株式会社ナビタイムジャパン
増加率ランキング市区町村1位は鳥取県境港市。山陰、南九州、沖縄が上位に
株式会社ナビタイムジャパン(代表取締役社長:大西 啓介、本社:東京都港区)のNAVITIMEデータ分析チームは、訪日外国人観光客向けのナビゲーションアプリ『Japan Travel by NAVITIME』の利用状況から、2025年の夏に訪日外国人旅行者の滞在が増加している地域の分析結果を発表いたします。

日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2025年6月から8月はいずれも訪日外客数が同月過去最高を更新しました(※1)。訪日外国人旅行者が、日本の夏をどのように楽しんでいるのかを明らかにするため、ナビタイムジャパンが提供する訪日外国人観光客向けナビゲーションアプリの利用状況から、夏季に人気が上昇している市区町村を分析いたしました。
<分析内容>
・2024年6月~8月と2025年6月~8月を比較し、市区町村別の訪日外国人旅行者の滞在数が増加したエリアを分析
分析対象:ナビタイムジャパンが提供する訪日外国人旅行者観光客向けナビゲーションアプリ(『Japan Travel by NAVITIME』)から同意を得て取得したインバウンドGPSデータと属性アンケートを用いて集計しています。
※「滞在」の定義は、30分以上同一1kmメッシュ内で測位が確認された状態です。
(※1)日本政府観光局(JNTO):2025年6-8月分推計値より(https://www.jnto.go.jp/statistics/data/visitors-statistics/)
■分析結果
訪日外国人旅行者の夏季の人気上昇TOP10
トップの鳥取県境港市は、2024年の滞在数から2.83倍の増加、続く鳥取県米子市は2.72倍の増加となりました。鳥取県から3市町がランクインしているほか、昨年に引き続き沖縄県から3市村がランクインしています。山陰、南九州、沖縄といった海に面したエリアが目立ちました。


訪日外国人滞在数増加率ランキングトップ3である1位の鳥取県境港市、2位の鳥取県米子市、3位の宮崎県日南市について分析しました。加えて、滞在傾向に特徴が見られた、5位の鳥取県岩美町、10位の奈良県生駒市についても、具体的な滞在エリアやどこから来訪されているかを分析しました。
1位:鳥取県境港市(2.83倍)
2025年夏の訪日外国人滞在数増加率ランキングの1位は鳥取県の境港市でした。境港市での滞在エリアを確認すると、漫画家・水木しげる氏が描く妖怪の世界を楽しめる水木しげるロード周辺での滞在が多いことが確認できたほか、境港水産物直売センターでも滞在が見られました。

この背景として、境港市出身の漫画家・水木しげる氏の代表作『ゲゲゲの鬼太郎』は、作者の生誕100周年を記念した映画が2023年に制作され、2024年には台湾や香港など海外でも公開されました。また、境港市内にある米子空港では、韓国・香港の直行便に加え、2025年5月29日に台湾からの新規直行便が就航しており(※2)、アクセスが向上したことも、滞在者増加の一因と考えられます。
境港市によると、「直行便の中でも特に韓国便が高い搭乗率で推移しているほか、国際クルーズ船の寄港も増えていることもあり、以前よりも外国人観光客の方が増えたと実感している。なかでも台湾、香港では『ゲゲゲの鬼太郎』の知名度が高いことも要因と考えている」とのことです。
(※2)台湾からの直行便は、2025/5/29より就航。鳥取県「米子台北便」(https://www.pref.tottori.lg.jp/321360.htm)
なお、香港からの直行便は、2025/9/1~現在は運休中。鳥取県「米子-香港便」(https://www.pref.tottori.lg.jp/yonagohongkong/)

2位:鳥取県米子市(2.72倍)
米子市での滞在エリアを確認すると、米子駅周辺の宿泊施設エリア、米子の奥座とも呼ばれる皆生温泉への滞在がうかがえます。

米子市に滞在した旅行者の滞在期間を確認すると、米子市内平均滞在日数は2. 29日で、同期間の鳥取県・島根県の山陰2県における市町村の平均滞在日数(※3)1. 57日と比較して長くなっています。また、米子市への旅行者が前後に滞在した市区町村を確認すると、鳥取県の鳥取市、境港市、北栄町、島根県の松江市、出雲市に多く滞在していることがわかりました。これらのことから、米子市が山陰観光における滞在の拠点となっていることが見て取れます。

(※3)『Japan Travel by NAVITIME』のデータを用いて、鳥取県および島根県内の市町村ごとに滞在日数の平均を算出。


3位:宮崎県日南市(2.58倍)
日南市での滞在エリアを確認すると、サンメッセ日南、鵜戸神宮での滞在が多いことを確認できました。

国内に滞在した旅行者の滞在日数に着目すると、日南市に滞在した旅行者全体の平均は約14日であるのに対し、韓国・台湾からの旅行者の平均は約4.8日と大きな差が見られました。宮崎空港には韓国・台湾からの直行便が運航されており、比較的短い滞在日数でも訪問される環境にあることが推測されます。
日南市によると、「日本全体でインバウンド増加傾向にあるため、それも理由の一つではあるかもしれない。アジア系の中でも特に台湾からの来訪が多い印象がある」とのことです。


