強化、競争力の向上、そして社会への具体的な利益創出に結びつくでしょう」
ワークデイ、APJ 担当コーポレート アフェアーズ部門ディレクター、Eunice Lim (ユーニス・リム)氏は次のように述べています。 「 日本がエンタープライズAIの導入を加速する中、組織が信頼を築き、責任あるイノベーションを確保し、AIの可能性を最大限に引き出して、持続可能な成長を推進するには、強力なAIガバナンスの取り組みが重要な基盤になると考えています」
[1]「情報通信白書令和7年版」総務省(2025年)は以下をご覧ください。 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/pdf/00zentai.pdf
調査について
このレポートは、2025年2月に実施した、自動車、製造業、金融サービス、小売業の分野における、日本国内の中小企業から大企業までの経営幹部210名を対象とした調査に基づくものです。
Access Partnershipについて
Access Partnershipは、企業、政府、そして多国間機関と協力し、新たな市場の開拓、商業的成功の推進、人類の発展に寄与するソリューションの創出に取り組んでいます。Access Partnershipの多分野にわたるチームには、地政学アナリスト、規制の専門家、コミュニケーション戦略家に加え、経済学者、エンジニア、医師、科学者が含まれています。Access Partnershipは、迅速かつ明確にアイデアを現実の成果に結びつけるために、意欲的な組織をサポートします。新規市場への進出、新たなソリューションの立ち上げ、グローバル課題への取り組みのいずれにおいても、商業的洞察、公共政策および規制分析、そして幅広いネットワークを組み合わせ、お客さまが自身と明確さをもって前進できるように支援します。詳細は accesspartnership.com をご覧ください。