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画像解析AIで河川を流れるプラスチックを遠隔監視

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八千代エンジニヤリング株式会社

河川浮遊プラスチック輸送を定量化する新ソフトウェアを開発

八千代エンジニヤリング株式会社(本店:東京都台東区、代表取締役社長執行役員:高橋 努、以下「八千代エンジニヤリング」)と、国立大学法人愛媛大学(愛媛大学大学院理工学研究科 片岡智哉准教授※1、以下「愛媛大学」)と日本エヌ・ユー・エス株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:近本 一彦)とワーゲニンゲン大学(オランダ、Tim van Emmerik 准教授)は、深層学習を活用した画像解析AIにより、河川を流れるプラスチックを検出・分類・追跡するソフトウェアを開発しました。

https://www.yachiyo-eng.co.jp/news/2025/10/post_939.html

これまでの河川調査は目視観測に頼っており、多大な労力を要するうえ、洪水時には危険を伴うため継続的な調査が困難でした。今回開発したソフトウェアは、動画映像から自動的にプラスチックを分類・追跡し、輸送量を算定することを可能にしました。

これにより、陸域から海域へと流出するプラスチックの実態把握に大きく貢献し、今後の環境政策の検討や対策の効果検証に資することが期待されます。なお、本研究成果は、国際学術誌『Water Research』に掲載されました。

目次

背景と成果

世界的に深刻化する海洋プラスチック汚染の解決には、陸から海へ流出するプラスチックの実態を把握することが不可欠です。特に河川は主要な流出経路であり、2019年のG20大阪サミットで宣言された「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」(2025年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減する)の実現に向けても、河川での正確なモニタリング技術が求められています。

 

今回開発したソフトウェアは、

  • テンプレートマッチング技術(※1)による河川流速の計測

  • YOLOv8(※2)によるプラスチック検出・分類

  • Deep SORT(※3)による追跡技術

を統合することで、河川浮遊プラスチック輸送量を自動で算定します。

 

これにより、従来は限られた地点・短期間にしか行えなかった観測が、複数の地点で同時に、洪水を含む多様な流況下でも継続的に実施可能になりました。さらに、対象となるプラスチックを種類別に分けて評価できるため、発生源対策やごみ削減施策の効果をより直接的に検証できる点が大きな特徴です。

今後の展開

今後は、愛媛大学と共同開発した河川プラスチックモニタリングシステム「PRIMOS(※4)」に本ソフトウェアを搭載し、実河川での社会実装を進めていきます。

この取り組みにより、

  • 陸から海へのプラスチック流出量の精緻な推定

  • 流域圏全体における輸送過程の解明

  • 科学的根拠に基づく政策立案・評価

 

が可能になり、持続可能な社会に向けた国際的な取り組みに大きく寄与することが期待されます。

新ソフトウェアのポイント

  • 河川水面を撮影した動画から、流下するプラスチックを自動検出・分類・追跡するソフトウェアを開発

  • 飲料ボトル、レジ袋、食品容器、その他プラスチックの4種類を識別可能

  • 河川の流速と各プラスチックの輸送量を同時に算定

  • 洪水時を含む多様な条件下で、安全かつ継続的なモニタリングを実現し、海洋プラスチック問題の解決や政策立案に貢献

 ※1: 画像内からあらかじめ用意した部分画像(テンプレート)と一致する領域を探索する画像認識手法

※2:物体検出アルゴリズム「You Only Look Once」シリーズの第8版で、高速かつ高精度に対象物を検出・分類できる深層学習モデル

※3: 物体追跡アルゴリズム「SORT(Simple Online and Realtime Tracking)」を拡張し、深層学習による外観特徴量を用いることで、同一物体の識別精度を向上させた手法

※4: 八千代エンジニヤリング株式会社と愛媛大学で共同開発した河川浮遊プラスチックのモニタリングシステム(Plastic Runoff Identification, Monitoring & Observation System)の製品名称

八千代エンジニヤリング株式会社HP(2025年4月14日): https://www.yachiyo-eng.co.jp/news/2025/04/post_892.html

愛媛大学HP(2025年4月14日):https://www.ehime-u.ac.jp/data_relese/pr_20250414_eng/

論文情報

掲載誌:Water Research

題名:RiSIM: River Surface Image Monitoring Software for Quantifying Floating Macroplastic Transport

(和訳)河川浮遊プラスチック輸送を定量するための画像解析ソフトウェア

著者:Tomoya Kataoka, Takushi Yoshida, Kenji Sasaki, Yoshinori Kosuge, Yoshihiro Suzuki, Tim H.M. van Emmerik

DOI:10.1016/j.watres.2025.124678

URL:https://doi.org/10.1016/j.watres.2025.124678

 

 

【お問い合わせ先】

(報道に関する問い合わせ先)

八千代エンジニヤリング株式会社

川ごみモニタリングシステム開発係 

yec-river-monitoring@yachiyo-eng.co.jp 

 

国立大学法人愛媛大学 総務部広報課

TEL:089-927-9022

E-mail:koho@stu.ehime-u.ac.jp

 

日本エヌ・ユー・エス株式会社 営業企画室

TEL:03-5925-6710

E-mail:janus-mk@janus.co.jp

 

(研究に関するお問い合わせ)

愛媛大学大学院理工学研究科理工学専攻 准教授 片岡 智哉

電話:089-927-9817

E-mail:kataoka.tomoya.ab@ehime-u.ac.jp

出典:PR TIMES

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企業プレスリリース詳細へ (2025年10月1日 14時00分)

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