5位:鳥取県岩美町(2.27倍)
岩美町での滞在エリアを確認すると、浦富海岸島巡り遊覧船の船のりば周辺での滞在が確認できました。
浦富海岸付近で取得されたGPS点列を確認すると遊覧船に乗ってクルージングを楽しんでいる様子が伺えます。
岩美町によると、「浦富海岸とその周辺、特に浦富海岸遊覧船に乗船される方や、浦富海岸の遊歩道を散策される方が多い印象。また、日本の文化に興味のある外国人の方が岩美町内の窯元を訪れたり、岩美町がロケ参考地となっているアニメ『Free!』の外国人のファンが、アニメに登場した場所を訪れる様子も見られる」とのことです。



10位:奈良県生駒市(1.90倍)
生駒市での滞在箇所を確認すると、生駒山上遊園地での滞在が確認できました。
生駒市を訪れた旅行者の滞在スポットを確認すると、生駒駅から近鉄生駒ケーブルを利用して、生駒山上遊園地へ滞在する様子が見られました。

生駒市に滞在した旅行者の前後の宿泊地を確認すると、いずれも大阪府での宿泊が多く、大阪府の滞在中に日帰りで生駒市を訪れていることがわかります。

生駒市を訪れた旅行者は他にも、道頓堀(大阪市)、奈良公園(奈良市)、清水寺(京都市)といった関西の有名スポットを一緒に回っていることも確認できました。
生駒市によると、「体感では昨年よりも訪日外国人旅行客が増えていると感じている。アジア系はもちろん、欧米系の家族連れも多数見かける。生駒山上遊園地に向かうためのケーブルカーも非常に人気」とのことです。



ナビタイムジャパンのNAVITIMEデータ分析チームでは、訪日外国人観光客の動態を明らかにする行動データ分析を通じて、日本各地の様々な魅力の発掘や地域の活性化に貢献できればと考えています。

順位 |
都道府県 |
市区町村 |
増加率 |
主な滞在スポット |
1 |
鳥取県 |
境港市 |
2.83 倍 |
水木しげるロード |
2 |
鳥取県 |
米子市 |
2.72 |
皆生温泉 |
3 |
宮崎県 |
日南市 |
2.58 |
サンメッセ日南、鵜戸神宮 |
4 |
沖縄県 |
浦添市 |
2.36 |
サンエー浦添西海岸パルコシティ |
5 |
鳥取県 |
岩美町 |
2.27 |
浦富海岸 |
6 |
北海道 |
白老町 |
2.13 |
ウポポイ(民族共生象徴空間) |
7 |
沖縄県 |
南城市 |
2.12 |
斎場御嶽、おきなわワールド |
8 |
福井県 |
永平寺町 |
2.00 |
大本山永平寺 |
9 |
沖縄県 |
北中城村 |
1.97 |
イオンモール沖縄ライカム |
10 |
奈良県 |
生駒市 |
1.90 |
生駒山上遊園地 |
●NAVITIMEデータ分析チームについて
ナビタイムジャパンの移動データ事業部データ分析チームでは、道路交通や公共交通、国内観光や訪日外国人について、移動に関する各種ビッグデータを活用した分析を行っています。
(HP:https://data.navitime.co.jp/)
●お問い合わせ先 移動データ事業お問い合わせフォーム
https://data.navitime.co.jp/contact/
●関連プレスリリース
・(2025/9/10)訪日外国人旅行者の船を利用した移動動向を分析
・(2025/6/10)訪日外国人旅行者の大阪・関西万博の滞在・来訪動向を分析
・(2024/10/4)訪日外国人旅行者が訪れる夏の人気上昇エリアを分析
●写真提供(順不同、敬称略)
・妖怪ブロンズ像「目玉おやじ」:境港市 産業部 観光振興課 観光振興係
・妖怪ブロンズ像「鬼太郎」:境港市 産業部 観光振興課 観光振興係
・インフィニティ天空露天風呂:皆生游月
・モアイ像:サンメッセ日南
・浦添西海岸(サンセット):浦添市観光振興課
・浦富海岸遊覧船:山陰松島遊覧株式会社
・ウポポイ(民族共生象徴空間)伝統的コタン:公益財団法人アイヌ民族文化財団
・大本山永平寺 旧参道:福井県観光連盟
・斎場御嶽 三庫理 ※現在三庫理は立入制限中:(掲載許可)南城市教育委員会
・イオンモール沖縄ライカム:イオンモール沖縄ライカム 営業部
●「インバウンドGPS」データについて
「インバウンドGPS」データとは、ナビタイムジャパンが提供する訪日外国人観光客向けナビゲーションアプリ『Japan Travel by NAVITIME』(https://www.navitime.co.jp/pcstorage/html/japan_travel/english/)にてユーザーの同意を得て取得された、訪日外国人観光客の移動に関するデータです。
「NAVITIME」「インバウンドGPS」は、株式会社ナビタイムジャパンの商標または登録商標です。
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